沈没事故が「観光の街」に暗い影 「水中カメラ」船内に入るも不明者見つからず(2022年5月4日)
北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故について、水中カメラが初めて船内に入りましたが、行方不明の新たな手掛かりは見つかっていません。そして、今回の事故はゴールデンウィークで書き入れ時の観光にも大きな影響を与えています。
手向けられた花に冷たい雨が降り注ぎます。
終わりの見えない捜索。今の状況をいつまでも続けられるわけではありません。
捜索にあたっていた漁業関係者:「(捜索範囲は)知床半島の先から女の子が見つかった所。朝6時くらいから。これからは仕事しながらも協力していく感じ」
普段、釣り船を営む男性に話を聞くことができました。制限も解除され、期待を寄せていたゴールデンウイークもそうはいきません。
釣り船業者:「GW予約入っていたのを全部断ったので。入っていたけども、全部断りました」「(Q.何件くらい断った?)3件ですね。コロナの影響でお客さんも結構減ってましたし、そのなかでGW、この事故でゼロになっちゃいますので、なかなか皆さん厳しいと思いますよ」
苦渋の決断で休業を決めました。
釣り船業者:「組合皆で休業しますということでやっているので、大変だってできないですね。捜索海域すぐあっちの方にいけないから。釣る場所限られちゃうので。大変な時期に遊んで帰ってくるのもできない」
一刻も早く帰れるように、人々の思いは一つです。
釣り船業者:「大変な事故。捜索活動中ですけども、早く皆さんあがってくれればいいなと」
その手掛かりはつかめたのでしょうか。
第1管区海上保安本部・横内伸明次長:「道警の水中カメラが船内に入った。具体的なところについては詳細は入ってきていません」
3日午後5時すぎ、水中カメラが水深約120メートルの海底に沈没している「KAZU1」の船内に初めて入りました。映像には椅子などが映し出されていたそうです。
水深約120メートル、ことはそう簡単ではありません。
漁業関係者:「あの水深ならほとんど日も差さないしね。30メートル過ぎれば日が届かないから難しい」
その現場を目指す一隻の船があります。
4日、山口県沖を走るのは「新日丸」です。高度な水中カメラと水深120メートルの深さに潜れる技術を持ちます。かつて水深350メートルに眠る戦艦「大和」の撮影にも成功しました。
6日には知床半島沖に到着する見通しです。
事故原因も着々と調べが進みます。
運輸安全委員会の事故調査官がよく似たルートを通る船に乗り、KAZU1の航路を確認していました。
事故に遭った家族へ、安全管理規定の違反を認めていた桂田精一社長。事故は予見できたのか。海上保安庁は押収物を解析するなどして詳しく調べています。
書き入れ時のゴールデンウィークを迎えた北海道斜里町。街の大きな産業でもある観光にも影響を与えています。
東京・練馬区からやって来た観光客に出会いました。
練馬からの観光客:「きょうは本当は小型観光船で知床に行く予定だった。(観光船に)乗れないから仕方ないからぶらぶらしてあした帰る。観光船楽しみにしていた。ショックですけどね、大変ですよ」
ゴールデンウィークらしい光景が見られた場所もあります。
ウトロ漁港では観光船が運航を停止する一方で、食堂ではゴールデンウィーク中ということもあって雨のなか観光客が行列を作っています。
本格的なシーズンは6月からということですが、こちらも予約が相次いでいました。
知床サイクリングサポート・西原重雄代表:「予約状況は結構良い方と思います。コロナの影響でぐっと減ってちょっと回復してきた」
斜里町にあるレンタルサイクルの店です。
知床五湖まで片道15キロほどをサイクリングできます。観光船中止の受け皿となっていました。
知床サイクリングサポート・西原重雄代表:「何件か船が欠航しているので『やることないからサイクリングでも』と飛び入りで来る」「(Q.今年のGWは予約は増えている?)ちょっと増えたと思います。『船が出ないので』と言っている客はいた。(これからの季節)カムイワッカの滝も行けるようになる。みられるところが増える」
※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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