【独自】知床観光船 去年も「座礁事故」・・・船長は“涙で謝罪” 乗船者語る当時の様子【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年4月25日)

【独自】知床観光船 去年も「座礁事故」・・・船長は“涙で謝罪” 乗船者語る当時の様子【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年4月25日)

【独自】知床観光船 去年も「座礁事故」・・・船長は“涙で謝罪” 乗船者語る当時の様子【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年4月25日)

北海道・知床半島の沖合で、乗客と乗員合わせて26人が乗った観光船が消息を絶った事故。今回、事故を起こした船長は、去年の6月にも、同じ観光船で座礁事故を起こして、書類送検されていました。その時の乗客が取材に応え、「船長は泣きながら謝っていた」と当時の様子を語りました。

■不明者家族・・・少ない情報“不満の声”

 24日夜、乗客の家族が、行方不明者の捜索拠点となっている斜里町に駆け付けました。

 説明会には、観光船の運営会社社長と町長が出席。家族からは、捜索状況の説明に対し、不満を訴える声が上がったといいます。

 斜里町・馬場隆町長:「朝から残念な結果が出てきているわけですけれども、一切それに対しての情報がない。せめて、自分たちが(遺体を)見れば自分の家族、親戚であれば分かる。『会わせろ、会わせてほしんだ』という、切ない訴えでありました」

 北海道・知床半島の沖合で、乗客乗員26人を乗せたまま、消息不明となった観光船「KAZU 1」。オレンジ色の救命器具が、知床岬周辺の至る所に漂着しています。「KAZU 1」と、船名が記されているものもありました。

 岩場の隙間には、行方不明者を救助する海上保安庁の隊員の姿があります。

 捜索から戻ってきた男性:「沈んだという辺りから、岬のほうも探すという感じ。船からは、(観光船の)痕跡が見つけられなかったですね」

 日中の捜索で見つかったのは、大人の男女10人。そして、24日夜遅く、そこから14.5キロ東に離れた場所から、新たに子ども1人が見つかりました。

■「船首30度くらい傾き」の連絡最後に・・・

 全長およそ12メートル、重さ19トンの観光船に何があったのでしょうか。

 23日午前10時、北海道斜里町にあるウトロ港を出港した「KAZU 1」。その後、知床岬で折り返した午後1時すぎ、海上保安庁に救助を要請しました。

 観光船「KAZU 1」乗員:「船首部分が浸水している。救助をお願いします」

 この時、すでにエンジンが使えない状態になっていました。当時、波の高さは3メートル。強風注意報と波浪注意報が出されていました。

 午後2時すぎ、「船首が30度くらい傾いている」という乗員の言葉を最後に、船からの連絡は途絶えました。

 地元漁港の漁師:「この辺りの地形でいえば、遠浅ではない岩場なので。見誤っていれば当然、座礁する」

■過去のツアー参加者・・・沖へ進むと海が一変

 23日が、今シーズンのツアー初日だった「KAZU 1」。ツアーの中身は、一体どのようなものなのでしょうか。

 以前、同じツアーに参加した女性:「観光ポイントというか、撮影ポイントというか、10カ所くらいあるかな。それを見て、また移動してっていう形で、転々と知床岬まで行くんですよね」

 今回、事故を起こした会社の同じツアーに、2年前に参加した女性は、次のように話します。

 以前、同じツアーに参加した女性:「不思議な形の岩だったり、滝だったり、普段あんまり目にすることとか、写真に収めることができないという。何しろ美しさと相まって。本当に素晴らしい場所だと思うので、あっという間でしたね」

 女性が参加した時も、ウトロ漁港を出発し、世界自然遺産の絶景を巡り、知床岬の突端まで行くという同じルート。およそ3時間かけ、知床岬を満喫することができます。

 以前、同じツアーに参加した女性:「クマも本当に会えると思っていなかったんですけども。『どこにいる?あそこにいた!』『あそこだ、あそこだ!』みたいな感じで」

 船上からは、高い確率でヒグマなどの野生生物を見ることができ、運が良ければ、クジラやオジロワシも見ることができるといいます。

 女性が撮影した写真には、ヒグマの親子の姿やシカも確認できます。

 さらに、陸からはたどり着けない、高さおよそ30メートルの「カシュニの滝」を間近に見ることができ、観光船ならではの体験ができるといいます。

 女性が訪れたのは、夏のオンシーズンということもあり、観光船乗り場には、行列ができていたといいます。

 以前、同じツアーに参加した女性:「駐車場も満杯で。たぶん運航しているすべての会社も、満杯だったんじゃないかなっていう感じです」

 女性が撮影した映像では、天候も良く、空は晴れ渡り、波も比較的落ち着いているようにも見えます。しかし、沖へと進むにつれ、海の様子は一変したといいます。

 以前、同じツアーに参加した女性:「先に行けば行くほど、波は荒くなってきますし、風も強く吹いてきて、写真を撮るのも、立っていても踏ん張れないなっていう感じ。手すりを持ちながら、立っていたっていう状態ですね」

■過去にも座礁事故・・・船長“涙で謝罪”

 乗客乗員26人を乗せ、浸水事故を起こした観光船「KAZU 1」。

 第1管区海上保安本部によると、船長は豊田徳幸さん(54)。去年6月にも座礁事故を起こしていて、その時の船は、今回の事故と同じ「KAZU 1」だったのです。

 去年座礁した船に乗っていたリツヤさん(26):「いきなり、船の底に岩がこすって。突き上げのような感じで、『ドン!』って大きな音がした」

 事故の様子を語るのは、当時船に乗っていた男性です。

 リツヤさん:「天気は晴れていて、そこまで荒れてはいなかった」

 去年6月11日、「KAZU 1」には若いカップルや子連れの家族など、15人前後の乗客が乗船していました。

 リツヤさん:「砂浜から50、60メートル沖にいたんですけど、普通に巡行していて」

 出港から10分ほど経った、その時でした。

 リツヤさん:「結構スピード出てる時に、何か船の底が岩に当たったような、ちょっと突き上げの感じが『ドン!』って、一回なったんです」

 何かにぶつかったような強い衝撃。激しい音が、船内に響いたといいます。

 リツヤさん:「車の天井に、まあまあな力で、野球ボールを打ち付けて響くくらいの音でしたね」

 衝撃の直後、船は停止。すぐに、船長が乗客の前に姿を現しました。

 リツヤさん:「『船が座礁してしまいまして、本当に申し訳ございません。大変、申し訳ございませんけども、港のほうに戻って、海上保安庁からの聴取等があるかもしれません』みたいなことを泣きながら、おっしゃっていました」「(Q.泣いてらっしゃった?)泣いてましたね」

 涙ながらに乗客に謝罪する様子に、男性は熟練の船長ではないのではと思ったといいます。

 リツヤさん:「だいぶ泣きながら、腰低く、声も小さい感じで入ってきたので。あんまり『ベテラン』っていう感じは、その時は思わなかった」

 本来3時間で往復するツアーは、10分で中止になり、港に引き返して行きました。

 リツヤさん:「要所要所スポットがあるんですけど、その一つ目までも行かなくて。特に、何も見ずに座礁した感じです」

 港に戻ると乗客も含め全員が、海上保安庁から事情聴取を受け、男性は運航会社から返金等の手続きを受けたといいます。

■「船主に亀裂」荒天も・・・なぜ出港?

 この座礁事故の後も、「KAZU 1」は引き続き観光船として使用されていました。しかし・・・。

 別の運航会社の男性:「自分が見た感じだけど、船の前側のほうが割れていた。そのまま(海に)降ろしているから。そこが大きく亀裂が入って、水が入った可能性もある」「(Q.その亀裂から時々水が?)(亀裂から)水が出ていましたね。冬の間、凍るわけだから。プラスチックの中で凍るということは、膨張するから、剥離(はくり)しちゃう」「(Q.修理はされていない?)していないですね。どうしてしなかったのか、分からない」

 にわかには信じがたい船の状態。そして、23日、同業者が今シーズンの運行を始めていないなか、「KAZU 1」は初めて船を出しました。

 波が高く周囲は危険だと、出港を止めるよう呼び掛けましたが、船長は忠告を無視し、出港しました。

 別の運航会社の男性:「『やめたほうがいいぞ』とは言いました」「(Q.その時、船長はどういう反応?)『はい』とは言ったけど。そのまま・・・。仲間の船が、誰であってもいるのであれば、きのうみたいな時でも、多少の人は助けることができたかもしれない」

 その船長を知る人物に、話を聞きました。

 地元漁師:「(Q.経験が浅い人を使っているような話?)そうだね。何年もいた人は、いないみたいだからね」

 海上保安庁の関係者によると、事故を起こした「KAZU 1」の運航会社はここ2、3年で度々従業員が変わり、頻繁に事故が起こるようになったといいます。

 国交省は、運航会社に対して特別監査を実施。海上保安本部は船長に対し、業務上過失致死容疑などを視野に捜査を進めています。

■“息子不明”の父親「連れて帰りたい」

 知床半島の大自然を堪能するはずの船旅が、思わぬ事故に遭いました。

 息子が乗船し、いまだ行方が分からない男性が、心境を語ってくれました。

 「KAZU 1」に息子が乗っていた男性:「今から行ってきますって。写真いっぱい撮ってくるねって。メールが最後です」

 男性の息子は、22日から会社の上司と知床観光に・・・。しかし、観光船が消息を絶った日の朝、送られたメールを最後に、連絡が取れなくなったといいます。

 「KAZU 1」に息子が乗っていた男性:「(メール来たのが)土曜の朝です。朝食の写真と」「(Q.朝食の写真送ってくれた?)そうです、そうです。これ済んだら、出発するねって」「(Q.どんな息子さんでしょうか?)やっぱり皆、親バカだから、自分の子どもは良かったと言うでしょうね」

 観光船に乗ることは聞いていなかったといいますが、ニュースを見て、もしかしたらと思い、九州から急いで駆け付けたといいます。

 24日、運営会社の社長も出席した家族に対する説明会に、男性は途中から参加しました。

 「KAZU 1」に息子が乗っていた男性:「平身低頭ですね、社長は。謝罪しかされなかったですね」

 説明会に来た、他の家族からは・・・。

 「KAZU 1」に息子が乗っていた男性:「(他の家族は)何よりも、ご遺体と面会したい。それがもう、全然かなわなかったから、その一点ですよ」

 その後、家族の面会がかなうことに・・・。

 「KAZU 1」に息子が乗っていた男性:「一家族ごとに入っていくわけです。一家族が、ずっと10人分ですかね、服装を見られて。それで、『これはうちの子どもだ』とか、そういう方がいらっしゃって。その方は、『良かった、良かった』と言われたんです」

 しかし、男性は、息子の姿はいまだ確認できていないといいます。

 「KAZU 1」に息子が乗っていた男性:「残念ながら、ありませんでした。今のところないですね」「人命を預かるものとしては、責任を持ってもらいたかったですね。家のほうで家族が待ってるから。だから、連れて帰らないといけないですよね・・・」

「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年4月25日放送分より)

[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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