戦勝記念日前に「プーチン氏マリウポリ電撃訪問」？(2022年5月7日)

戦勝記念日前に「プーチン氏マリウポリ電撃訪問」？(2022年5月7日)

5月9日に迫ったロシアの「戦勝記念日」。この日に何が起きるのか。そして、その日を前にしてプーチン大統領の側近が相次いでウクライナ南部を訪問した。
側近の訪問は何を意味するのか。筑波学院大学の中村逸郎教授が、プーチン大統領のウクライナ電撃訪問の可能性についても解説する。

高島）
中村さん、マリウポリなどロシアの戦闘が続くウクライナの南部をプーチン大統領の側近が相次いで訪問しているということなんですけれども、この意図は何だというふうにお考えですか。

筑波学院大学　中村逸郎教授）
5月9日、対ナチスドイツ勝利記念日があるわけですけれども、それに合わせてマリウポリで軍事パレードをして、そして「勝利宣言」をしたいと。それをするためにこの2人が現地に入っているということですけれども、もしかしたら、プーチン大統領自身がこのマリウポリに電撃訪問して、そこでこのウクライナ南東部を制圧したということにしたいと。可能性をギリギリまで探っているということなんですね。もともと、今回2月24日に軍事侵攻したんですけれども、5月9日の戦勝記念日に合わせて、本当のところはこのウクライナを制圧したという「勝利宣言」をしたかったということなんですね。

高島）
ただ、今これだけ戦闘が続いている中で、プーチン大統領が（マリウポリに）来るということは可能なんでしょうか？

中村教授）
そこは非常に難しいところなんですね。もし行けなかったら、そして今回「勝利宣言」ができないということになれば、追い込まれたプーチン大統領が、5月9日に戦勝記念日ですけれども、そこで新たな段階として、「戦争宣言」を発表するかもしれないという事なんですね。
●対ナチス・ドイツ「戦勝記念日」何がある？

高島）
では2日後に迫った注目の戦勝記念日、何が起きるのでしょうか？

板倉）
5月9日は、ロシアにとって対ナチス・ドイツ「戦勝記念日」です。毎年モスクワの「赤の広場」では軍事パレードが行われています。
中村さん、この5月9日を迎えるにあたってロシア国内の雰囲気は今どうなんでしょうか？

中村教授）
私のモスクワに住んでいる友人の話によれば、かなりしらけてきてるなということなんですね。これは戦勝記念日のシンボルになるリボンなんですが、戦勝記念日の前辺りから各都市でモスクワ市でもそうですけれども、ボランティアの人たちが、街行く人たちにこれを配って、そして5月9日にみんなでこのリボンを手に巻いたりとか、胸につけたりとかしてお祝いをしようということを毎年やって来たんですけども、どうやら今年はリボンが配られる光景が少ないというような話を聞いた。かなり今回はしらけてるなという感じなんですね。

高島）
しらけてる、その背景にはどういったことがあるんでしょうか？

中村教授）
若者を中心に、この戦争はおかしいんじゃないかという「反戦機運」が高まっているんですね。そして、オリガルヒと言われているプーチン政権の中でお金持ちになった人たちも、今どんどんどんどん国外に出て行っているということで、今回の戦争に対して、おかしいと思う人たちが増えてきているというところで、プーチン大統領としてはこういった「戦争宣言」をすることによって、国内を引き締めたいという狙いがあるということなんですね。

高島）
「戦争宣言」をするかもしれないと言われていますが、何も宣言をしないという可能性はないんですか？

中村教授）
“何も宣言をしない”ということは、結局今の軍事作戦というのは敗北であったということになってしまう。ということでプーチン大統領としては何もしないということはできるだけ避けたいと思っているんだと思いますね。逆にプーチン大統領が「戦争宣言」をすれば、これはかなり無理をしているなと。実際に兵士の犠牲者も非常に多く出ているということは、プーチン大統領そして報道官が認めているわけですから。とてもついていけないという事で、もしプーチン大統領が「戦争宣言」をすれば、かえって反プーチン運動にまで一気に巻き起こってしまう可能性もあるわけですよね。ですからプーチン大統領にとってはいずれにしても追い込まれた形で賭けに出るってことですね。

●「戦争宣言」でウクライナは？

高島）
ウクライナ側から考えますと、今回ロシアが「戦争宣言」をもししたとしたら、西側諸国がウクライナをもっと支援しやすくなるのかなと思うんですが、ここはどうでしょうか？

中村教授）
実際にNATO諸国というのは、恐らく「戦争宣言」をするであろうっていうことを前提にもう動き出しているんですね。ですから例えばイギリス・フランス・ドイツ・ポーランドの国々は、兵士をウクライナに送り込める準備がもうできているというニュースも入ってきてるんですね。ですからこの「戦争宣言」に向けて、国際社会もすでに動き出してきているというふうに考えられます。
この5月9日っていうのは、私たちの世界史にとって、大きなターニングポイントを迎えるということで、月曜日は非常に重要な日になると思います。
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