トランプ政権の政策撤廃で大モメ?不法越境急増の国境地帯の今を取材|TBS NEWS DIG
トランプ前政権と異なり、移民に寛容な姿勢を示すアメリカのバイデン政権。ただ反対も根強く、政権の足下を揺るがしかねない事態となっています。国境の現場を取材しました。
メキシコと国境を接するアメリカ南部のアリゾナ州ユマ。
ひたすら続くこの高い壁は、別名「トランプの壁」。移民に厳しい対応をとった当時のトランプ大統領が建設を命じましたが、その後、移民に寛容なバイデン政権の発足で建設は中止されました。
記者
「アリゾナ州には、このように国境の壁が途切れた部分があって、近くにあるダムは、対岸のメキシコ側から不法に国境を越える人たちの通り道になっています」
ここは川を挟んで、すぐ目の前がメキシコですが…
カメラが撮影する中、小さな子どもを含むグループが、ひっきりなしに国境を越えてきます。不法越境により拘束された人は、バイデン政権の発足後、爆発的に増え、アメリカの国境警備当局によると、3月には22万人と過去最多を更新しました。
不法越境者
「(アメリカに入れて)とてもハッピーです」
「よい生活がしたいです。アメリカには大きなチャンスがあります」
こうした人たちには難民申請する権利が認められていますが、実は現状、半数以上が申請できない状況です。
おととし3月、当時のトランプ政権が新型コロナ対策として難民申請を厳格化したためで、180万人を超える人が国外退去になっているといいます。
これに対しバイデン政権は4月、この措置を撤廃することを決定。ただ国境の街では。
国境の近くに住む男性
「壁の隙間が見えます、あそこは埋められるべきでした。バイデンが大統領になってから、クレイジーな状態になってしまった」
難民申請希望者に紛れ、国境を越えてきたギャングが、自宅に潜んでいたことがあるというこの男性。
バイデン政権の政策変更による状況の悪化を懸念しているのです。
国境の近くに住む男性
「措置を撤廃したら大変ですよ」
一方、国境の向こう側メキシコ・ティファナでは、バイデン政権による難民申請厳格化の措置の撤廃を歓迎する声が。
メキシコで難民申請を待つ人
「(措置の撤廃は)難民申請を希望する人たちに安心や希望を与えてくれます」
ティファナにある複数の施設には、貧困や暴力から逃れてきた移民希望者およそ4000人が難民申請手続きを待っていました。
移民希望者の施設の代表
「みんなワクチンを打っています。アメリカ人の健康を危険にさらしていないし、差別です」
バイデン政権は5月23日で問題の“厳格化措置”の撤廃を決定していますが、知事が共和党のアリゾナ州はこれに反対、連邦政府を提訴していて対立が鮮明化しています。11月に中間選挙を控える中、国境をめぐるさらなる混乱は、バイデン政権の足元を揺るがしかねない問題に発展しそうです。
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