中国・ロシア・ウクライナ ロックダウン下の上海は大混乱・・・“ゼロコロナ”政策の行方が物語るもの【サンデーモーニング】風をよむ|TBS NEWS DIG

中国・ロシア・ウクライナ ロックダウン下の上海は大混乱・・・“ゼロコロナ”政策の行方が物語るもの【サンデーモーニング】風をよむ|TBS NEWS DIG

中国・ロシア・ウクライナ ロックダウン下の上海は大混乱・・・“ゼロコロナ”政策の行方が物語るもの【サンデーモーニング】風をよむ|TBS NEWS DIG

ウクライナをめぐり欧米とロシアのせめぎ合いが続く中、中国の動きが波紋を広げています。

■ロックダウン下の上海

上海市民
「早く門を開けて!おなかがすき過ぎて死にそうよ!」(4月4日投稿動画)

新型コロナの感染拡大で、一ヶ月近くも事実上のロックダウンが続く上海。スーパーの多くが閉じられ、行動制限や食料不足などの
不満が日に日に募る中、行政の対応への苛立ちが噴出しています。

16日深夜、住宅地の近くに10台以上のバスの車列が…。一帯を丸ごと消毒するため、1000人以上の住民はホテルに移送され、二週間以上の隔離生活に。

その後、防護服姿の100人の作業員が集結し、留守宅への大規模な消毒作業が開始。住民らは、鍵をかけずに家を出たと言います。

■子どもは親と離れて隔離され…

また、SNS上では、感染した子どもたちが、親から引き離され、隔離施設に収容されたという映像が拡散。

撮影者
「こんなに小さな子どもなのにかわいそう。パパもママも側にいないのね‥」

保護者でも陽性でない限り、付き添いを認めなかった上海市は、批判の声を受け、急遽、付き添いを認めるなど、現場は混乱しました。更に…。

■マンションの部屋が隔離施設

マンション住民
「帰れ!下がれ!」(上海・4月14日)

白い防護服姿の警察に、数人がかりで地面に押しつけられる住民。市当局は、このマンションの一部の入居者を立ち退かせた上で、その部屋を隔離施設にすると通告。その後、警察と工事業者が現場に訪れた際、反対住民との間で、こうした衝突が起きたのです。

住民
「われわれが、どんな罪を犯したというんだ?」
住民
「警察は国民の味方じゃないの?」

ゼロコロナの政策を強行する行政の姿勢に、上海は混乱しています。

■中国経済の減速

しかし、今なお、連日2万人前後の感染者が確認されており、政府からは、事態の深刻さを表すデータも示されました。
  
18日、中国の国家統計局は1月から3月までのGDP=国内総生産の実質成長率を前年比プラス4.8%と発表。政府が目標としてきた、
プラス5.5%前後を下回り、経済の減速が鮮明に。その原因の一端が、“ゼロコロナ”政策でのロックダウンの影響とみられています。

■“ゼロコロナ”政策に固執する中国

それでも今月、改めて“ゼロコロナ”政策の堅持を指示した習近平国家主席。何故、習主席はゼロコロナにこだわるのでしょうか?

富坂聡 拓殖大学教授
「習政権にとって、武漢の成功体験がすごく大きくて、世界にまん延した時に、中国だけがプラス成長にできた。今回は、上海で広がったということで、ゼロコロナ政策が失敗したということになると、習近平政権にとっては、内政的に責任が問われる」

■上海のトップは習氏の側近

実は、習近平主席と上海市の間には、因縁がありました。元々、上海市は江沢民元国家主席が権力基盤としてきた地域。ところが2017年、習主席は、側近の李強(りきょう)氏を上海市のトップに起用するなど、大胆な人事を決行。江沢民氏の影響力を低下させた、との見方もあります。

それから5年後、習主席の命運がかかるコロナとの闘いで陣頭指揮を執る立場に立った、次の首相候補ともいわれる李強氏ですが…。

上海市民
「食料高いよ!何も残ってないよ」(4月11日)

上海市内を視察中の李強氏に、市民から投げつけられたのは、厳しい不満の声。政治家が市民に詰め寄られるのは、中国では異例で、下手をすれば、政権にも火の粉が及びかねない状況です。

国内から“ゼロコロナ”政策に疑問が突きつけられ、ジレンマを抱えたかにみえる習政権ですが、外交問題でも課題が。
  
■ウクライナ侵攻 中国の立ち位置は

ロシアと近い関係にあるとされてきた中国。ウクライナ侵攻を強行したロシアとの関係が問われています。西側諸国のロシアへの制裁に、習主席は反対の姿勢ですが…。

富坂教授
「NATOの東方拡大に対してロシアがものすごく警戒心を持っていたということは中国はよく知っていて、真の責任はアメリカにあると見るのが中国の見方。制裁によって、(この問題の)解決には至らないと中国はみている。ただし中ロという枠組みで同じ穴のムジナみたいな形で扱われることには、すごく警戒心がある」

■懸念される台湾問題

さらに、日本国内では、ロシアのウクライナ侵攻という暴挙が、台湾有事を連想させ、改めて懸念する声も上がりますが…。
 
富坂教授
「ウクライナでロシアがすごくダメージを負ったとしても、台湾に侵攻するということに対して、中国は、やる時はやる、ただし、ほぼしないと考えていい。中国に反発を持った人々を治めて行くのはあまりにもリスクが大きく、国際的に孤立したりとか、吹き荒れる逆風に比べて、得るものがあまりないと考えられる」

世界の目がウクライナに集まる中、冷静に事態を見つめるかのような中国。その一方で19日、南太平洋のソロモン諸島との安全保障協定の締結を明らかにするなど、着々と、海洋進出を進めているのです。

そして、この秋に控える、注目の共産党大会。習近平主席の内政・外交の実績と手腕が、改めて問われます。
  
(サンデーモーニング2022年4月24日放送より)

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