“肥料ショック”世界的ひっ迫 「根野菜」ピンチ…「秋・冬野菜」の“価格高騰”懸念(2022年6月28日)

“肥料ショック”世界的ひっ迫 「根野菜」ピンチ…「秋・冬野菜」の“価格高騰”懸念(2022年6月28日)

“肥料ショック”世界的ひっ迫 「根野菜」ピンチ…「秋・冬野菜」の“価格高騰”懸念(2022年6月28日)

 G7サミット(主要7カ国首脳会議)の2日目。重要テーマとして議論されたのが、「食料問題」です。野菜の生育に欠かせない肥料に今、かつてない危機が訪れています。

■ダイコンやニンジン…“根野菜”ピンチ

 ビニールハウスの中で、青々と生い茂った小ネギ。しかし…。

 栗原農園・栗原玄樹代表取締役:「現状として、厳しいものはあるので…」

 その背景にあるのが、世界に広がる“肥料ショック”。各国が、ロシアやその同盟国のベラルーシから肥料の原料の輸入をやめ、別の国に切り替えている影響で、世界的に価格が高騰しているのです。

 日本国内でも、すでに深刻な影響が出ています。

 肥料卸・砂押アグリン 砂押完児社長:「こちらが今の在庫の塩化カリウム。今、世界的に逼迫(ひっぱく)していて、多くの在庫を置けませんし。メーカーにお願いしても、なかなか現状、物が出てこない」

 植物の成長に欠かせない肥料の3要素の1つ「カリウム」。ウクライナ侵攻前、日本はロシアとベラルーシから25%を輸入していました。

 砂押完児社長:「日本は、カナダ産中心。ベラルーシ産とロシア産が、ヨーロッパに。だけど、ヨーロッパにいかなくなってしまったので、ヨーロッパもカナダ産を輸入するようになり、世界的に需要が追い付いていない」

 日本企業が採掘していた、ベラルーシの鉱山の映像。赤い色の鉱石が、塩化カリウムの元になる物です。

 これを加工すると、粒状の肥料になります。水に溶けやすく、根っこの成長を促す働きなどがあるといいます。

 砂押完児社長:「(塩化カリウムは)いわゆる根野菜ですね。ダイコンや、ニンジン、ゴボウ。サツマイモ、ジャガイモなどですね。根野菜系に大きく影響を与える肥料。去年6月から比べると、約3倍の価格」

■肥料値上げ“数カ月で3回” 秋野菜は…

 農家からも悲鳴が上がっています。

 栗原玄樹代表取締役:「1列で、だいたい小ネギ100キロから120キロくらい。(1束が)100グラムなので、100キロで1000本分」

 関東各地のスーパーや飲食店に卸すための小ネギなどを水耕栽培している、この農園。この数カ月で、3回も肥料の値上げに直面しました。

 しかし、水と肥料が生育の肝である水耕栽培では、高騰したとしても、使う量を減らすのは、難しいといいます。

 栗原玄樹代表取締役:「小ネギに合う肥料の配合を作って。機械で濃度を一定に保って、小ネギが成長するため、効率よく吸ってもらえるよう管理」

 岸田文雄総理大臣:「農産品全般の生産コスト1割削減を目指して、肥・飼料高騰への大胆な支援を組み合わせた、新しい支援金の仕組みを創設し、実施していきます」

 政府の対策本部は補助金の支給など、対策の検討を進めていますが、まだめどは立っていません。こうした事態に、農家からは、次のような意見が出ています。

 栗原玄樹代表取締役:「価格に反映させていかないと、なかなか厳しい」

 今後、秋や冬の野菜の価格高騰が懸念されています。

(「グッド!モーニング」2022年6月28日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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