5年前から「怪しい」インドネシア“投資話”・・・給付金“10億円詐欺”男 逃亡先で逮捕(2022年6月9日)
およそ10億円に上る持続化給付金の詐欺事件で、主犯格の男が逃亡先のインドネシアで逮捕されました。男は、5年前から現地での投資を知人らに持ち掛けていたことが分かりました。
■“後ろ向き”で同席会見・・・背中には「勾留」
谷口容疑者の知人:「当時、私が見た時より痩せているというか、不安な様子に映っている。谷口さんって聞いて、すごくびっくりしたんですけど。前から、ちょっと悪質な面があったので、なるほどみたいな」
数年前に付き合いがあった男性も驚いた、容疑者の豹変ぶり。巨額の給付金詐欺事件は、急転直下の結末を迎えました。
報道陣の前に姿を現した、オレンジ色の服の男。谷口光弘容疑者(47)です。8日に行われた現地入国管理局による会見。そこに、容疑者も同席させられるという、異様な展開となったのです。
会見中、谷口容疑者は、何故かずっと壁に向かって立たされたまま。背中には、「勾留」の文字が記されています。
入国管理局担当者:「6月7日火曜日、被疑者の身柄が関係当局によって、確保されたとの通報を受理。被疑者のインドネシア滞在は1年半ほど。被疑者が所有する旅券は、日本政府によって、すでに無効化されています」
不法滞在の疑いで、逃亡先のインドネシアで逮捕された谷口容疑者。給付金詐欺事件を巡っては先月、谷口容疑者から指示を受けて、うその申請手続きをしていたとみられる元妻と子ども2人がすでに逮捕されています。
身柄が確保されたのは、インド洋と南シナ海を隔てた海に浮かぶ、インドネシア・スマトラ島のランプン州。日本からは飛行機で行くと、乗り換えを含め、およそ24時間かかります。
■逃亡先でも“投資勧誘”・・・ナマズ養殖も
谷口容疑者がインドネシアへ出国したのは、おととし10月。逮捕までの1年半、何をしていたのでしょうか?
谷口容疑者が潜伏していた村の村長は、次のように話します。
谷口容疑者が確保された村の村長:「(Q.容疑者は村に住んでいたんですか?)いや、彼は村に居住しているわけではない。せいぜい1泊して、翌朝には出発した。私たちの間では、彼は商売、ビジネスをしに来たと思っていた」
取材を進めると、谷口容疑者はこの村で、現地の住民に対し、ナマズの養殖ビジネスを持ち掛けていたことが分かりました。
現地の住民:「(Q.谷口という日本人を知っているか?)うん、あのナマズ養殖の関係者だろ。家も知っている。その家によく来ている。小さな家だよ。ここに調査に来て、帰っていくよ。私と私の友達にも、ナマズを養殖したら、委託料を払う話を持ち掛けてきた」「(Q.ビジネスはうまくいっていますか?)今はまだ、魚を育てている段階なので、お金はまだもらっていない」
逃亡先の海外で、投資ビジネスを行おうとしていたという大胆な行動。逆にこれが、潜伏先の特定につながったということです。
入国管理局担当者:「潜伏場所、周辺地域住民からの通報で、その後、外国籍被疑者の身柄の確保に成功」
■「10億円が3カ月で倍に」知人に“投資話”
5年前に、日本で谷口容疑者からインドネシアへの投資話を持ち掛けられたことがある男性は、逮捕のニュースをあきれた思いで見ていました。
谷口容疑者に投資話を持ち掛けられた男性:「元気ないね」「(Q.そんないつも元気だった?)元気、元気。勢いだけで生きてる感じだったからね。元気が取り柄みたいな。『インドネシアの石油がらみで投資してくれ』。10億円くらい。現地の政治家と写った写真とか見せられて、特に権利関係の証明とか持ってきていないし。写真だけなんですよね」
その際、投資をするとなった場合の振込先を尋ねたところ、谷口容疑者が指定してきたのは、自身の個人口座だったといいます。
谷口容疑者に投資話を持ち掛けられた男性:「この口座に入れるだけで、2、3カ月で倍になって返ってくるという話なんですよね。インドネシアで多額のお金を送金するのに、自分の会社は審査を通っていると。一回、自分の口座に入れて下さいよということですよね。怪しい、これはないなと思いました」
谷口容疑者は、東京・赤坂の行き付けの飲食店を訪れた際にも度々、インドネシアの投資話をしていたと元従業員は証言します。
谷口容疑者が通っていた店の元従業員:「石油とかの話しをして、スポンサーたちをちょっと集めるとかそういう話をしてました。だまされたみたいな人も結構いるらしいです。多分20人、30人くらい。いつも、インドネシアの事業の話をしてたので。インドネシアに居場所があったかなって思いますね」
■いつ身柄引き渡し?強制送還「なるべく早く」
持続化給付金だけではなく、インドネシアを舞台にした様々な勧誘を行っていたとみられる谷口容疑者。日本に強制送還されるのは、いつになるのでしょうか?
現地当局担当者:「(Q.時期は決まっていない?)まだ、決まっていない。日本大使館と調整する。決まったら、なるべく早く皆さんにお伝えする」
東京地検の元検事で、国際犯罪にも詳しい弁護士は、次のように話します。
のぞみ総合法律事務所・吉野弦太弁護士:「東南アジアと日本の捜査当局というのは、緊密に連携を取り合っているはずですから、スムーズに身柄引き渡しになるんじゃないかと思います。1週間とか、もし強制送還となれば、それくらいのスケジュール感で送られてくると思います」
過去最大規模となる、およそ10億円に上る持続化給付金詐欺。仮に、だまし取ったとされる金がインドネシアにある場合、返してもらうことは可能なのでしょうか?
のぞみ総合法律事務所・吉野弦太弁護士:「正直、難しいと思います。日本の裁判権とか、法律に基づく強制執行の権限というのは、原則、日本国内で適用されることですので。犯罪もグローバル化して、海外に逃げていった資産をどう押さえて回収するのかというのは、本件に限らず、各国が抱える問題だと思います」
(「グッド!モーニング」2022年6月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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