【独自】「アルミ缶争奪戦」早朝の住宅街で・・・買取価格2倍 原料高騰 生活にも影響?(2022年5月20日)

【独自】「アルミ缶争奪戦」早朝の住宅街で・・・買取価格2倍 原料高騰 生活にも影響?(2022年5月20日)

【独自】「アルミ缶争奪戦」早朝の住宅街で・・・買取価格2倍 原料高騰 生活にも影響?(2022年5月20日)

 横浜市鶴見区の早朝に繰り広げられる「アルミ缶の争奪戦」。回収する人は、買い取り価格が倍以上になったと話しています。アルミの高騰が、私たちの生活にも大きく影響してくる可能性があります。

■台車“山盛り”・・・勝手に持ち去り

 18日午前6時すぎの横浜市の住宅街。この日は、資源ごみの回収日ですが、回収される前に、アルミの空き缶を持ち去る人の姿がありました。

 台車を使ってアルミ缶を持ち去る男性。別の場所を取材していると、再び男性の姿がありました。

 2時間ほど前に見かけた際は、男性の腰当たりまでの高さのアルミ缶でしたが、今は男性の肩より上、ほぼ顔辺りまで積まれており、台車には非常に多くのアルミ缶が積まれています。

 前が見えないほど積み上げられた空き缶。この状態で、どこまでアルミ缶を運ぶのでしょうか?

 この男性は、自転車を使っています。こうしたアルミ缶の持ち去りは、多くの自治体で条例違反とされています。

 横浜市でも、ゴミ集積所に貼られた注意事項には「持ち去り禁止」の文言が書かれています。

 違反した場合は、20万円以下の罰金が科せられます。それでも、アルミ缶の持ち去りは後を絶ちません。

■住宅街で「早朝5時からガシャン」

 危険を承知で、限界まで運ぶ人もいます。ゴミ集積所の近くに住む人は、次のように話します。

 近隣住民:「足でこういうふうに潰して、ガシャーンガシャーンってやるじゃないですか。あれが、結構響いていたけどね。もう午前5時すぎぐらいから、もうやってましたよね。あれが皆うるさいんだよね。足で潰して小さくして持っていくから」「潰して、大きな音を出したりするので、そういうこともやってほしくない」

 大きな袋に、空き缶を詰め込む時に出る騒音。別の場所でも、大胆に音を立てている男性がいました。缶を潰してはいませんが、大きな音が響き渡ります。

 アルミ缶を持ち去る人に話を聞いてみると、次のような答えが返ってきました。

 アルミ缶を持ち去る人:「(Q.なぜ、空き缶を集めてる?)それは生活のためでしょ」「(Q.買い取ってもらう?)そうそう。買い取り業者があるんで」

 近隣住民は、こうした持ち去り行為について、ある変化が起きていることに気付いていました。

 近隣住民:「犬をお散歩させてても見るので、以前よりはちょっと増えているかもしれない」「昔から、そういうあれ(アルミ缶持ち去り)はあるけど、頻度は高いかもしれないですね。こういうご時世なので」

■アルミ缶の買取価格“2倍”で異変

 最近、持ち去りの頻度や人数が増えているというのです。一体、なぜなのでしょうか?

 アルミ缶を持ち去る人:「この前までは、キロ220円かな。多くて7000から8000円になる。30キロ近く持っていくと7000、8000円。昔は2000円から3000円だったけど、倍以上になった」

 アルミの買い取り価格が高騰し、持ち去る人たちの間で、アルミ缶の争奪戦になっているというのです。しかし、たとえ生活のためとはいえ、条例違反には違いありません。

 その点を聞くと、次のような答えが返ってきました。

 アルミ缶を持ち去る人:「(Q.ゴミ自体を集めたらだめだというのが、市とかあるのでは?)たまにあるね。来るね。嫌がらせなんだよな。置いてけとかさ。取ったやつ、置いてけとかいうんだよ」「(Q.罪悪感というのは?)あんまりないよ。いちいち気にしてたらでしょ」

■専門家も想定外「とんでもない消費量」

 今なぜ、アルミ缶の買い取り価格は、倍にまで膨れ上がっているのでしょうか?アルミニウムの流通に詳しい専門家は、次のように話します。

 アルミの流通に詳しい「ニッカル商工」松下力代表取締役:「我々で基準の取引価格となる、NSPというものがあるが、現状だと限りなく(1キロ)500円に近い状況まで上がってきている。一番安いところから比べると、倍以上だと」

 日本では、アルミニウムの生産を行っていないため、100%輸入に頼っています。円安や原油価格の値上がりで、アルミの価格が高騰しているだけでなく、要因は他にもあるといいます。

 松下力代表取締役:「ここにきて、自動車の軽量化、エンジンブロックとか、足回りとか。今まで車体にアルミなんか使わなかったところに対して、急にそれが使われるようになったから、とんでもない消費量の伸び方していて。(アルミの)二次合金が足りないみたいなんですよ」

 不足している「二次合金」とは、リサイクルで製造するアルミ合金のこと。そのため、原料となるアルミ缶自体の需要も高まっているのです。

■エアコンにも使用・・・価格も値上げか

 軽量化が必須の電気自動車以外にも、アルミが足りず、生産が困難な家電製品があるといいます。それは、これからの時期に絶対に必要な家電・エアコンです。

 本体・室外機ともに、内部はほとんどアルミで作られています。エアコン製造メーカーの関係者は、次のように話しているといいます。

 エアコンメーカー関係者:「アルミに限らず、部材価格、金属、半導体、すべての値段が高騰している。物流コストも上がっていて、メーカーによっては、すでにエアコンの販売価格を上げると宣言しているところもある。相当厳しい状況だ」

 アルミニウムの高騰は、いつまで続くのでしょうか?

 松下力代表取締役:「(アルミ価格は)おおむね、原油にリンクしていますので。原油が下がれば、アルミも下がります」

(「グッド!モーニング」2022年5月20日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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