マリウポリ「死者推計2万人超」化学兵器使用の情報も※動画視聴の際はご注意ください(2022年4月12日)
ウクライナ東部では、ロシアによる大規模攻撃がまもなく始まるという見通しが伝えられています。
陥落が間もないと言われているマリウポリでは、完全な包囲ができつつあるせいか、ロシア兵、そして親ロ派武装勢力の戦闘員には余裕が感じられます。ただ、逃げることもかなわず、そこでの生活を強いられている人たちの恐怖は何も変わっていません。
マリウポリ市長によりますと、街の通りには遺体が絨毯のように敷き詰められているとして、全体の死者は2万人を超える恐れがあるとしています。
マリウポリ、ボイチェンコ市長:「何千人もが路上に横たわっていたが、全員を収容することはできなかった。死者は恐ろしい数で、言うのもはばかれるが1万人以上だ。2万人以上かもしれない。残念ながら」
そのマリウポリでは、ついに化学兵器が使われたかもしれないという情報が入ってきました。場所はマリウポリにある製鉄所。ロシア側は「ウクライナ兵が3000人から4000人が立てこもっている」としていて、そこが狙われたのではないかという情報です。
“ドネツク人民共和国”軍事部門報道官:「あそこは地下室だから、建物を急襲しても意味がない。モグラを穴からいぶりだす化学兵器部隊の協力を求めるべきだ」
ウクライナ当局によりますと、有毒物質による民間人へのダメージは最小限で、胸焼けや目の粘膜に症状が出ているといいますが、真偽は不明です。ただ、NATO(北大西洋条約機構)各国は、まだ確固たる証拠がないとして早計な判断はしていません。
アメリカ国務省、プライス報道官:「情報では、ロシア軍が恐らく催涙ガスを別の物質と混ぜて使う準備をしているかもしれません。マリウポリを固めるウクライナ軍や民兵部隊の防衛力を化学物質を使ってそぐためでしょう」
イギリス、ヒーピー国防閣外大臣:「化学兵器が使われたという報告があることは知っています。独自に確認はできていません。使うことを想像するだけでも背筋が凍ります。このような兵器が取り沙汰される状況に驚かされます。アメリカ、フランスの大統領のみならず、わが国の首相も『絶対に使ってはならない兵器がある』ことを強調しています。使用すれば、その責任が問われます。どのように対処すべきか、あえて曖昧(あいまい)にした方がいいかもしれません」
親ロ派支配地域では追加の徴兵も始まりました。ロシア側は司令官を新たに任命し、戦力も次々とドンバス地方へと移動させています。
戦闘の激化が予想される東部からは、命の危険を感じた多くの住民が西を目指しています。ウクライナ第3の都市ドニプロ市は、ウクライナ、ロシアの両方にとって重要な拠点となっています。
ドニプロ市、フィラトフ市長:「攻撃が毎日続いています。(ロシア軍は)弾道ミサイルや飛行機からのミサイル、黒海側からも攻撃があります。(Q.ドニプロ市は東部でどういった役割を果たしている?)キーパーソン的な役割があります。3つの戦闘地域、ハルキウ、東部と南部の間にあるので、ドニプロを通って軍も物資も難民も移動しています。だからこそ、ロシア軍に狙われています」
列車での避難の起点となっているドニプロ駅。これまでに、鉄道を使って避難した人は、約20万人いるといいます。ここには、東部からの避難民のため、ボランティアが支援センターを設けて、食料や衣服、一時的な宿泊施設の提供などを行っています。ただ、高齢者や移動が困難な人も多く、避難が進まない一面もあるといいます。
そういったなか、ロシア軍の攻撃は市民生活を徐々に蝕んでいます。
ドニプロ市、フィラトフ市長:「ロシア軍は鉄道や駅、燃料保管所を破壊するため攻撃している。彼らの目的は3つ、経済崩壊、ウクライナ軍の強化阻止、そして人道危機です。避難を妨害し、パニックを起こさせるのが目的です」
ロシア軍は着実に距離を詰めてきています。
ドニプロ市、フィラトフ市長:「戦争が“日常化”しています。世界中がもう戦争に疲れている。世界や日本に伝えたいのは、戦争慣れしてはいけないということ。ウクライナでは毎日、人が亡くなっているからです」
ロシア軍は先日、避難する4000人が集まっていた駅に弾道ミサイルを撃ち込みました。クラマトルシク駅は東部から避難する人たちの拠点になっている駅で、そのなかには治療が難しい多くのけが人も含まれています。
国境なき医師団はここを拠点に、西部のリビウまで患者の運搬を行っています。2両の車両、通称『医療列車』に患者を乗せ、2日かけて移動します。1度に運べるのはだいたい40人くらいまで。24時間の列車移動に耐えられないほどの患者は乗ることができません。
国境なき医師団、ダン・シュノア医師:「患者は皆、マリウポリ市内か避難の最中に様々な傷を負いました。列車移動2日目。あと数時間で到着するはずです。患者が眠れたかを確認しましたが、体調に変化はないようです」
今後はこうした医療列車もロシア軍による攻撃対象になる恐れがあり、不安は募るばかりです。
前線ではロシア軍によって多くの病院が破壊されたため、西部のリビウは医療の中心地になっています。ただ、ここもいつ戦場になるか分かりません。
リビウ市内にある産婦人科は、もともと4階にあった病室を、避難しやすい1階に移動しました。医師の話によりますと、早産や死産が増えているといいます。それでも新しい命は今も。
ドニプロから非難した夫婦:「(Q.いつ生まれたんですか?)2日前です。(Q.どんな未来を望みますか?)私たちの国に平和な空が広がることです。安全、安全、安全です。今の私たちに未来に思いをはせるのは難しいです。目の前で多くの人が亡くなって、恐ろしい状況です。前向きな終わりを迎えることを本当に願っています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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