【焦点】知床観光船事故 社長が認めた「2つの規定違反」その責任は問えるのか?(2022年5月4日)
北海道知の床沖で観光船が沈没した事故で悪天候のなか、4日午後からは水中カメラによる捜索活動が再開されました。また、桂田精一社長を巡っては自身の違反を認めた文書の存在が立件への重要なものになる可能性があると専門家は指摘しています。
海上運送法に基づく安全管理規定に違反した疑いがある桂田社長。
先月の記者会見以降、メディアには口を閉ざしています。
今月4日、雨に見舞われた北海道斜里町の施設には安否不明者12人の発見を願う寄せ書きが・・・。
水深約120メートルの海底に沈む観光船「KAZU1」。
遠隔で海底映像を見られる高性能機材や潜水技術を持つ調査船「親日丸」が2日に鹿児島を出港し、4日昼前に福井県若狭湾沖を通過しました。
現場では午前中、海の状態が悪かったものの午後からは水中カメラを使った捜索も行われています。
家族説明会で配られた運航会社の桂田社長名の文書には・・・。
桂田社長(家族説明会で配られた文書から):「運航基準第10条によれば船長は当社営業所にいる運航管理者に対して運航基準図に記載の各地点に達した時、到達地点名・天候・風向き・風速・波浪の状況などを連絡しなければならないとされています。しかし、事故当日は上記連絡も記録も行っていませんでした」
さらに、社長は「事務所にいるべき運航管理者」が自分であったとし、その場を離れていたと説明。
安全管理規定について自ら認めた2つの違反。
今後の焦点は桂田社長の責任を問えるかどうかです。
元検事の若狭勝弁護士が捜査のポイントを解説。
元検事・若狭勝弁護士:「午後から荒れるということであれば『出航を差し控える』とか社長もすべき注意義務を怠ったとなると過失があるということになり、業務上過失致死傷という刑事責任を追及されていくことが起こり得る」
もしKAZU1に運航の操船ミスがなかったとして業務上過失致死の罪を問われた場合、「事故を予見できたか」という予見可能性と「事故を防げたか」という結果回避可能性の立証が必要だといいます。
桂田社長は会見で、天候が悪化するとの予報は「知っていた」とも話しました。
元検事・若狭勝弁護士:「それにもかかわらず出航を漫然と行わせたということにおいて過失があると」
船長と緊密に連絡を取るなどして事故を回避する義務があった社長ですが、にもかかわらず、家族に配られた文書のなかで実際には事務所にいなかったことが判明。
結果回避措置が講じられていたかどうかの重要なポイントになるといいます。
元検事・若狭勝弁護士:「運航基準通りになされていなかったということが過失判断の一つの要素に。今回、社長が運航基準に違反していたことを認めていることになると、その点についての『社長の自白』というのが文章においてなされていると」
さらに若狭勝弁護士によりますと、亡くなった人の人数の多さなどを考慮した場合、示談などが行われなければ桂田社長は「懲役3年以上の実刑」となる可能性があると話します。
※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く