「まるで地獄だ」東部“ドンバスの戦い”本格化 ロシア軍“東部制圧”戦略とは(2022年4月20日)

「まるで地獄だ」東部“ドンバスの戦い”本格化 ロシア軍“東部制圧”戦略とは(2022年4月20日)

「まるで地獄だ」東部“ドンバスの戦い”本格化 ロシア軍“東部制圧”戦略とは(2022年4月20日)

 ウクライナで激しい戦闘が続くなか、“新たな攻撃”開始以降、東部の都市が初めてロシア軍によって制圧されました。その都市はルハンシク州にあるクレミンナです。人口は約1万8000人で、これまで標的となってきたハルキウやマリウポリと比べると人口の規模がだいぶ小さいのが分かります。ロシア軍はなぜ、この小さな街を標的としたのでしょうか。これを読み解くと、ロシア軍の新たな戦略が見えてきました。

 ウクライナの東部戦線が新たな展開へと動き始めています。

 CNN、クラリッサ・ワード記者:「ドンバス地方ルハンシクにいるウクライナ軍によると、ロシア軍はクレミンナという街に入ったそうです」

 ロシア、ラブロフ外相:「ウクライナ東部での作戦は、初めからドネツク共和国とルハンシク共和国を完全に解放することを目的としている。この作戦の新たな段階が始まっている」

 19日、ドンバス地方北部の複数の地域で激しい戦闘が確認されました。そのうち、クレミンナが制圧されたと複数のメディアが伝えてます。

 ルハンシク州の知事によりますと、占領したロシア軍は民間人の車を襲撃し、4人が死亡したと言います。知事は「まるで地獄だ」と表現しました。

 ルハンシク州・ガイダイ知事:「我々は予想していた状況を目の当たりにしています。ロシアの大規模な攻撃、何倍もの砲撃に直面しています」

 ロシア側の狙いは、あくまで東部地域全体か・・・。

 クレミンナ自体は小さな街ですが、近隣にはルビージュネ、セベロドネツク、リシチャンシクという5万人以上の都市もあり、防衛するウクライナ軍もいるそうですが・・・。

 リシチャンシクでは16日にも大きな攻撃があり、製油所から大きな黒い煙が上がっていました。街中で火の手が上がるなかで、消火の手は追い付いていません。

 さらに、ルビージュネの街でも砲撃が・・・。南部のマリウポリが陥落危機といわれているなか、なぜロシア軍は19日、一斉にドンバス北部への攻撃を強めたのでしょうか。

 そこには意外な理由があるといいます。

 自宅を破壊された女性は・・・。

 自宅を攻撃された女性:「私たちは、もう無一文です。ガソリンも電気も水も何もないです」

 女性の自宅の前にはウクライナ軍の戦車がいたそうですが、移動した矢先に攻撃を受けたそうです。砲撃を受けて煙が上がるなか、通りには人の姿が見えません。

 ロシア軍は、これまでに制圧した地域で民間人から水や食料などを略奪していたとの証言もありますが・・・。

 軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「ロシア軍に戦争犯罪とかモラルみたいな意識は全くないですから、『略奪的なもの』というのは普通に行われるとみた方がいい」

 新たな局面を迎えているドンバスの戦い。南部の激戦地マリウポリが陥落の危機にあるなか、なぜ一斉に北部への攻勢を強めてきたのでしょうか。

 軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「(ロシア軍は)2カ月、軍事作戦がうまくいかなかった反省ということで、一つは戦線を拡大しすぎたこと。東部、北部、南部と限られた兵力を拡散しすぎたので、まとめて一つの強い部隊にして」

 ロシア軍の再編成をするなかで、マリウポリ陥落が間近なため、北部を攻める計算が立ち兵力を集中させた可能性があるそうです。

 さらに、ウクライナ側にもこんな事情が・・・。

 軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「ウクライナ軍は兵士の数は多いんですけど、装備が不足していて、戦車や装甲車といった大型の火力の強い装備、それから弾薬、そういったものが不足している」

 ウクライナ側が南部の最前線や復興に兵力を使い、戦闘が長引くなかで「装備や弾薬不足」が考えられるそうです。

 ただし、現在の戦況だけでは今後の行方を判断するのは難しいそうです。

 軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「今回の一つの街(クレミンナ)を制圧したことで、すべてお互いの作戦が読めるわけではない。(戦略的に)この街は明け渡すけど、後ろを付いて孤立させるとか、色んなことを両軍ともやります」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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