親ロ派の支配地域拡大“侵攻の焦点”東部2州の現状(2022年4月3日)
停戦に向けた首脳会談の可能性が報じられる一方で、ロシア軍の砲撃はより激しさを増しています。南部の港湾都市・オデーサでは、複数のインフラ施設にミサイルが撃ち込まれました。
▽南部オデーサで爆発音・・・インフラ施設に砲撃
爆発音が鳴り響き、炎と黒い煙が立ち上るのは、ウクライナ南部・黒海に面した港湾都市オデーサ。3日早朝、ロシア軍のミサイルで「複数のインフラ施設」が攻撃を受け、火災が発生しました。
(住民)「私はあそこの8階建てのビルに住んでいます。朝6時ごろロシアが攻撃してきたんです。この石の破片が家まで飛んできました。」
ロシア国防省は石油精製施設や燃料貯蔵施設3カ所を高精度ミサイルで攻撃したと発表しています。一方、“首脳会談”を巡っては情報が錯綜。インタファクス・ウクライナは2日、「停戦協議」に臨んでいるウクライナの交渉担当者が「ロシアとの首脳会談を行うのに十分なほど停戦に向けた合意案が出来上がり、ロシア側もそれを確認した」と述べたと報じました。
しかし、3日、ロシア代表団のメジンスキー大統領補佐官はSNSで「首脳会談に向けた草案の準備状況について残念ながらウクライナ側の楽観論には同調できない」と否定しています。
▽ロシア軍“撤退”後も続く砲撃
(記者)「この村はロシア軍が2週間ほど占領し、その後、撤退しましたが今も砲撃してきます。」
ウクライナ北部、首都キーウ郊外にあるクハリ村。先月中旬までロシア軍が占領していましたが、撤退。しかし、今でも砲撃は続いているといいます。
(ウクライナ兵士)「ロシア軍は我々の士気をくじくために空爆を続けている。空爆は毎日、何回も行われます。」
破壊し尽された街の住民は・・・
(クハリ村の住民)「牛や犬は生き残った。でも、私たちはどのように生きていけばいいのか」
キーウから北西50kmにあるこの村では避難を拒む老人を説得するウクライナ兵士の姿が・・・
(兵士)「マリンに避難しましょう、飲み水や電気、薬もあり、暖かい家で寒さで死ぬことはありません。すべてが終わったらまたここに戻ることができます」
(老人)「そこではどのくらい長く滞在できますか?」
(兵士)「必要なだけいることができます。私たちはロシア軍ではありません、あなたをいじめたりはしません。」
ロシア軍に占領された村で、ただ一人残った老人。説得の末、ようやく避難する事を決めた矢先・・・。
兵士は足が不自由な老人を荷車に乗せ、無事移動させることができました。
ウクライナ侵攻から1カ月以上、一時は首都キーウの中心部まで15kmに迫っていたロシア軍ですが、その後、一部後退。ウクライナ軍は、占領されていた30以上の町や村を奪還、ベラルーシ国境近くまで撤退したロシア軍を追撃しているといいます。ドローンを使いロシア軍の装備備蓄庫を発見。迫撃砲を打ち込みます。目的は、ロシア軍の再編成を防ぐためだといいます。
(ウクライナ兵士)「我々には“勝利”以外ありません。私たちに逃げる場所はありませんから・・・」
▽爆撃なくても・・・首都包む“見えない恐怖”
ロシア軍が後退した首都キーウ。アルコールの販売も再開し、日常を取り戻したように見えます。
久しぶりに子供と一緒に外出したオレナさん。今月に入り、街に変化が見られるようになったと話します。
(オレナ・グヌスさん)「爆発音や爆撃音や銃声は全く聞こえません。戦争が始まってから初めてだと思います。」
爆撃音は聞こえなくなりましたが、常に“見えない恐怖“に怯えているといいます。
「キーウには緊張感が残っています。この静寂には疑問を持っています。もしかしたら(ロシア軍が)大量破壊兵器、化学兵器、核兵器を使うかもしれない」
オレナさんは、侵攻後のキーウの日常をYouTubeで配信し続けてきました。
「お願いです!私たちを助けて下さい!」
地下シェルターから涙ながらに助けを求めたり・・・
「あなたがいる国で抗議デモを行ってください」
反戦デモを呼びかけたことも・・・
1カ月以上に渡り、市民の生活を記録し続けてきました。
「外出する時は、常に危険が付きまとうのでストレスがたまります。いつミサイルに攻撃されるかわからないからです。」
7歳と5歳、そして生後5カ月の3人の子供たちとこれからもキーウに留まり、志願兵として戦う夫の帰りを待つといいます。
「ここは私の家で、キーウから去るのは私ではありません。出ていくべきはロシア軍です。」
▽“解放”迫られる東部ドンバスは今
首都キーウからは後退したロシア軍ですが、東部ドンバス地方では、制圧地域を拡大させています。
(CNN)「ロシアは作戦を変更しつつあるようです。東部ドンバス地方の掌握に力を入れているようで、目標は5月9日とみられます。」
ドンバス地方は今、どのような状況なのか・・・現地の住民に話を聞きました。
(ルハンシク州在住 アレイニコウさん)「ミサイル10発が住宅に落ちました。ロシア軍に包囲されていて、いつ攻撃されてもおかしくないのです」
ロシアが注力する“ドンバス地方の解放”
ウクライナ侵攻開始の3日前、プーチン大統領が一方的に承認した親ロシア派の“ドネツク人民共和国”と“ルガンスク人民共和国”。当初は、州全体の三分の一ほどでしたが、その後、支配地域は拡大し、ロシア国防省は、ドネツク州の54%、ルハンシク州に至っては93%を支配下に置いたと発表。
アレイニコウさんは今、ルハンシク州のわずかに残る制圧されていない街にいます。
「私はロシアにもルガンスク人民共和国にもドネツク人民共和国にも入りたくないです。制圧地域に残る人は、ロシアの偽ニュースを信用しているか、銃声をもう聞きたくない人です。以前、ロシアに憧れていた人たちも目が覚めて本当のロシアの狂暴さに気づきました。」
ルハンシク州のガイダイ州知事は、ロシアとの戦いは、クリミア併合以来、ずっと続いてきたと訴えます。
(ルハンシク州 ガイダイ知事)「ロシアのウクライナに対しての戦争はもう8年間続いています。隠さなくなっただけです。100人以上亡くなりました。状況はとても深刻です。ロシア軍は部隊や兵士、武器を増やしています。1週間で我々の防衛ラインを突破するつもりだ」
▽“制圧地域で進む「住民投票」計画
ロシア国営放送によると、親ロシア派のルガンスク人民共和国では“住民投票”の計画も・・・
(ルガンスク人民共和国 代表 パセチニク氏)「共和国では近く住民投票が行われると思います。住民の大多数はロシアへの編入に賛同すると確信しています。」
これに対し、州知事は・・・
(ルハンシク州 ガイダイ知事)「その領土は“ルガンスク人民共和国”ではありません。そもそも“人民共和国”は存在していません。」
州知事は、最後まで抵抗を続けるといいます。
「ロシア人の嘘は驚くに値しません。ロシアのニュースではキーウを3日間で占領するとしていましたが、今、撤退しています。ロシアはミッションを一つも果たせていません。だから私たちの勝利を信じています」
▽9割が破壊・・・東部“要衝”マリウポリ
ドンバス地方の要衝・マリウポリ。ロシアにとって、実効支配しているクリミア半島と東部、そしてロシアを陸路で繋ぐために、制圧したい都市です。街の90%以上が破壊されたというマリウポリ。今も10万人の人々が取り残されています。
マリウポリから避難してきた人を乗せた車がザポリージャに到着。満席の車内には、疲れ果てた人々の姿が・・・トラックの荷台にも・・・
(マリウポリからの避難民)「子どもはおとなしく問題はありませんでした。快適ではありませんでしたが、無事に着いて安心しました。」
トラックの荷台で12時間揺られ、ようやくマリウポリを脱出できたのです。
(避難民を乗せた運転手)
「子どもや高齢者も多く席が足りず、荷台に乗せるしかなかった。規則違反ですが、住民の避難のため仕方のないことでした。荷台にすら乗れず、避難できない人も多い。」
4月3日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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