プーチン大統領“イエスマン”に囲まれ孤立か・・・正しい情報入らず軍上層部と軋轢(2022年3月31日)

プーチン大統領“イエスマン”に囲まれ孤立か・・・正しい情報入らず軍上層部と軋轢(2022年3月31日)

プーチン大統領“イエスマン”に囲まれ孤立か・・・正しい情報入らず軍上層部と軋轢(2022年3月31日)

ウクライナの首都キーウの北側では、数日前からウクライナ軍による奪還が目立っています。ロシア軍が去り、砲撃が止んだ後の場所に行くと、残っていたのは破壊されつくされた人々の生活です。

ウクライナ兵:「ロシア軍は民間人と軍人と子どもの区別をしないし、学校や病院の区別もせず、そこにあるものをすべて破壊します。この学校や村を襲ったロケット弾の一部です。ロシア軍はすべて破壊したんです」

プーチン大統領によって多くの犠牲を払わされているウクライナ。これまでにどれだけの軍人、非軍人が亡くなり、建物や財産に被害が出ているのか、その確かな数字は分かりません。

ただ、士気が高いままなことに疑いの余地はありません。

ウクライナ兵:「私たちは勝つでしょう。私たちは自分たちの土地にいるから、勝利は私たちとともにあるのです」

一方、ロシア軍は現状について「元々キーウ侵攻はドンバス地方のための陽動だった。これからは東部に集中する」と説明しています。

ロシア国防省、コナシェンコフ報道官:「ウクライナ軍の武装組織を敗北させ、ドンバスでこれらの部隊を機能させないようにするためでした。すべての目標は達成しました」

アメリカは現状をこのように分析しています。

アメリカ国防総省、カービー報道官:「キーウに向けて配備した大隊戦術群の20%ほどが再配置され始めています。一部はベラルーシに回るでしょう。主張の通り活動を縮小する気があるなら、自国に引き上げるはずだが、まだその動きはない。部隊の装備と補給を整え、ウクライナの別の場所へ配備するつもりでしょう」

プーチン大統領が何を考えているのか、その真意は知る由もありません。ただ、本人には侵攻前から今に至るてまで、正しい情報が入っていないという分析です。

ホワイトハウス、べディングフィールド広報部長:「我々の情報では、プーチンがロシア軍に欺かれたと感じたために軍上層部と間に軋轢(あつれき)が生じていた。プーチンが軍の失態や制裁による経済的損失を把握していないのは、側近が真実を伝えるのを恐れているからだろう」

ロイター通信はこのようにも伝えています。

欧州上級外交官:「プーチン大統領は、実際の状況よりも事が順調に進んでいると考えていたようだ。この問題は“イエスマン”に囲まれ、長テーブルの端に座っていることに起因しているのだろう」

例えば今月8日、プーチン大統領は徴収兵の戦闘参加について「軍事作戦に徴集兵は参加していません。今後も参加しないと強く言っておきます」と発言していましたが、ロシア国防相は9日に「徴集兵が参加している」と発表しました。プーチン大統領は本当に知らされていなかったとの見方が有力です。

命令する側がそんな状態だと被害を被るのは現場です。

英情報機関GCHQ、フレミング長官:「武器も足りず、士気も下がったロシア兵は命令に従わず、軍用品を自ら壊したり、誤って自軍機を撃墜してしまう始末だ」

ロシア兵は今、極限状態に置かれています。

ロシア兵:「きのうは仲間の1人から銃を取り上げ、落ち着かせていた。彼は『もうおしまいだ』と言っていたから。(Q.おかしくなっているってこと?)俺の知人だけでもう12~13人死んだよ。(Q.遺体はどこに運ばれている?)ヘルソンに運んで、そこからロシアだ。俺が聞いたのは40人だ。運ばれてきた人でね。誰が死んだのかは全く分からない」

ウクライナ軍は、ロシア兵の死者が最大で1万7500人に上るとの推計を出しています。

ロシアには兵士の母親たちのための団体がいくつかあります。そのうちの一つの団体に話を聞くことができました。

兵士の母委員会、スベトラーナ・ゴルブ委員長:「この特別軍事作戦が実施されたことで、母親たちから問い合わせは増えました。自分の息子がウクライナにいると分かっている場合は『情報を得たい』『ウクライナに息子がいることは反対。ロシアに帰らせてほしい』と言っている」

徴集兵のなかには訓練を4カ月しか受けていない若者も多く、そもそも所在が親に教えられていないケースがほとんどだといいます。

そして今、問題になっているのは遺体の回収についてです。

兵士の母委員会、スベトラーナ・ゴルブ委員長:「多くの遺体がウクライナに残っています。ジュネーブ条約で、ウクライナ側は兵士の遺体を回収する機会を提供しなければならない」

遺体の回収や引き渡しには休戦が不可欠です。プーチン大統領はイタリアの首相との電話会談で「停戦はまだ時期尚早」と話しています。

今、危惧されていることの一つが、ロシアが南部での戦線を広げるかどうかです。南部でロシア軍による包囲が続き、激しい攻防戦の最中にあるマリウポリ。市の中心部はまだウクライナ軍が守り抜いています。まだ16万人の住民が残っているとされているからです。

ロシアの侵攻の前からある赤十字の建物も空爆の対象となりました。ロシア軍による戦争犯罪の報告は、日に日に増えるばかりです。

国連人権高等弁務官事務所、バチェレ高等弁務官:「損傷した医療施設は55に及び、倒壊が10、2カ所が略奪された。侵攻から1カ月以上、ウクライナ国民は悪夢のような状況を耐え忍んでいる。数百万人が自宅から地下室や防空壕に避難を余儀なくされ、都市は破壊された。戦争を続けるのは道義的に受け入れられず、政治的に弁解の余地はなく、軍事的にも無意味なことだ」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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