『少しでも恩返しを』キッチンカーで“母国の味”生活再建に踏み出すウクライナ避難民(2022年5月3日)

『少しでも恩返しを』キッチンカーで“母国の味”生活再建に踏み出すウクライナ避難民(2022年5月3日)

『少しでも恩返しを』キッチンカーで“母国の味”生活再建に踏み出すウクライナ避難民(2022年5月3日)

ロシアの軍事侵攻を逃れ、滋賀県彦根市に避難したウクライナ人家族。母国の味で生活再建への第一歩を踏み出しました。

 「ウクライナ料理のキッチンカーを始めたい」。こう話すのは、ウクライナ人のイリーナ・ヤボルスカさん(50)と母親のギャリーナ・イバノバさん(80)です。今年3月にウクライナのハルキウから彦根市に避難してきました。

 (イリーナ・ヤボルスカさん 5月2日)
 「『ありがとう』や『おいしい』という言葉が、いまの私たちの活力になります。さまざまな地域の人たちに母国の味を届ける、それを叶えるのがキッチンカーだと思いつきました」

 突然奪われた日常。ウクライナの自宅は爆風によって窓が粉々になりました。イリーナさんの夫はいまも現地に残っています。

 (イリーナ・ヤボルスカさん 4月21日)
 「粉砕された街をどのように復活させていくのか、正直想像もつかないほどやられてしまっています。本当に住民たちは苦しんでいます」

 彦根市内で暮らすイリーナさんの娘夫婦を頼りに来日した2人。滋賀県が無償提供する宿舎で暮らし、約1か月が経ちました。

 (ギャリーナ・イバノバさん)
 「かなり生活にも慣れてきました。徒歩数分のところに琵琶湖があり、本当にリラックスできます」

 今年4月、生活の基盤を作るため就労可能な資格に切り替えることができました。ただ、キッチンカーで料理を作るにも、まずは日本の味を知ることが大切です。この日、初めてウナギのかば焼きを食べました。イリーナさん、箸の扱いは特訓中のようですが、かば焼きの味はどうだったのでしょうか。

 (イリーナ・ヤボルスカさん)
 「もう少ししょっぱい方がおいしい。日本人とウクライナ人との味覚の違いは分かりましたが、まずはウクライナの伝統的な味を作って提供したいと思います」

 この日、試作にとりかかったのはクレープに似た母国のスイーツ「ブリンチキ」です。

 (イリーナさんの娘 カテリーナさん)
 「(Qブリンチキはウクライナでは有名な料理?)はい、みんなできるよ。カフェや家、みんな」

 フライパンで生地を焼き、干しブドウ入りのチーズクリームを入れて巻いていくと完成です。鮮やかなウクライナカラーに仕上げました。

 (カテリーナさんの夫 菊池崇さん)
 「じゃあ、いただきます。おいしい!」

 イリーナさんも試食。日本で作る母国の味はどうだったのでしょうか。

 (イリーナ・ヤボルスカさん)
 「生地はうまくできたと思いますが、中身のクリームに使うチーズの違いが大きいので、そこをどうにかしないといけませんね」
 (カテリーナさんの夫 菊池崇さん)
 「ウクライナで食べたときの方がクリームが濃厚というか。ちょっとやっぱりもう少し改良が必要やなぁ」

 4月27日、イリーナさんは購入を検討しているキッチンカーを見に行きました。働く姿をイメージしながら念入りに確認します。

 (イリーナ・ヤボルスカさん)
 「小さい棚や壁にフックが欲しいですね。調理道具を掛けるスペースがもっとあればより便利です」

 そして選んだキッチンカーは…

 (イリーナ・ヤボルスカさん)
 「2つ窓があるのが開放的で収納のスペースが広いですね。台所もこちらの方が広いですし、気に入りました」

 イリーナさんは今後、クラウドファンディングを通じて寄付を募り、5月下旬のプレオープンを目指すとしています。

 (イリーナ・ヤボルスカさん)
 「日本に来たときは正直モヤモヤしていて、ウクライナが不安で仕方ありませんでした。ただ、キッチンカーのアイデアを思いついたとき、不安を上回るチャレンジ精神が沸き起こりました。日本の方々に少しでも恩返しをしたいです」

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