ロシア 東部要衝で“投降要求”・・・ウクライナ軍“劣勢”の事情とは(2022年6月15日)

ロシア 東部要衝で“投降要求”・・・ウクライナ軍“劣勢”の事情とは(2022年6月15日)

ロシア 東部要衝で“投降要求”・・・ウクライナ軍“劣勢”の事情とは(2022年6月15日)

 ウクライナ東部の要衝・セベロドネツクを巡り、ロシア側は日本時間の15日午後2時から「人道回廊」を設置し、ウクライナ兵に投降を求めています。劣勢に立たされているウクライナ軍。“最後の拠点”と呼ばれるアゾト化学工場は今、どんな状況なのでしょうか。

 地元の住民:「プーチンのクズは、いつになれば満足するの?どこに行けばいいの?どこで寝ればいいの?いつ、また砲撃があるか分からない。また夜に来るかもしれない。皆、夜寝るのも怖がっています」

 東部のドネツク州の町・バフムトがロシアの攻撃にさらされたのは、午後11時をすぎたころでした。

 地元の住民:「夜で、年寄りだからベッドに入る時でした。そして突然・・・恐ろしかった。見て下さい、ここでは悪いことばかりが起きる。いつ終わるのやら」

 このバフムトは東部の激戦地への補給拠点になっています。

 北東約45キロにあるセベロドネツクです。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「この24時間、ドンバスでの戦いに目立った変化はない。セベロドネツクとその近辺では激戦が続いている。損失は残念ながら痛ましい。しかし、持ちこたえなければならない。ここは私たちの国だ。あそこが生命線だ」

 「セベロドネツクはドンバス地方の生命線」とゼレンスキー大統領は鼓舞しました。しかし、ウクライナ側にとって戦況は悪化しています。

 セベロドネツクを捉えた衛星写真では隣接するリシチャンシクへとつながる3つの橋はすべて破壊され、とどまるウクライナの部隊は孤立しています。

 ロシア側、自称・ドネツク人民共和国の民兵の報道官は・・・。

 自称・ドネツク人民共和国、民兵報道官:「ウクライナ部隊は永遠に閉じ込められる。選択肢は2つ。同僚の例にならい降伏するか、それとも死ぬかだ。他に選択肢はない」

 「降伏するか、それとも死ぬか」と迫るなか、ロシア国防省は住民を退避させる人道回廊を15日に設置すると一方的に発表しました。

 時間は日本時間の15日午後2時から。退避先は北約50キロ余りにあるスワトベ。ロシア側が掌握する町です。

 ロシアは住民の命と引き換えに、ウクライナ側の兵士に投降を迫っています。

 ウクライナ側の兵士が拠点としているのはアゾト化学工場。

 セベロドネツク軍事行政トップ、ストリュク氏:「兵士はあくまで防衛しようとしています。戦争が始まってから、工場に複数ある地下シェルターに人々が集まって避難をしています」

 一部はすでに他の町へと逃れましたが、まだ子ども40人を含む500人以上の民間人も避難しているといいます。

 アンモニアなどを製造するアゾト化学工場は町で一番大きい工場で、敷地は市の約4分の1を占める11平方キロメートル。6700人の従業員を雇用しています。

 操業を始めたのはソビエト時代の1951年で、敷地内には複数の地下シェルターがあるといいます。ここは、そのうちの一つです。

 シェルターに避難した女性:「健康の問題で多くの人がここを離れられません。他に行くお金も十分にありません」

 歩くのが困難な住民。障害があって、一日のほとんどをベッドで過ごす住民もいました。

 ロシアが侵攻を始める前、町はまだ静かでした。

 住民:「セベロドネツクは落ち着いていて静かなので、何も恐れていません。怖がる理由がありません。店も全部開いているし、何も問題ありません」「戦争は始まらないと思います。ただ、政治的な問題です。政治とお金の問題です。戦争は最大のビジネスですから」

 しかし、戦争は始まらないという思いはあっさりと裏切られました。

 一時、ウクライナ側が町の半分を奪還するなど一進一退の攻防が続いていましたが、今や町の大半はロシア側に掌握されました。

 背景にあるのがロシアとの火力差です。イギリス・ガーディアン紙によりますと、ウクライナ軍情報部門幹部は戦局が重火器による砲撃戦に入ってからウクライナ軍が劣勢に立たされているとしています。

 主力兵器の砲弾は使い果たし、ロシア側の10発から15発に対し、1発の砲弾しかない状態だと言います。

 ウクライナには西側からの武器供与があるはずですが・・・。

 ウクライナ、マリャル国防次官:「ウクライナが求めている兵器についてはすでに伝えていますが、そのうち10%しか提供されていません」

 必要だとする兵器は、なぜ届かないのでしょうか。

 ゼレンスキー大統領は迎撃ミサイルシステムの提供が必要だと訴えています。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「ロシアの最新のミサイルは日を追うごとに少なくなっているが、それでも迎撃システムの必要性は変わらない。ロシアはまだ十分、ソビエト時代のミサイルを持っている」

 ゼレンスキー大統領はソ連時代のミサイルは正確性に欠けるため、より市民が危険にさらされるとしています。

 アメリカをはじめ、西側はウクライナへの軍事支援を表明しつつも求めに全面的には応じていません。

 政治アナリスト、ジョシュ・ローガン氏:「バイデン政権のためらいに大きな理由があります。何なら提供できるか、できないか計算しています。ロシア領内に攻撃できるものは提供しません。この計算が戦場でウクライナ兵を殺しているとウクライナ当局は度々、訴えています」

 東部でウクライナ側の苦戦が続くなか、アメリカのカール国防次官はロシアのプーチン大統領がさらなる広い地域の掌握を目指している公算があるとの見方を示しています。

 ウクライナ軍の参謀本部もロシア軍が北部の国境地帯で部隊を再編させていると発表しています。

 ゼレンスキー大統領:「ロシアが戦争をやめたいというなら、信じはしないが交渉のテーブルにつくしかない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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