「Z」マーク車両に乗せられたマリウポリ市民どこへ(2022年4月10日)

「Z」マーク車両に乗せられたマリウポリ市民どこへ(2022年4月10日)

「Z」マーク車両に乗せられたマリウポリ市民どこへ(2022年4月10日)

激しい戦闘が続く東部では、いまだ多くの市民が避難できていません。そんな中、街中にはロシア軍のシンボル“Zマーク”が描かれた車に乗せられる市民の姿がありました。

▽「Z」マーク車両に乗せられ・・・どこへ
ウクライナ東部ドンバス地方の要衝“マリウポリ”。ロシア軍の戦車はまるで制圧したかのように走り回っています。慣れてしまったのでしょうか・・・人々は銃声が鳴っても、身を隠す様子はありません。ロシアの侵攻が始まって1カ月半。今も10万人以上の市民が取り残されています。そんな中、ロシア国防省は9日、マウリポリの民間人を避難させているとする動画を公開しました。
(ロシア兵)「最小限の荷物を持ってください。安全な場所に連れていきます」
動画には、市民の声はほとんど入っておらず、途方もなく歩く市民の中には、多くの子どもの姿も・・・。
詰め込まれるように“Zマーク”が描かれた車両に乗せられます。行先はどこなのか・・・ロシア国防省は明らかにしていません。マリウポリ市長は、連れ去られた市民はこれまでに3万人を超えるとしています。

▽日増しに強まる砲撃「安らかに死にたい」
首都キーウからは撤退したロシア軍ですが、東部ドンバス地方では侵攻が加速、ルハンシク州は、ほとんどの地域がロシアに制圧されています。激戦が続く「セベロドネツク」では・・・日増しにロシア軍の砲撃が強まっています。
(住民)「子供は『避難しろ』と言うけど、私は出たくない。避難先が安全とは限らないし・・・」
電気も遮断された街。寝たきりの病人を受け入れている避難所では・・・
(避難所スタッフ)「見てください!毛布も何もありません。」
20人もの患者がここでじっと耐えていました。
(避難所スタッフ)「私は医者ではないので、どの人にどんな薬が必要かも分からない。」
砲撃が続く中、地元の警察官が住民に避難を呼びかけます。
「3階にも住人が何人かいます」
長年暮らしたこの街を離れることにした住民は・・・
「まさかこの地を離れることになるとは・・・3歳の時に戦争(第2次世界大戦)を生き延びたのに・・・今は・・・安らかに死にたい・・・」

▽親ロシア派の「人民共和国」現状は
プーチン大統領が一方的に独立を承認した“ドネツク人民共和国”と“ルガンスク人民共和国”。親ロシア派が実効支配する地域です。その街の暮らしは、一体どうなっているのか・・・
“ドネツク人民共和国”の中心地ドネツク市は、人口およそ100万人の工業都市です。
今年、小学生になる娘と街の中心部にある自宅で暮らす、ロシア人のセンチリナさん―。
(センチリナさん)「夜は(爆発音が)よく聞こえます」
Q.それでもどこかへ避難することはない?
「そうですね。もう慣れました。怖くはないです。ただ、娘から『外で何が起きてるの?』と聞かれた時は『心配しないで、雷よ』と答えています」
街の様子を見せてもらうと・・・周囲に戦火の跡は見当たらないものの、昼下がりにも関わらず、人の姿はありません。
「多くの人はロシアに避難してしまいました。男性はほとんどいません。いるのは老人や女性、子どもだけです。男性はドネツク共和国軍に入隊する義務があるからです」
2月の侵攻を前に、親ロシア派勢力は『ウクライナ軍の攻撃が迫っている』として、支配地域の住民をロシアに避難させていました。幼い子どもを抱えながらも、残った理由を聞くと・・・
「他の場所に行くことはありません。他の国に移住するということは、生活をゼロから始めることになります。今は全てが終わって以前の暮らしに戻ることだけを望んでいます」

▽かつての激戦地が“次の標的”に?
8日、ミサイル攻撃を受けたドネツク州のクラマトルシク駅。当時、ここには避難するために4000人もの住民が集まっており、子ども5人を含む52人が死亡しました。
駅でボランティア活動をしていた男性は、この時の惨状をこう語ります。
(目撃者)「爆発音が聞こえました。悲惨な状況でした。ボランティアスタッフの1人が亡くなりました。これは無差別殺人です。」
この駅からおよそ13km北にある“スラビャンスク”。ドンバス地方の制圧を狙うロシア軍の次なる標的だと言われる街で、市の行政トップは危機感を募らせます。
(スラビャンスク市 ワディム・リャフ軍事行政首長)「緊迫した状況で、きのうは空爆で住宅が破壊されました。ウクライナ軍を包囲するため、この街を攻撃しようとしています。大きな戦いがこれから起こると思います」
アメリカのシンクタンクは、ロシア軍は北西から攻め込み、東部からの部隊と連携し、ウクライナ軍を包囲する作戦だと分析しています。実はここ“スラビャンスク”は2014年、クリミア併合直後に親ロシア派に占拠された街です。
(スラビャンスク市 ワディム・リャフ軍事行政首長)「親ロシア派の活動はこの街で始まり、ドネツク・ルハンシク州の一部が占領されました。その戦争は今日まで続いています。現在、空襲警報は1日に5~6回鳴るので、市民に避難するように呼びかけています」
市民11万人の半数以上が、避難できずここに留まっています。
(スラビャンスク市 ワディム・リャフ軍事行政首長)「大きな被害を狙うため、駅を標的にしたと思います。民間人への攻撃は理解できません。この先の戦闘では、我々ウクライナ軍が必ず勝つと確信しています」

4月10日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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