“プーチン人気”いつまで?世論調査から見えるロシア国民の本音(2022年5月11日)
ロシア独立系世論調査機関『レバダセンター』の最新の調査によりますと、ウクライナに対する“特別軍事作戦”への支持率は、3月は81%でしたが、4月は74%と7ポイント低下しました。
◆『レバダセンター』特別顧問、レフ・グドゥコフ氏へのインタビューです。
(Q.プーチン大統領の支持率が高い理由は?)
プーチン大統領の“人気の波”は『軍事キャンペーン』と連動しています。ピークは『軍事キャンペーン』の時期と重なります。第2次チェチェン紛争、2008年のジョージア紛争、2014年のクリミア併合、そして支持率の長期低迷の後、再び“軍事人気”の兆候が見られます。
(Q.「特別軍事作戦」の支持は低下傾向も見られる。年代的な違いはあるのか?)
軍事作戦を支持する傾向はすべての年代で見られます。ただ、年代ごとの特徴があります。例えば年金生活をしている高齢者や55歳以上の人々の間では支持率は90%に達しています。しかし、若い世代では50~53%にとどまっています。若者の間では否定的な意見が目立ちます。若い世代はプロパガンダを流す国営放送をあまり見ません。それにインターネットという“迂回路”があります。ブロックされているサイト以外から公式情報とは異なる情報を得ることができます。若者は軍事行動に批判的です。なぜなら、これが『大戦争』につながる脅威であり、動員される可能性もあるからです。
(Q.5月9日の対独戦勝記念日でプーチン大統領は哀悼の意を捧げた。プーチン氏の支持率はこの演説以降、変わっていくのか?)
ウクライナでのロシア軍の戦死者の情報を隠し通すことはできません。いつかは必ず、こうした情報は明るみに出ます。親族が(戦死通知を)受け取るからです。ですからプーチン氏は、これについて言及しなければなりませんでした。しかし損失の規模などは、少なくとも大半のロシア国民には知られていません。ですから人々の死、ロシア兵の死、当然ですがウクライナ国民の死、ウクライナ兵の死といった悲惨な現状は、まだ影響を与えていないのです。繰り返しますが、非常に厳しい検閲が行われているのです。
(Q.プーチン氏の支持率は今後どう変化していくのか?)
当然ながら支持率は下がっていき、プーチン氏への支持は弱まり、いら立ちや不満が広がり蓄積されていくと思います。しかしそれは、もっと後になってからのことです。プーチン氏がもたらした壊滅的な影響は、現時点では高い教育を受けたロシア国民だけが認識しています。物価高騰、インフレだけではなく、雇用削減といった経済的影響を実感している大都市の住民です。地方に影響が出るのは夏の終わり、下手したら年末だと思います。情報から隔離された環境では、世論はゆっくり変化するからです。政治と軍事行動が日常生活に影響するまで時間がかかります。
(Q.ウクライナでの『特別軍事作戦』の支持率が下がり、政権を揺るがすことはあるか。その場合はいつ頃か?)
とても長い時間がかかります。ウクライナの戦況によります。何らかの急速な変化、つまり政権に対する国民の急速な変化は期待できません。恐怖、抑圧、情報統制などのせいで、いま起きていることに国民は即座に反応できないのです。
(Q.プーチン氏の支持率が下がり、戦争終結を決断する可能性は?)
戦争を止めることはプーチン氏の政治生命の終わりを意味します。どんな理由をつけてでも、決して戦争終結へとは動きません。ロシア軍の力が尽きるまで軍事作戦を長引かせるでしょう。
(Q.ロシアでは正常な形で世論は形成されないということだが、支持率が低下するなら国民の生活に何か影響が出た時か?)
今の状況を変えられる要因は3つ。第一に国民の実質所得が長期的に減少した時です。これはすでに進んでいます。しかも単に長期的というわけでなく、生活水準に影響が出るレベルでないとダメです。第二に戦争に負けること。第三に政権中枢が分裂するような社会問題が続くことです。特に政権の悲惨な結末を分かっている幹部官僚の分裂です。今のところ、幹部官僚の分裂はプーチン氏が抑え込んでいます。プーチン氏の周辺は脅かされ、忠誠を強いられています。しかし、それもいつまで続くか分かりません。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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