「ロシアの日」抑え込まれる“反戦の声”と強まる若者への「愛国教育」(2022年6月12日)

「ロシアの日」抑え込まれる“反戦の声”と強まる若者への「愛国教育」(2022年6月12日)

「ロシアの日」抑え込まれる“反戦の声”と強まる若者への「愛国教育」(2022年6月12日)

撤退したマクドナルドの後継となる新たなハンバーガー店もオープン。
その名は「おいしい それだけだ」です
オープンの会見が終わるとこんなハプニングも・・・
「ビッグマックを返してください ロシアにビッグマックを返してください」
ロシア軍の巨大テーマパークは賑わいを見せていました。
「家族連れの姿が目立ちます。小さな子どもが遊びながら親しんでいます」
こちらでは、軍用バイクに乗り込み、取り付けられた機関銃を撃つ真似をする子ども。そして、親に銃の持ち方を教わり、得意げな子どもの姿も。あらゆる種類の銃器や戦車が展示されています。

一方、反戦の声は抑え込まれています。
「兵士よ 兵士どうするの?母が死ぬまで戦争が続いたら」
戦地に向かう兵士の葛藤を歌った反戦ソング「ソルジャー」を作詞作曲したロシア人のマニジャさん。
「私たちの 私たちの戦争をやめよう」
「ロシアの日」の連休にコンサートへの出演が決まっていましたが、数日前、突然取りやめになったといいます。
タジキスタンの内戦で難民を経験したマニジャさん。3月にこの曲をリリースして以降、インターネット上で脅迫や嫌がらせが相次いだといいます。
(ロシア人シンガーソングライター マニジャさん)
「誰かが(主催者に)電話をしてきて、私をフェスティバルの出演者から外すよう求めたそうです。もちろん悲しかったですが、引き下がるつもりはありません。なぜなら(難民だった)私にとってコンサートは、人々を助けるチャンスだからです」

▽“プーチン氏の歴史観”記した教育マニュアル
ロシア国旗を手に、「Z」の文字をつくる子どもたち。ロシアの独立系メディア「メデューザ」によればウクライナ侵攻以降、ロシア国内の学校で“愛国教育”が広がっているといいます。
(幼稚園の先生)「私たちの幼稚園は地球上の人類に対して大統領の決定に賛成していることを表明します」
(子どもたち)「プーチン大統領、ショイグ国防相、国民はあなたたちの味方」

ロシアの教育現場で何が起きているのか?ロシア教師組合のダニイル・ケン会長に話を聞きました。
(ロシア教師組合 ダニイル・ケン会長)
「これは明らかにファシズムのプロパガンダです。いま起きていることは、国による犯罪です」
ダニイル会長が批判するのは「歴史の真実」と題された教師のための教育マニュアル。ウクライナ侵攻後、全国の学校に配布されたといいます。作成したのはロシア教育省。31ページにわたり、“プーチン大統領の歴史観”が記されているといいます。
(ロシア教師組合 ダニイル・ケン会長)
「そこには明らかな嘘が含まれています。歴史的にロシアとウクライナは一体だったとか、NATO諸国とウクライナのナチが、私たちからウクライナを奪おうとしているとか。」

ロシアの国営テレビは4月、プーチン大統領とウクライナのドンバス地方出身の少女のこんなやりとりを放送しています。
(ドンバス出身の少女)「わたしはドンバスの娘、ルガンスクの大地の娘、神聖で英雄的な大地。わたしはロシア人、わたしはロシアを誇りに思います」
(プーチン大統領)「ルガンスク人民共和国を含むドンバスで起こった悲劇が、ロシアに軍事作戦を開始させました。この作戦の目的は、あなたのようなドンバスに住む人々を助けることです」
さらに影響は「歴史の教科書」にも・・・「ウクライナに関する記述が削除」されているのだといいます。
Q.なぜウクライナに関する歴史的事実を削除するのか?
(ロシア教師組合 ダニイル・ケン会長)「なぜなら、いま別の歴史が作られているからです。ウクライナに独自の歴史、独自の言語や文化があったことを示す歴史的事実は否定され、教科書から削除されているのです」
ダニイル会長によれば様々な部分が政権の都合の良いように書き換えられ、プーチン大統領をたたえる記述も増えているといいます。
(ロシア教師組合 ダニイル・ケン会長)「このプロパガンダ(政治宣伝)をすすんでやる教師はほとんどいません。しかし国は、教師がとても貧しく(経済的に国に)依存しているという弱みを利用しています。特に小さい町では、簡単に国が教師の職を奪うことができるのです」

実際に、極東サハリン州コルサコフ市の学校では今年4月・・・
授業中に平和の大切さを訴えた英語教師マリーナ・ドゥブロワさんが解雇されたと現地メディアなどが伝えています。
(解雇された英語教師 マリーナ・ドゥブロワさん)
「わざとこのような罰が与えられたのです。私から仕事を奪うためです」
ドゥブロワさんが授業中、生徒たちに見せたのは「戦争のない世界」というタイトルのミュージックビデオ。さまざまな国籍の子どもたちがロシア語とウクライナ語で平和への願いを歌うものでした。
(解雇された英語教師 マリーナ・ドゥブロワさん)
「私は『ただ心で見てください』と言いました。『先生はウクライナの味方ですか?』と聞かれ、なんて質問をするのかと思いました。『いいえ、ただ戦争に反対なだけよ』と答えました」
すると数日後、思わぬ事態に・・・
「教育現場における道徳と倫理に反する行為」があったとして当局から起訴されたのです。
実は、生徒との会話が録音されていました。
(解雇された英語教師 マリーナ・ドゥブロワさん)
「自主的に辞めるよう提案されました。今後、教育現場に携わりたいと思ってもできないでしょう」

▽若者はプーチン政権の「潜在的な脅威」か
「防御線をはれ」
若者たちへの愛国教育を強めているというプーチン政権。これは2016年に創設されたロシア国防省傘下の青少年団体「ユナルミヤ」。
今では8歳から18歳の子ども100万人以上が所属し、基礎的な軍事訓練も行っているといいます。
(女性団員)「ユナルミヤでは愛国心が育まれます。自分の国をよく知ることで、自分の国がより好きになります」
愛国教育が強まっている理由をロシア教師組合のダニイル会長はこう指摘します。
(ロシア教師組合 ダニイル・ケン会長)「(プーチン大統領は)政権にとっての潜在的な脅威は、インターネットを使い、プロパガンダ以外の別の情報に触れることができる若者だと理解しています」
ロシアの独立系世論調査機関によれば「ロシアは正しい方向に向かっているか」という質問に対し、高齢世代は「いいえ」が16%しかいませんが、若者世代は「いいえ」が40%に及んでいます。
(ロシア教師組合 ダニイル・ケン会長)「プーチン大統領は学校を訪問したり、インターネットを批判したりして、若い世代が子どもの頃から保守的になるよう試みているのです」

6月12日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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