“ブチャ虐殺”の衝撃 なぜ?ロシア軍の意図は ※動画視聴の際はご注意下さい(2022年4月4日)

“ブチャ虐殺”の衝撃 なぜ?ロシア軍の意図は ※動画視聴の際はご注意下さい(2022年4月4日)

“ブチャ虐殺”の衝撃 なぜ?ロシア軍の意図は ※動画視聴の際はご注意下さい(2022年4月4日)

 ウクライナ政府はキーウ州全域をロシア軍から奪還したと発表しました。ウクライナ軍の反転攻勢が続く一方で、ロシア軍が一時制圧していた地域の凄惨(せいさん)な状況が明らかになりました。キーウ近郊の「ブチャ」など周辺の街で合わせて410人の民間人が殺害されたということです。遺体の近くなどにロシア軍が地雷が残していて、危険な状態が続いているといいます。これから流れるVTRには遺体の映像が含まれています。つらいと感じる人は無理しないで下さい。

 ロシア軍が制圧していたキーウ近郊のブチャ。奪還したウクライナ軍が、街に入って目にしたのは凄惨な光景でした。

 路上に散乱しているたくさんの遺体・・・。軍服姿ではなく、普段着を来た民間人のようです。一体、何が起こったのでしょうか。

 キーウ・クリチコ市長:「残念ながらこれは『映画』ではなく『現実』です」

 ブチャ・フェドリュク市長:「大勢の遺体がブチャ市の道にまだあります。彼らは手を白い布で縛られて、後頭部を銃撃されたんですよ。ロシア軍がどれだけ残虐行為を犯したか分かりますか?」

 ロイターによると、ロシア軍の侵攻で住民300人以上が殺害されたそうです。

 遺体には、市長が言うように両腕を後ろ手に縛られ、顔に袋を被せられた人も・・・。泥の付いた手をみると、赤いマニキュアが・・・。女性のようです。

 ロシア軍から、何度も銃撃されたという住民は・・・。

 ロシア軍から銃撃された女性:「とても怖かったです。あの世から2回も帰ってきた気がします。武器を持ったロシア軍がいると知らずに外出した時に銃撃されました」

 こちらには、潰されたように破壊された乗用車が・・・。

 目撃者:「この近所に住む、賢くて平和で正直な人でした。ひどく意図的に、ロシア軍の装甲車両にひかれたんです」

 遺体のなかには、なぜか自転車に乗った姿のまま路上に倒れている人も、多く見られました。買い物や、支援物資支給の後だったのでしょうか。

 散乱したビニール袋の中には、ペットボトルの飲料水などが入っていました。

 さらに、ウクライナ・メディアの報道によると、ブチャで殺害された民間人の遺体のなかに、先月23日から行方不明になっていたサッカー選手、オレクサンドル・スケンコ選手も確認されたといいます。

 ウクライナ・クレバ外相:「『ブチャ虐殺』は21世紀で最も非道な残虐行為です。その規模と冷酷さから、ロシアはISISよりひどいと結論付けることができる」

 国連・グテーレス事務総長(3日の声明):「ブチャで殺害された民間人の映像に深い衝撃を受けている。独立した調査によって、効果的な説明責任を果たすことが必要不可欠だ」

 世界から批判を浴びる残虐行為。一体、なぜロシア軍は民間人を殺害したのか。

 かつて、ウクライナ軍やチェチェン紛争でのロシア軍の取材経験がある常岡浩介さんは、3つの可能性を指摘します。

 ロシア軍を取材・ジャーナリスト、常岡浩介さん:「一つは『見せしめ』あるいは、口封じっていうのがあったのでは。あざらしきものが見えまして、おそらく拷問されたんだろうと思う。ロシア軍側の情報を知ってしまった住民、あるいは残虐行為を知った住民にバラされたくないため殺害してしまった」

 遺体には、拘束や拷問の痕跡があるため、何らかの情報を引き出し、引き出した情報を隠蔽するために殺害したり、そのような残虐行為の目撃者の口封じを行った可能性があると言います。

 さらには・・・。

 ロシア軍を取材・ジャーナリスト、常岡浩介さん:「『ブービートラップ』っていうんですけど、遺体を動かすと爆薬が起爆するように仕掛けて、遺体を引き取りに来た住民とか、あるいはウクライナ側の勢力に打撃を与えることを目的」

 もう一つは、遺体を引き取りに来たウクライナ軍に、さらなるダメージを与えるために遺体に爆弾を仕掛けた可能性です。

 ゼレンスキー大統領も、注意を呼び掛けています。

 ゼレンスキー大統領:「通りには遺体が散乱し、遺体には地雷が仕掛けられていた」

 ロシア兵が残した地雷のため、不審物の撤去に追われるウクライナ兵。ウクライナ政府は、奪還した地域からすでに643個の爆発物を撤去したと発表しました。

 そして、もう一つはこんな可能性・・・。

 ロシア軍を取材・ジャーナリスト、常岡浩介さん:「非常に士気が低くて、兵士たちが自分たちの目的を見失っている」

 自転車で走行中の市民が、何人も銃撃されて殺害されていることから考えられるそうです。

 ロシア軍を取材・ジャーナリスト、常岡浩介さん:「他には犬とか動物まで撃ち殺しているのがありまして、動いているもの、生きているものを見境なしに射殺したという様子があります。恐怖に駆られている時にそういうことがよく起こるそうです。すべて動いている者が自分たちの敵に見えてしまう」

 実際に、常岡さんが取材したチェチェン紛争の時も、戦場で末端の兵士が目的やコントロールを失って、略奪や身代金を求めた誘拐行為を行ったこともあったそうです。

 一方、ロシア政府は「ブチャの写真や映像はウクライナ側が、西側メディア向けに作ったものである」としています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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