相次ぐ中立国のNATO加盟への動き “地殻変動”とも呼べる動きはアジアにも【サンデーモーニング】風をよむ|TBS NEWS DIG

相次ぐ中立国のNATO加盟への動き “地殻変動”とも呼べる動きはアジアにも【サンデーモーニング】風をよむ|TBS NEWS DIG

相次ぐ中立国のNATO加盟への動き “地殻変動”とも呼べる動きはアジアにも【サンデーモーニング】風をよむ|TBS NEWS DIG

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけにして自国の安全を守るため、各国が激しく動き出しています。

■中立国が相次ぎNATO加盟へ 「隣に大きな“熊”がいる」

フィンランドの首都ヘルシンキ郊外。射撃訓練に参加しているのは一般の市民です。

フィンランド市民
「隣に大きな“熊”(=ロシア)がいるので、NATOに入るべきです。それがフィンランドの安全につながります」

ロシアによる軍事的圧力が今後、強まるのではという懸念から”備え”として、こうした訓練をする市民が急増しています。

ロシアがウクライナ侵攻の大義のひとつに掲げたのが、NATO=北大西洋条約機構の拡大阻止。

ところが5月18日、ロシアと1300キロにわたり国境を接するフィンランド、そして200年以上中立を保ってきたスウェーデンという北欧2か国が、そろってNATO加盟を申請。
翌19日には、訪米した両国首脳がアメリカのバイデン大統領と会談。アメリカも全面的な支援を約束したのです。

アメリカ・バイデン大統領
「両国はNATOの全条件を満たしている。私は両国がアメリカの完全な支持を受けていることを保証する」

しかし、加盟国の1つ、トルコは「両国がテロ組織を支援している」として反対していて、今後の交渉に関心が集まっています。

■ロシア主導の軍事同盟も…孤立?

こうしたロシアに対抗する動きが広がる中、5月16日、モスクワでロシア主導の軍事同盟「CSTO」の会議が開かれました。

「CSTO」は、冷戦期にソ連と東欧8か国で作られた軍事同盟・ワルシャワ条約機構が解散し、ソ連が崩壊した直後の1992年に誕生した同盟。現在ロシアを中心に、旧ソ連6か国によって構成されています。

ロシア・プーチン大統領
「(NATOの)軍事インフラには、その脅威に応じた対抗措置をとる」

プーチン大統領は会議の場で、フィンランド、スウェーデン両国のNATO加盟について「軍備拡大には対応する」とけん制したのです。

しかし、カザフスタンはウクライナへの軍派遣を求められたものの要請を断っていたと報じられたほか、キルギス国内からは脱退論が出ているなど、ロシアの孤立も浮き彫りとなっています。

■欧州ではロシアが アジアでは中国の動きが加速か

ヨーロッパで長く保たれてきた国際的枠組みが大きく揺らぐ中、こうした「地殻変動」とも呼べる動きはアジアにも及んでいます。

中国外務省・趙立堅報道官
「安全保障協定はふたつの主権国家の『聖なる権利』だ」 

海洋進出を進める中国が、4月、南太平洋ソロモン諸島と安全保障協定を結んでいたことが明らかに。今後、南太平洋への中国軍の派遣や常駐化などが懸念されているのです。

この動きを牽制するかのように5月17日から、オーストラリア軍、アメリカ軍、そして日本の自衛隊が合同訓練を実施。今後こうした訓練は一層増えると見られています。

アメリカ海兵隊中佐
「三者の統合はとても重要です」

さらに、中国を巡ってアメリカ政府は…

アメリカ・ヘインズ国家情報長官
「中国は台湾を軍事的に制圧できるような状態にするために努力している」

中国が、台湾を制圧するための準備をしていると分析。
こうした中国の動きに対抗して、安全保障を巡る新たな枠組みが今、注目されています。

■アジアでも「枠組み」に変化 日本は?

アメリカ・バイデン大統領
「歴史的な一歩を踏み出した」

2021年9月、アメリカは対中国を念頭に、イギリス、オーストラリアと共にインド太平洋地域の安全保障における軍事同盟「オーカス」を発足させました。
また日本も、アメリカ、オーストラリア、インドと、4か国による外交・安全保障の協力体制「クアッド」を結成し参加しています。

このような動きに対して、元外務事務次官の藪中氏は…

元外務事務次官 藪中三十二氏
「ヨーロッパについては、ロシアが引き起こしたことに対して周りの国がそれに対抗せざるをえない、そういう意味でのNATOの拡大。ただそれが自動的に、アジアも軍事的機構が必要なのかというのは別問題。日本はそれに対してどうするのかは問われなきゃならない」

■バイデン大統領初来日 中国やロシア巡る対応協議か

こうした中、5月22日にはアメリカのバイデン大統領が、大統領として初の来日。24日には都内で「クアッド」の首脳会議も予定されており、中国やロシアを巡る対応が話し合われる予定です。

藪中氏
「今回バイデン大統領は日米首脳会談、その上でクアッドサミットに出る。明らかに中国を念頭に置いている。日米同盟関係は大事、維持していかなくてはいけない。しかし、日本についてもっと必要なことは平和を作るような外交、侵略行為に移っていかないように、それを食い止める抑止するという外交が必要だと思いますね」

国際社会に新たな枠組みが生まれ、分断が広がる中、世界はどこに向かおうとしているのでしょうか。

(サンデーモーニング 2022年5月22日放送より)

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