外国人が消えた北海道「ニセコ」復活の秘策は?外国人観光客受け入れ再開へ(2022年5月27日)
“インバウンド復活”に向けた動きが加速しています。政府は、現在認められていない「観光目的」での外国人の受け入れを6月10日から再開する方針です。
この動きに期待を寄せる町があります。
▼北海道“ニセコ” インバウンド消え「収入8割減」
サラサラのパウダースノーが観光客を魅了し、インバウンドに沸いていた北海道“ニセコ”。コロナ禍直前のスキー場です。リフト待ちの大行列は、ほとんどが外国人。ニセコ町と倶知安町などからなる“ニセコエリア”は、スキーを中心とした観光を推進し急発展。様々な業種が潤ってきた一方、物価の高騰やオーバーツーリズムの問題も指摘されていました。
ところが、コロナ禍で海外との往来がストップ。今年3月ニセコを訪れるとコロナ前の混雑が嘘のように閑散としています。
日本ハーモニー・リゾート 上林宣夫さん)「ニセコはコロナ前の外国人のいらっしゃる数が圧倒的に多かった反動というのは正直あると思います。日本人を中心に少し戻ってきている部分はありますけども正直やっぱり経営的にはかなり厳しいのは間違いないです。」
影響は観光業以外にも及んでいます。
長谷クリーニング長谷一社長)「こちらがクリーニング済みのリネンでこれから納品する資材になります。」
ホテルなどから発注を受け、タオルやシーツなどのリネンをリースしている地元のクリーニング店。繁忙期にはリースが追いつかないこともあったそうですが・・・
長谷社長)「コロナ前のときから比べると10分の1の配達量になってますね。注文がないというかお客さんが来ていないということ。」
右肩上がりで増えていた外国人観光客数は激減。地元経済は大打撃を受けました。
倶知安観光協会 吉田聡会長)「特に最初の年が一番酷くて、売り上げがこの地域で大体前年度比の2割くらいまで落ち込んでたと思います。4対6でインバウンドの方が国内客を逆転してたので、それがもろにいなくなったというところが非常に大きな痛手となりました。」
▼コロナ禍の空室を活用「ニセコワーケーション」
苦しい状況を改善するために観光協会が対策に乗り出しました。この日、親子でニセコを訪れていた都内在住の山下さん。グリーンシーズンに人気の「ツリートレッキング」を体験していました。親子でたっぷり遊んだ後は・・・
都内在住 会社役員 山下花梨さん)「お仕事しながらという“ワーケーション”っていうんですかね。子供を一緒に連れてきたかったので。」
ニセコがいま力を入れているのが「ワーケーション」。ワーケーションとは「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、仕事をしながら休暇を楽しむ新たな生活スタイルとして注目されています。
山下花梨さん)「お家やオフィスで根詰めてこうやってやってるよりはいい仕事ができるなって私は思ってます。あとは数日間になるので子連れだと荷物が増えちゃうんです。ここは洗濯機とか乾燥機とかも付いてるので意外と荷物も少なく持ってきて汚れたら洗えばいいよという感じで設備的にもありがたいです。」
外国人が所有するコンドミニアムが多いニセコエリア。コロナ禍で外国人が来日できずに増えた空室を有効活用するために貸し出しを始めました。コンドミニアムは設備が充実しているため、ワーケーションに適しているといいます。
吉田聡会長)「やはり海外一辺倒だともしもの時に立ち行かなくなってしまう。原点回帰じゃないですけれども、やはり国内のスキー客、ボーダーのお客さん等に今一度来てもらいたい。」
コロナ禍を機に、インバウンド依存から脱却し、国内客を増やすことが狙いです。
▼“夏の観光資源”充実化で国内外の観光客獲得へ
さらに観光協会主導で始めたのが、ふるさと納税の“進化系”となる「旅先納税・ククル」。返礼品として町内での支払いに充当できる電子クーポンがもらえる仕組みで、納税後「すぐにその場で」使用できるのがふるさと納税との違いです。飲食店やアクティビティなど倶知安町内90以上の加盟店で使用できます。
日本ハーモニー・リゾート 星健太郎さん)「3カ月間で合計70件ご利用いただいて大変良い結果になったと思っております。ふるさと納税ってコトの消費にはなかなか繋がらない。電子クーポンを受け取ることで旅先での体験などコトの消費に使えるのが大きな特徴です。」
この施設では夏のアクティビティの充実化にも力を入れていて、7月にはアジア最大級のジップラインもオープンします。
吉田聡会長)「コロナがあけて外国人のお客さんも戻ってくると思います。夏場の涼しい環境をもっと宣伝して避暑地としてこの地を選んでいただけるように力を入れていきたいです。」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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