ロシアに包囲された街 父を亡くした少年の思い
1か月近くにわたってロシア軍に包囲され、激しい攻撃にさらされたウクライナ北部の街にJNNのカメラが入りました。空爆によって父を亡くした少年が語ったこととは。
首都キーウからおよそ150キロ北にあるチェルニヒウ。軍事侵攻から間もなく、ロシア軍によって包囲されました。
記者
「このあたりは両側に民家が広がっているんですが、無傷の建物は全くありません。そして砲撃によってですね、大きな大きな穴が地面にあいています」
今月上旬まで、徹底的に繰り返された攻撃。市民の死者は250人。今もがれきの下敷きになったままの遺体も数多くあるとされています。
「これが地下室です」
この街に住むタチアナさん(43)。軍事侵攻以降、食料を貯蔵するための地下室で避難を続けました。
タチアナさん
「そこら中に爆弾を落とされ、この地下室も大きく揺れていました」
タチアナさんは親戚や隣人などとともに、この小さな地下室で3週間にわたって生活。火をおこし、小麦粉で作ったパン生地を焼いて、飢えをしのぎました。
一緒にいた近所の住人についてこんな話も。
タチアナさん
「(近所の住人は)別の地下室に逃げようとしたとき、爆撃の衝撃波で壁に叩きつけられ死んだのです」
「子どもたち」と書かれた小児科病院にも攻撃は加え続けられました。
記者
「ここは小児科病院の地下なんですけれども、一時200人以上の人たちがこうした廊下で寝泊まりしていたということなんです」
壁には子どもたちが描いた多くの画が。描かれているのは色鮮やかな花や、地球儀の画。「平和が訪れますように」との言葉が添えられていました。
13歳のボグダンさんは、自宅の電気がつかず、携帯電話を充電できる場所を探すため、父親と外出した時に空爆の被害にあいました。
ボグダンさん
「何も覚えていないんです。いきなり目の前が真っ暗になって、目が覚めた時、僕は倒れていて足が血だらけでした」
体中に生々しい傷跡が残っています。
ボグダンさんはこの日、一緒にいた父親が死亡したことを初めて告げられました。
ボグダンさん
「父さんは死にました。病院に到着する前に。たくさん血を流して。とてもいいお父さんでした。一緒に街を歩いて散歩するのが好きでした。一緒にパソコンを組み立てることも好きでした。たくさんあるから、いま全部は言えません」
ボグダンさんは「僕はロシア人は責めないけど大統領を許すことはできない」「戦争が早く終わりますように」と私たちに語りました。
(13日15:49)
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