ぼろぼろの自衛隊倉庫が放置…参院選で争点の「防衛費」、足りる?|TBS NEWS DIG
NATOサミットでは岸田総理が防衛費の増額に言及する見通しです。本当に防衛費は足りないのか、今回の参院選の大きな争点にもなる中で、自衛隊の現場を取材しました。
記者
「すごいですね、幽霊屋敷みたい」
神奈川県横須賀市にある久里浜駐屯地の木造倉庫。築80年で倒壊の危険性があり、ロープで屋根が飛ばないように補強している状況です。久里浜駐屯地は陸上自衛隊、最古の駐屯地のひとつです。その一角にある「通信学校」でも老朽化が進んでいます。
陸上自衛隊通信学校 高野友加総務課長
「足元ご覧いただくと、逐次、ひびが入ったところとか補強してですね」
ここで育成される自衛官は、サイバーや電磁波など最先端の技術を駆使した新しい安全保障の領域を担うことになるのですが…
高野友加総務課長
「モルタルがですね、平成30年ですかね、落ちてきたということで」
雨漏りなどが原因で天井のモルタルが落下。しかし、その補修は学校職員自らが行ったといいます。防衛省によりますと、この久里浜駐屯地も含めて、所有する建物の4割以上が新しい耐震基準を満たしていません。
防衛省幹部
「予算が足りなくて、老朽化のスピードに改修が間に合わない」
吉田陸幕長
「たとえば大きな地震があった時に駐屯地自体がインフラが使えないとかなりますと、(自衛隊の)活動自体に直結する話であります」
“防衛費の不足”の影響は国の防衛の根幹にまで及んでいます。
自民党 高市早苗政調会長
「もしも攻撃を受けた場合、何日間持ちこたえられるのか。今の弾薬などのストックということを考えると、1週間持たんだろうと言われています」
ロシアによるウクライナ侵攻で、長期間にわたり敵と戦闘を続ける「継戦能力」の重要性が露わになりましたが、日本の場合、自衛隊が保有する弾薬の数が少なく、有事に際し、すぐに「弾切れ」になってしまうというのです。こうした事態に、岸田総理は…
岸田総理
「日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意です」
今回の参院選の公約でも、現在の防衛費からはほぼ倍増となる「GDP比2%」という数字に触れる政党が相次いでいます。しかし、政府内からは懸念の声も…
防衛省関係者
「弾薬は使用期限があるので、とにかく買いまくれば良いというわけではない」
財務省関係者
「地続きのウクライナと違って日本は島国だ。まずは防衛のやり方が違うことを考えなければならない」
GDP比2%の防衛費とは金額にしておよそ11兆円。2020年度の一般会計の税収60.8兆円と比較すると、実に18%ほどに達します。財務大臣の諮問機関は、防衛費の「数値目標ありき」で中身や財源の議論が置き去りになることに警鐘を鳴らしました。
財政制度等審議会 榊原定征会長
「税収の配分とか、国民負担の見直しといった実現方法を含めた国民の理解と納得を得る形で議論を積み重ねていく。そういったことが望ましい議論の進め方ではないか」
選挙戦を通じて、国の防衛のあり方が問われています。
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