「背景にロシアの圧力への切迫感」北欧2カ国の譲歩も…今後は?専門家解説(2022年6月29日)

「背景にロシアの圧力への切迫感」北欧2カ国の譲歩も…今後は?専門家解説(2022年6月29日)

「背景にロシアの圧力への切迫感」北欧2カ国の譲歩も…今後は?専門家解説(2022年6月29日)

スウェーデンとフィンランドのNATO加盟をトルコのエルドアン大統領が難色を示していたが、一転、合意をしました。現地はどう受け止めたのでしょうか。

◆金指光宏記者に聞きます。
合意の発表を受けて、プレスセンターでもどよめきが起きました。今はプレスセンターには多くの記者が詰めかけていますが、きのう夜、合意が発表されたときには、この10分の1ほどしかいませんでした。今回、北欧2カ国の加盟問題は、首脳会議の重要なトピックでしたが、さすがに協議をして、その日のうちに合意に至るということは予想しておらず、多くの記者が帰ってしまっていました。残っていた記者にとっても、大きなサプライズでした。トルコメディアの記者に合意発表後、話を聞きましたが、「すでに合意に至らずという内容でVTRを作っていた。一からやり直さないといけない」と話し、夜遅くまで作業をしていました。

(Q.トルコ政府は、合意後の声明で「欲しいものは得た」と発表しましたが、スウェーデン、フィンランドは大きな譲歩を決断した形ということでしょうか)
まさにその通りです。スウェーデンには、国内にクルド人約10万人が暮らしています。今回、トルコとの合意を受けて、国内からは、クルド人の民族全体への影響、つまりトルコやシリアで暮らす人の運命を左右しかねないと怒りや不安の声が上がっています。フィンランドからも人権問題に対する危惧の声が上がっています。北欧の2カ国は、NATO加盟を優先したことで、国内からの批判への対応が求められることになります。2カ国は、批判が起きるということはわかっていましたが、ロシアへの脅威を前に、難しい国内事情をのみ込んででも、NATO加盟への道を選ばざるを得なかったということです。

急転直下の背景には、スウェーデン・フィンランドの譲歩があったということですが、そこまで差し迫っていたとうことだったのでしょうか。

◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きました。
兵頭さんは、その背景を“ロシアの圧力への切迫感”といいます。「今回のNATO首脳会で加盟が決まらないと、数カ月、先送りの可能性がある。ロシアの軍事的プレッシャーが迫っているので、譲歩してでも、早く加盟を決めたかった」という思いがあったとみています。

兵頭さんは、スウェーデン・フィンランドのNATO加盟によって「NATOとロシアの境界線で軍事的緊張がさらに高まり、冷戦時代のように対立が深まるだろう」と話します。また、NATOメンバーのアメリカと同盟を結ぶ日本にも影響を与えるといいます。「ロシアは今まで以上に日米同盟を否定的になるだろう。日本周辺でのロシア軍の行動にも注意が必要だ」と話します。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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