「他でも大量虐殺」ゼレンスキー氏、涙ながら窮状訴え ※動画視聴の際はご注意下さい(2022年4月5日)

「他でも大量虐殺」ゼレンスキー氏、涙ながら窮状訴え ※動画視聴の際はご注意下さい(2022年4月5日)

「他でも大量虐殺」ゼレンスキー氏、涙ながら窮状訴え ※動画視聴の際はご注意下さい(2022年4月5日)

 多くの民間人の遺体が見つかったブチャをゼレンスキー大統領が視察し、他の地域でも大量虐殺が行われていると涙を浮かべながら訴えました。

 キーウ近郊の街・ブチャ。多くの民間人の遺体が見つかった地です。

 行方不明となった20歳の青年を捜し続ける家族がいました。カメラは悲しみの対面を捉えます。そこには変わり果てた孫の姿がありました。

 親族:「ロシア兵は押し入ってきて、彼を連れ去り、その後どうなったか誰も分からなかったんだ」

 孫である20歳のチャプリギンさんと無言の対面を果たした女性。夫も戦火で亡くしていました。その時の様子を隣人が語ります。

 女性の夫が殺害された現場にいた人:「3人のロシア兵が来て、全員を地下室から連れ出しました。私たちが隠れている間に外に連れ出され、撃たれて殺されたようです。遺体に近付いてみると彼は、ただ殺されていただけではなく、火炎放射器で焼き払われていた」

 絶望のなかの一筋の光。大統領を歓喜の輪が受け入れます。

 住民:「どこにも行かず国民と一緒に国に残ってくれてありがとうございます。皆、感謝しています」

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「あなたたちは耐えてよくやってくれた」
 
 住民:「ブチャはいい街なので再建しないといけません」

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「きちんと街を立て直します。素晴らしい人々が住んでいるんだから。素晴らしい市長もここにいる」

 住民:「置き去りになった動物たちを助けてもらえませんか。餌(えさ)そのものがないので、どうか助けて下さい」

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「分かりました。何とかします」

 住民:「電気もいつ直してくれるんですか」

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「電気も直しましょう」
 
 多数の兵士に守られるなか、そのブチャを訪れたゼレンスキー大統領は住民の話に耳を傾けます。

 住民:「12人が殺されて横たわっていました。一般市民の若者で」

 そしていつもとは違う、時折涙ぐみながら怒りと悲しみを込めた口調で訴えます。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「ここで何が起きたのか、ロシア軍が何をしたのか、ロシアが平和なウクライナで何をしたのか。ぜひとも世界に示してほしい。重要なのは殺されたのが民間人であるということだ。電気も水道もない暮らしをしながらロシアの占領者を撃退した。これは戦争犯罪であり、ジェノサイド(大量虐殺)として世界に認識されるだろう。何千人もの人々が殺され、手足を切断され、女性は強姦(ごうかん)され、子どもが殺された」

 暴行の末、夫を殺された女性は悲痛に叫びます。

 夫を殺された女性:「お願いです、何とかして下さい。地球を平和に、災いがないように。私は生きたい。皆、生きたいだけなのです」

 人々の叫びは届かないのでしょうか。ロシアは真っ向から否定しています。

 ロシア大統領府・ペスコフ報道官:「我々が見たところ、映像は多くの点で信用できません。なぜなら明らかに国防省の専門家がビデオの改ざんと他の偽造の兆候を確認したからです」

 ロシア、ラブロフ外相:「ブチャではフェイクニュース攻撃が行われた。この挑発は国際安全保障への直接的な脅威となるので、安保理の緊急会合を求めた」

 日本時間の5日夜、国連の安全保障理事会が緊急会合を開催することを決めました。ゼレンスキー大統領が演説する予定です。

 ブチャから脱出することができたフォトジャーナリストから話を聞くことができました。

 フォトジャーナリスト、オレクサンドル・ポペンコさん:「朝起きた時には、もう戦争が始まっていた。キーウ(キエフ)から西に行くすべての道は大渋滞していて、何をしていいか、どう逃げればいいか分からなかった」

 ポペンコさんが住むブチャ南西部は先月3日、ロシア軍に制圧されました。

 フォトジャーナリスト、オレクサンドル・ポペンコさん:「シェルターの状況は悪化していった。食料も水も切れてきて。1週間から2週間暮らせたとしても、その後は分からなかった」

 そして先月10日、ポペンコさんは300人以上の住民と一緒に徒歩でブチャを脱出することができました。

 フォトジャーナリスト、オレクサンドル・ポペンコさん:「撃たれなかったのは大人数だったからだと思う。3月10日に脱出した時に、すでに多くの市民の車が破壊されたり、爆破されたのを見た。まだ遺体を道から片付けることができていたから今、道に残されている遺体は最後の数日で殺された人たちで氷山の一角だ」

 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が目撃者の証言として伝えたところによりますと、1カ月前の3月4日、住民の前で公開処刑も行われたといいます。

 広場に40人ほどの住民が集められた後、ロシア軍は5人の男性をひざまずかせ、うち1人を後頭部から銃撃。その際、司令官が住民に向かって、こう話したと言います。

 ロシア軍司令官:「これは汚れだ。我々は汚れを清めに来た」

 残る4人もその後、殺害されたと言います。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチ危機・紛争調査担当者:「故意の殺害が行われたことを示す強い兆候がある」

 ロシア軍が制圧した他の町や村からも様々な報告が上がっています。

 チェルニヒウ州の村でも3つの家族から集められた6人の男性が連れ去られ、殺害されました。

 キーウ州の村では地下室に発煙弾が投げ込まれ、14歳の子どもと母親が出てきたところを銃殺されました。

 ハルキウ州では娘や妹らとともに学校に避難していた31歳の女性がロシア兵に何度もレイプされ、顔と首、髪の毛をナイフで切られました。娘ともう一度、会いたかったら言うことを聞くよう強要されたと言います。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「ボロディアンカや、その他の解放された村々では犠牲者の数がブチャより多いという報告がある。キーウ(キエフ)やチェルニヒウ、スムイ州の様々な場所では80年前のナチス占領時代でさえ、住民が経験のしたことのない行為を占領者が行った」

 ボロディアンカは1万2000人ほどが住む、緑豊かな街でした。ロシア軍の侵攻後、そこにかつての姿はありません。ウクライナ軍により解放された街に残されていたのは原形をとどめない数々の建物。ロシア軍の戦車や軍用車です。

 ハルキウでは住民が地面から何かを拾い集めていました。そして、そのすぐ近くには男女と見られる2人の遺体。

 住民:「大きな音がしてから爆発しました。窓が割れ何もかもが崩れました。私や夫、家にいた人々は廊下に逃げました」

 住民は小さな弾丸がばらまかれる無差別殺傷兵器「クラスター爆弾」が使われたと疑っています。

 住民:「破片が妙なんだ。丸い玉なんだ。あたかも砲弾に玉が詰め込まれていたように」「多くの穴が開いている。クラスター兵器の使用を示すものだ。玉は金属製でこんなことができるのは金属の玉だけだ。あちこちにある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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