海底の知床観光船“後部ドア開いていた” 水中カメラ新たな画像公開(2022年4月30日)

海底の知床観光船“後部ドア開いていた” 水中カメラ新たな画像公開(2022年4月30日)

海底の知床観光船“後部ドア開いていた” 水中カメラ新たな画像公開(2022年4月30日)

元海上保安監が分析
「沈んだ時に比較的沖合を通行していた可能性がある」
「船の引き上げにあたって船を傷つける恐れがあるので非常に期間がかかることも」

「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で亡くなった加藤七菜子ちゃんの祖父が、きょう4月30日夕方会見し、苦しい胸の内を語りました。
「1日でも早く1日でも早く私たちの手元に返して頂きたい・・・」
両親とともに北海道を訪れていた七菜子ちゃん。事故から丸1日が経った24日、知床岬の東およそ14.5キロの海上で発見されました。その後、父親の直樹さんも見つかりましたが母親の安否は、依然不明のままです。

亡くなった加藤七菜子ちゃんの祖父
「救出してくれた方々、漁港関係者の方々、献花台に花を添えてくださった皆様斜里町の皆さんの方々など本当にありがとうございます。なおみの帰りを待ちます。そっとしておいてください」
そして今日も、捜索が続くKAZU I(カズワン)を運航する知床遊覧船の桂田社長が家族への説明会に参加しました。

ヘリ報告 雲戸和輝
「今黄色い水中カメラが海に投入されました。これから水深およそ120mに沈んでいる観光船の中に人がいないかどうかの捜索が行われます」
そのカメラで、新たにわかったことがあります。第1管区海上保安本部はきょう水中カメラでKAZU I(カズワン)の後部のドアが開いている状態を確認したと発表しました。中にカメラは入れてはいないということです。
観光船「KAZU I(カズワン)」はきのう29日、通報があった「カシュニの滝」から1.3キロほど沖合の、水深およそ120メートルの海底で見つかりました。
そして今日、海上保安庁は船全体が見える新たな画像を公開しました。船は、緑色の帯、水深115mあたりに、船底を下にして沈んでいる様子がうかがえます。
この画像を見る限り、大きく損傷している様子はないようです。
この画像から何が分かるのでしょうか?事故が起きた周辺海域に詳しい元海上保安監の伊藤裕康(ひろやす)氏に話をききました。
「中央に映っているのがKAZU I(カズワン)だと思われます。この図をみるとKAZU I(カズワン)は船首を左側に向けて海底についているという風な状況が分かります。この図なんですけど、左側が深さが110m程度の色です。右側が深さが120mの色です」
画像では、船だけが浮かびあがるように見えます。

元海上保安監の伊藤裕康氏
「この海底は比較的なだらかな海底であることがわかります。この周囲の状況をみるとKAZU I(カズワン)以外に物が映っていませんので、岩だとか他のものが映っていないと非常に平らなところだというのがわかります」
そのことから沈没の原因が見えてくるといいます。

元海上保安監の伊藤裕康氏
「沈んでいる位置が陸岸からおよそ1キロと聞いております。船の外観を見る限り損傷もしていないと。周囲に岩などもないということを考えると、この船は沈んだ時に比較的沖合を通行していた可能性があると思います。そうなりますと、突然の大波によって船内に水が破壊水が入って一気に船が傾き沈んだと、そういうことは推定されます。残念ながら深さが非常に深いので海上保安庁としては中を直ちに確認するということは難しいです」

船の引き上げについて・・・

「(海保としては)まず最初に水中のカメラで周りを調査して、中に人がいるかどうか、見えるかどうかということを確認します。人がいるようであるならば、まず中から搬出し、まず(人を)引き上げるのが最初の作業になります。それが終わった後に船を引き上げるというそういう段取りになると思います」
実際、水深115mから、人が残されているかもしれない19トンの船を引き上げるとはどういうことなのでしょうか?船の引き上げを行う会社に話を聞きました。

水深20mから船の引き上げた経験がある担当者
「ワイヤーはこれでいうと表側はこの辺りで後ろ側はこの辺り。平行にこのままぐーっと。水面まであがってきたら荷重が変わってきますので水を抜きながらやっていく感じ」

しかし、この吊り上げ作業ができるのは人が潜れる水深20mほどの場所まで船が移動できた場合だと言います。海上保安庁でも、潜水士が潜れるのは40mが限界だという中どうやって移動させることができるのでしょうか?

水深20mから船の引き上げた経験がある担当者
「私が思ったのは網でこの船をひっかけてどこかまで水深浅いところまで移動できればと思いました。漁師さんが使うような網ではなく長距離引きずっていけるような、しかもこの船の重さに耐えうるようなワイヤーで作った網でないとダメだと思います。引きずっていくにしても途中岩盤でボコボコしているような所だと網に引っかかってしまうので難しいさはすごくあります。海底の地形にしてもそうですし全て未知の世界」

原因究明のカギとなる船の引き上げの時期については・・・
元海上保安監の伊藤裕康氏
「例え現場についても海上の模様が悪いとですね、船の引き上げにあたって船を傷つける恐れがあるので非常に期間がかかると思います。数週間でできるというものでなく、それ以上長期にわたることも想定されます」

乗員乗客26人のうち、12人の行方がいまだわかっていません。捜索を困難にさせているのが海底の複雑な地形と海流です。
これまでに14人が発見されましたが、知床岬付近で10人、岬の東側で1人。さらに、船の航行ルートと反対の羅臼側で3人が見つかっています。発見場所が広範囲になっている理由について、専門家は。

北海道大学 環オホーツク観測研究センター 三寺史夫教授
「この知床の海は非常に複雑な海で、宗谷暖流が知床岬を超えたときに、本流と半島を回り込む流れと、反時計の3つに別れていたことになる。本流から枝分かれした羅臼の方がひとつ遭難者が乗った大きな流れだったんじゃないかと想像します」

また、第1管区海上保安本部はきのう、ロシア側から“27日に国後島の西の海域で漂流者を発見したが、荒天のため見失った”と、連絡があったと発表しました。

北海道大学 環オホーツク観測研究センター 三寺史夫教授
「羅臼側に回り込んだ流れに関しても、一部は国後の方に行く流れがありますし、日露の中間ラインを超えている可能性は十分あると思います」
今後、捜索の焦点は・・・

元海上保安監の伊藤裕康氏
「客観的事実に基づいて、この事故原因を究明するいうのは非常に基本だと思いますので、救助をまず第一。2番目に船を丁寧に引き上げる。こういうプロセスになります。引き上げるとそこの船体の外側の傷の模様であったり、それから船の中の装備の状況であったり様々な証拠物が発見される可能性があります」

そして、GW二日目をむかえた今日、観光にも影響が・・・

知床ネイチャークルーズ長谷川正人さん
「とにかく知床全体の風評被害がでてるでしょこれ。明日はわが身だなっていうのはどこの事業所も持ってるわけ。他人事でないっちゅうのは全国の船会社たちがみんな身に染みたと思う」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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