“川底に穴”田植え直前に・・・工場停止など影響広がる 愛知・取水施設で大規模漏水(2022年5月18日)

“川底に穴”田植え直前に・・・工場停止など影響広がる 愛知・取水施設で大規模漏水(2022年5月18日)

“川底に穴”田植え直前に・・・工場停止など影響広がる 愛知・取水施設で大規模漏水(2022年5月18日)

愛知県豊田市にある取水施設『明治用水頭首工』で大規模な漏水が発生しました。

この施設は、川の水位を上げて取水し、工業用と農業用の水を供給しています。その範囲は、西三河地域の9市3町にも及んでいます。堤の長さは約167メートル、7つの水門があります。

何らかの原因で川底に穴が開き、川の水が堤の下をくぐって下流に流れているため、水を貯めることができなくなりました。

最初に漏水が確認されたのは3日前。翌日に砕石を投入して、穴をふさごうとしましたが、漏水状況に変化はなかったということです。

そして、17日に漏水の範囲が拡大し、水位が下がったため、取水口から水を引き込むことができなくなりました。県によりますと、午前5時前から、まったく取水できない状態となり、25台の仮設ポンプで、水を汲み上げています。

東海農政局、小林勝利局長:「漏水があったのは15日に確認したわけですが、これほど急激に水が抜けるとは想定していませんでした。対応が結果的に後手に回って、発表が18日になってしまった。結果的に少し遅くなったように見える点は申し訳ない。原因については現在分かっていません」

この用水は、豊田市や安城市など、西三河地域にある131の事業所に工業用水を供給していますが、今回の漏水で影響が出ています。多くは自動車関連の事業所で、トヨタ自動車によりますと、井戸水などを活用して対応していますが、19日は、大府市にある関連会社の工場で昼間の稼働を停止します。

すでに、影響が出ているのは発電所です。大阪ガスは、水蒸気で発電用のタービンを回すなどで、水が必要な火力発電所2基を18日午後に停止しました。

さらに、農家にも影響が出ています。東海農政局によりますと、この用水は県中部8市の田畑、約5400ヘクタールに供給しています。しかし、今回の漏水を受け、社会的影響が工業用より小さいとして、農業用の供給を先に止めました。

安城市で、コメ農家を営む成瀬浩司さん(63)。田んぼには、ほとんど水がありません。

コメ農家、成瀬浩司さん:「困っちゃう。今から1カ月は水がいる時期なので、どうなっちゃうのかなと。(Q.今が一番水が必要?)(田植えが)遅い品種は今が一番必要な時期」

市によりますと、3分の2の農家が明治用水を頼っているといいます。ハウスには、大量の苗が田植えを待っていました。

コメ農家、成瀬浩司さん:「(Q.いつ頃から田植えが始まる?)今月の20日前後から。今から(の農家)がほとんど。早く水を通して頂くことが一番。一番大事な時期なので。一日も早く、今は待ったなしなので」

漏水の原因は穴によるものだとみられ、場所はメインの取水口の反対側。東海農政局の説明では、15日から翌日にかけ、水門の上流側で渦、下流側で水が湧き上がっているのが確認されました。湧き上がりは、次第に大きくなっていったといいます。

東海農政局、小林勝利局長:「吸い込み口と思われる渦を巻いているところに棒を差したら、9メートルくらい棒が入った。(通常の)深さは4~5メートルだから、その差で(穴の深さは)4~5メートルってことですかね。穴の直径につきましては、正直まだよく分かっていない」

また、去年12月にも漏水が起きていたとの説明がありました。この時は規模が小さく、砕いた石を投入することで、9割方が収まったといいます。しかし、少量の漏水は続いていて、今回の場所の近くだということです。

さらに、今月まで大規模な耐震工事が行われていました。

東海農政局、小林勝利局長:「事実関係として時系列で考えると、今回漏水が起きる前に工事を周辺で行っている。まったく関係ないと言い切るには無理があるんだろうという思い」

現在の『明治用水頭首工』が完成したのは、64年前の1958年。経年劣化の可能性についてはこう話しました。

東海農政局、小林勝利局長:「頭首工自体、かなり以前に整備したもの。老朽化という点は可能性としてあり得るかとは思うが、繰り返しますが現時点で原因が特定されているわけではない。これ以上は分かりません」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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