党勢急拡大 「維新」の“ドブ板選挙” 全国政党への課題も浮き彫りに(2022年7月11日)

党勢急拡大 「維新」の“ドブ板選挙” 全国政党への課題も浮き彫りに(2022年7月11日)

党勢急拡大 「維新」の“ドブ板選挙” 全国政党への課題も浮き彫りに(2022年7月11日)

維新の強さを支える日本維新の会副代表、吉村洋文大阪府知事の人気。

吉村知事
「自民党のように特定業界や団体から支えられている政党ではありません。
 でも大阪の皆さんに支えられてここまでやることができました」

支持組織を持たない維新は無党派層などに訴える空中戦で、その人気を巧みに利用してきました。

YouTube動画の撮影でも…

吉村知事
「もしもし吉村です。お電話いただきまして」
大阪維新の会府議団 森和臣代表
「すんません、急に電話しまして。知事って孤独やよね…」
吉村知事
 苦笑

府議団をまとめる森代表。
人気の理由は発信力だといいます。

森代表
「国民が気にするところを的確にしっかりとメッセージをやる。
 関西ローカルのテレビに出演したりとか、ツイッターであったりとか」
Q.
「コロナ対応で評価しない声もあるが?」
森代表
「100人が100人とも納得できる政策はどんな人でも無理じゃないかな。
 一番よくないのは何もしないこと。人気が上がってくればそれに反対する人も出てくる」

◆ほぼ毎日辻立ち…地方議員の地道な活動

維新の強さを支えているのは、
吉村人気だけではありません。

大阪維新の会 中川誠太府議  
「他人の選挙だからって手を抜かないのは当たり前

そこには地方議員の地道な活動がありました。

中川府議
「おはようございます。いってらっしゃい。
 参議院選挙、はじまります」

府議会議員の中川氏。
年末も同じ場所に立っていました。

中川府議
「ほぼ毎日はやっていますね」
Q.
「他党は?」
中川府議
「かぶるのは、僕の地元はほぼないですね。
 実感からしてやってないと思いますよ。
 選挙前だったら、皆さんやってますけど」

移動は一際目を引く維新カラーのトゥクトゥク。
道行く人にも…維新アピールです。

中川府議
「報告会を開催しますので皆さん、ぜひとも足を運んでいただきますよう。
 よろしくお願い申し上げます」

月に1度の府政報告会。
議員自ら、看板を手に呼び込みです。

チラシのポスティングやポスター貼りも自分の足で回ります。

中川府議
「ポスティングはほぼ毎日。
 ポスター貼りは維持管理のキャパもありますからそれを考えて週に1,2回」
Q.
「それでも結構なペース」
中川府議
「ははは、それぐらいやるって言いましたからね、ちゃんと」

日々の活動に、絶対の自信を持っています。

Q.
「党からの指示は?」
中川府議
「全然何も言われないです。
 当たり前のことを当たり前にやれってことなんでしょうけど」
Q.
「他党に『これだけは負けない』というのは?」
中川府議
「全て負けてる気はしないですけどね。正直、大阪では」

◆大阪の“首長選挙”でも強さを発揮

その維新が、こだわり続けてきたのが市長などを選ぶ、いわゆる首長選挙です。

今年1月の貝塚市長選は「維新」対「反維新」の新人対決になりました。
次々と応援に駆けつける地方議員。
他人の選挙にも全力で取り組むのが維新のモットーです。

森代表
「お嬢ちゃん、ようさん買ったなぁ。
 お菓子いっぱいやな。
 おかあちゃん、酒井了ね。
 維新の会です、お願いします。頼んどきます」

売られたケンカを買うのも、維新のスタイルです。

貝塚市長選挙 田中学候補
「『身を切る改革』よりも『実のある改革』を目指して頑張ります」

看板政策「身を切る改革」を批判する対立候補に対しては…

森代表
「維新を意識しすぎじゃないですか。
 自民党に推薦をもらって、立憲にも推薦をもらってるんです。
 勝ってからどうするんかということですよ。
 だから僕たちの批判しか書けないんです」

酒井了 大阪維新公認 1万5002票
田中学 自民立憲推薦 1万1000票
一騎打ちを制したのは維新でした。

貝塚市に続き、泉南市でも勝利。
府内43市町村のうち、18人
今や4割を維新が占めています。

森代表
「負けてたら何も説得力ないよな。僕らの世界って結果が全て。
 維新の首長が誕生すれば実政策で市民に感じとってもらえるところが大きい。
 実績をつくってきた維新の方がマシやなとジャッジしていただいている」

今回の参院選。
維新ブランドが定着した大阪では、吉村人気に頼らない戦い方ができるようになりました。
公示期間中、吉村知事が府内でマイクを握ったのは、わずか1回。
ただ、大阪以外では…

吉村知事
「府知事の吉村です。ありがとう。センキュー。
勉強がんばってね。お母さんの言うことを聞くねんで」

まだまだ吉村人気に頼らざるをえないのが実情です。
全国政党を目指す上で首都での支持拡大は最重要戦略。

◆東京での支持拡大のカギは?

かじ取りを任されたのは、党の総務会長で、東京の代表を務める柳ケ瀬裕文氏です。

柳ケ瀬代表
「大阪の活動は1つのお手本。
 当たり前にやればいいことをちゃんとやってる。
 ほとんどの議員、それができない」

東京進出の動きは年末から本格化していました。

柳ケ瀬代表
「音喜多さん(東京維新の会幹事長)が各支部長に厳しく詰めて、『ちゃんとやらないなら辞めてくれ』と。
 ほとんどの支部長は、これまでは選挙前になったら何かやろう。
 それでは党勢拡大にはつながらない」
「経費を使ったら領収書をつけて、会社に請求する、当たり前のことでしょ。
 でも当たり前の事が当たり前にできない。
 それが今の日本の国会の姿なんです」

毎月の街頭演説会では「身を切る改革」を繰り返し訴えてきました。
タウンミーティングも定期的に開催し、目指すのは、大阪のように足腰の強い組織です。

柳ケ瀬代表
「地域でアプローチがしやすいのは高齢世代。
 駅で演説は現役世代向けにやる、それは重層的にやっていく。
 大阪の維新は毎月やってたりしますしそういった活動をしているから地域で信頼されて選挙も強い」
   
維新は東京でも首長戦略を展開しようとしていました。
戦いの場となったのは、町田市長選です。

柳ケ瀬代表
「この市長選挙を私たちが取ることができれば、大阪以外の首長を初めて獲得するということになります。
 これは大事件になります」

音喜多幹事長
「十分に十分に勝つ可能性がある」

町田市長選をめぐっては、現職と新人で自民がまとまらず、保守分裂の構図に。
公認候補を擁立した維新だけではなく、野党共闘候補も出馬し、激しい選挙戦が繰り広げられました。

地方議員を総動員して戦う維新。

柳ケ瀬
「大阪の政党ではないかとよく言われますけどね、でも大阪の改革の実績をみてください。

ただ、実績をアピールするはずの吉村知事は、新型コロナ対応のため、大阪を離れることができませんでした。

維新の東京進出を警戒していたのは、立憲のベテラン・辻元清美氏です。

辻元清美元衆院議員
「大阪から何としても来なきゃと思って。
 町田、とにかくここから切り崩されないように頑張ってほしい」

衆院選では維新の新人に敗れバッジを失いました。
身をもって知った維新の強さとは…

辻元元衆院議員
「立憲も自民も個人商店みたいな所がある。
 私なんかも個人商店的。
 でも維新はフランチャイズ型。
 緑のジャンパー、旗を立てて、身を切る改革を売ってる。
 何をやってるかわからなくても維新ブランドで通っていく。
 おいしい豆腐を売ってるとか特徴のある店がフランチャイズ店が来たら潰されていく。
 よう気をつけなアカン。大阪決して良くなってないもん」

結果は…

石阪丈一 無所属  現職  5万3323票
吉原修  無所属  新人  3万6632票
奥澤高広 東京維新 新人  3万1011票
清原理 無所属  新人  2万2780票

やはり吉村知事が応援に入れなかった影響は大きかったといいます。

柳ケ瀬代表
「僕達は空中戦頼り。
 インパクトのある活動は難しいので、組織のない私達にとっては不利な戦い。
 向こうは団体とかを抑える活動ですよ。
 手堅い活動ですよ。投票率も伸びてない。
 しっかりと票をまとめていく作業が極めて有効になっちゃいましたよね」

 大阪以外でどう戦っていくのか。
 課題を浮き彫りになりました。

奥澤候補
「大阪でいうところの都構想みたいなもの。
 維新に託したいと思える1つのテーマ設定というものをこれからどうつくっていけるか」

音喜多幹事長
「維新の党勢を拡大するという時には多少忙しくても時間をつくって、仲間のために駆けつけるという意識をどれだけ1人1人が持てるか。
 もっと挙党一致体制で」

柳ケ瀬代表
「東京では首長をとるっていうところまでまだ至ってないのかな。
 みなさんに一番身近な地方議員をしっかりとつくっていって、その実績を見ていただく」
Q.
「組織がある政党と対峙していくにはそれしかない?」
柳ケ瀬代表
「それしかないですね。地道な戦いですよ、ずっと。」

地方議員の数で大阪を大きく下回る東京。
数の差が、力の差となって表れた形です。

ただ、地方議員を増やそうとする試みも始まっています。
それが候補者探しのための維新塾です。

維新は、来年の統一地方選で、大阪以外の地方議員を300人以上に倍増させ、大阪と合わせて600人以上にすることを目標に掲げています。
そして次の衆院選で野党第一党を奪う戦略です。
参院選は、統一地方選に繋がる戦いと位置づけています。

柳ケ瀬代表
「来年には統一地方選挙です。
ここで私たちは50人から70人ですか?」
阿部司衆議院議員 
「70人。最低70人です」
柳ケ瀬代表
「これから維新で活動したいという方には、この参院選でしっかりと汗をかいて下さい。
 常に他人の選挙を自分の選挙と思ってやるというのは維新スピリッツです。
 人のためにどれだけ汗をかけるのか。
 そういう人と一緒に仕事をしたい」

地方議員の意識に少しずつ変化がみられるといいます。

柳ケ瀬代表
「活動の参加率とか地元を固めようとか、そういう思いを各地方議員一人一人が持つようになっている」
Q.
「結果が出なかったとしても次には繋がる戦いがでてきている?」
柳ケ瀬代表
「結果を出さなくちゃいけないですよね、そのためには。
 次に繋げるためには」

来年4月での政界引退を宣言している日本維新の会代表の松井一郎大阪市長。
東京で支持を広げていくためには、何が必要なのか。

松井代表
「諦めずチャレンジすることじゃないの。
 それは簡単にはいきませんよ。
 何度も壁に跳ね返されながら、僕の次の世代が情熱を持っていつかその壁を乗り越えていくしかない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事