円安“24年ぶり”一時1ドル135円 “金”が人気・・・どこまで続く?「ミスター円」に聞く(2022年6月14日)
円安が止まりません。14日は一時、1ドル135円に突入し、およそ24年ぶりの安値水準をつけました。一体、どこまで下がり続けるのか。「ミスター円」と呼ばれた専門家に話を聞きました。
■黒田総裁「急速な円安はマイナス」
次々に足を止める人々。神妙な面持ち、その視線の先にあるのは・・・。
記録的な円安が続くなか、13日の円相場は、135円台となりました。
街の人:「輸出のほうはいいけど、輸入は大変だなとか。物が高くなれば、当然、生活が下がるってことだから、良いことじゃないと思っている」「150円くらいまでいくんじゃないかなと。弱い国になったんだと皆が認識して、次どういう国にするか、考えないとダメなんじゃないか」
1ドル135円台前半まで下落したのは、1998年10月以来、およそ24年ぶりです。国会でも・・・。
日本銀行・黒田東彦総裁:「最近の急速な円安の進行は、先行きの不確実性を高め、企業の事業計画の策定を困難にするなど、経済にマイナスであり、望ましくないと考えております」
急速な円安をマイナスと捉える発言をした日銀の黒田総裁。しかし、金融緩和を見直す姿勢は見せていません。
■ドルを円に両替 得した人も・・・
円安による影響は、様々な形で広がり続けています。
街の人:「米ドルを日本円に替えた。実感として、10万円くらい多くなった」「米ドルを円に」「(Q.ドルに替えた時、円はいくらだった?)80円」
円安のうちに、手持ちのドルを円に両替し、もうけを出す人がいる一方で、損をしたと話す人もいます。
街の人:「(Q.保険の支払いは?)ドル建ての物に入っていますね。当時115円くらい。(月に)1万円はいかないと思うが、結構痛い」
この男性は、ドルで支払う保険に入っているため、円安が進むと損失が出るといいます。
■“金”が人気「価値変わらない」
円安を受けた動きは、こんな所でもありました。
貴金属ジュエリーで有名な「GINZA TANAKA」。今、開店前に行列ができるほど、“あるもの”が人気だということです。
円安で、より注目が高まっているのが「金」です。
900万円と言われると、身構えてしまいますが、手軽に購入できる金もあるといいます。ウィーン金貨の10分の1オンスは、およそ3万2000円です。
GINZA TANAKA本店・上田哲也副店長:「(Q.円安による金への影響は?)円安だけでいうと、国内の金価格は上がる。利益確定の売り。値上がりの期待感を持った購入」
金の価格は今年に入ってから、右肩上がりで伸び続けています。1月は1グラム当たり7400円ほどでしたが、13日は8968円と過去2番目の高値となりました。
GINZA TANAKA本店・上田哲也副店長:「(Q.なぜ金を購入する人が増えている?)実物資産。不変価値。資産の保険として、資産の1割を金で持たれると安心」
■“ミスター円”は「150円にも」
元財務官・榊原英資氏:「私にとって、チャレンジングな仕事で。こういう時期にやめられるのは、大変幸せ」
かつて財務官として、為替介入を指揮した榊原英資氏です。
1998年、前年に始まったアジア通貨危機を皮切りに、山一証券が経営破綻しました。
山一証券・野澤正平社長(当時):「私らが悪いんであって、社員は悪くありませんから」
さらに、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行などの主要銀行も相次いで倒産。記録的な円安が進み、1ドル140円を超え、下落しました。
当時、財務官だった榊原氏。円が売られて、ドルが買われるなか、2兆円以上の円買い介入を日銀に求め、その姿から「ミスター円」の異名を取りました。
「ミスター円」は、今の円安状況をどう見ているのでしょうか?
榊原氏:「(Q.円安はどこまで続く?)日米の金融政策の差は、しばらく続くでしょうから、おそらく150円近くまでいく」
■来年の夏から年末・・・“引き締め”も
1ドル135円と、1900年代後半ごろの円安水準に近付きつつある現在。しかし、榊原氏は「当時と今とでは状況が違う」と話します。
榊原氏:「あの時は、アジア危機でしょ。しかも、日本も金融危機ですから。90年代後半は、非常に危機的な状況。今とは全然違う」
榊原氏は介入に踏み切りましたが、今回、為替介入はあるのでしょうか?
榊原氏:「円ドルで介入するなら、日米で合意しなければならない。アメリカは、現状で満足していますから。アメリカが介入支持という形にはならない」「(Q.アメリカはドル高で心地いい状況?)そういうことだね。介入はできないというのが、今の状況」
インフレを抑制するためには、ドル高が望ましいのです。
榊原氏:「今の円安は、理由がはっきりしている。いわゆる“日本売り”の円安ではない。日米の金融緩和の差で、円安になっているわけですから。あまり心配するようなことじゃないと、僕は思う。どこかで、日本が引き締めに入る。おそらく、来年の夏から年末にかけ、(日本が引き締めに入る)可能性」
■黒田総裁は「金融緩和を続ける」
財務官時代、自身の部下として黒田総裁と関わっていた榊原氏。今後、黒田総裁がどんな手を打つと見ているのでしょうか?
榊原氏:「黒田総裁は、金融緩和を続けていくと思う。緩和を続けて、ある程度、確実なものにしたい。今の黒田さんの心境だと思います」
(「グッド!モーニング」2022年6月14日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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