“核兵器”実験の被ばく者が思うこと ウクライナ侵攻で核の脅威が高まる中で|TBS NEWS DIG

“核兵器”実験の被ばく者が思うこと ウクライナ侵攻で核の脅威が高まる中で|TBS NEWS DIG

“核兵器”実験の被ばく者が思うこと ウクライナ侵攻で核の脅威が高まる中で|TBS NEWS DIG

核の脅威が高まるなか来週、初めて核兵器禁止条約の締約国による会議が開かれます。60年ほど前の核実験で被ばくし、今も苦しみ続ける人たちが議論の行方を注目しています。

フランス南部に住むジェラール・デラックさん(84)。長年、皮膚がんに苦しめられてきました。

妻・アルレットさん
「唇と耳、皮膚がんの手術は顔だけで35回、腕も合わせると36回です」

今はアルツハイマー病も患い、言葉を発することが難しいため取材には妻のアルレットさんがほぼ答えます。

がん発症の背景にあったものは。

1997年までの37年間に、210回もの核実験を行ったフランス。冷戦構造の中、当時のド・ゴール大統領がアメリカからも距離を置く外交を展開し、独自の核兵器開発に踏み切っていました。

軍人だったジェラールさんは、当時22歳。1960年、サハラ砂漠で行われた初めての核実験を含め年内に2度、実験に立ちあいました。

妻・アルレットさん
「フランスが第4の核保有国になったと、夫は誇らしくさえ思っていました」

この年、帰国した後すぐに脱毛が始まり、実験開始から31年後、初めて皮膚がんと診断されます。

しかし、フランス政府は核実験と健康被害との関連性を否定。

2010年に被害者救済の法律が成立しようやく関連を認めましたが、実験が行われた地域の人を含め何人が被ばくしたのかは依然、明確になっていません。

妻・アルレットさん
「(国からは)放射能は太陽を浴びたのと同じようなものだと言われました。軍のせいではないと」

ジェラールさんは声を振り絞ってこう話しました。

「怒りを感じました」

妻のアルレットさんは「みな、見捨てられた気分だった」と振り返りました。

2017年、国連で採択された核兵器禁止条約。21日からは初めての締約国会議が始まり、核兵器の非人道性や核実験での被ばく者の支援などが主なテーマとなります。

その意味について、ノーベル平和賞を受賞したICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンは。

ICAN政策・研究コーディネーター サンダーズ・ザクレ氏
「実験被ばく者などの経験や知識が、核兵器をなくそうとする私たちの取り組みを導いてくれます」

ただ、条約にはフランスをはじめ核保有国は不参加。唯一の被爆国である日本も核保有国が参加しないならば核廃絶につながらないとして条約は批准せず、会議にも出席しません。

それでも、夫ジェラールさんを支え続けるアルレットさんはこう訴えました。

妻・アルレットさん
「まさか、誰かが核兵器を使うなんて想像もしたくないのです。核兵器が増えないようにして、二度と使われることがないようにすべきです。これが一番重要です」

ロシアのウクライナ侵攻を機に核の脅威が高まる中、「世界がその恐ろしさを改めて認識する機会としてほしい」2人の願いです。

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