独立系テレビ局が“放送停止”・・・キャスター「泣きそう」 ロシアで広がる“情報統制”(2022年3月16日)
ロシア政府がウクライナ侵攻に関する情報統制を強めるなか、国営テレビで反戦を訴え、拘束された女性が公の場に姿を現しました。
■拘束された女性「責任はプーチンに」
「これが戦争反対に声を上げる、私の決断でした。ロシアが、この侵攻を始めたことが、気に入らないからです」
こう話す、多くの報道陣に囲まれている女性です。
日本時間の15日午前、ロシア国営の「第1チャンネル」生放送中に乱入した、この放送局で働いていたスタッフだとみられています。
女性が掲げた紙:「戦争反対 プロパガンダを信じるな だまされている ロシア人は戦争に反対」
女性は、SNSにも動画を投稿していました。
女性が投稿した動画:「ウクライナで起きていることは、犯罪です。ロシアが、侵略者の国になる。その責任は、プーチンにあります。私は近年、クレムリンのプロパガンダの仕事をしてきました。そして今、私はそのことをとても恥じています」
「反戦」を訴えたことで拘束され、裁判を受けることになりました。現地時間の15日夜、罰金3万ルーブル(約3万円)の判決が言い渡されました。
勇気を出して反戦の声を上げた彼女に対して、「よくやった!」と叫ぶ声も聞こえます。ウクライナのゼレンスキー大統領も、次のように話しました。
ゼレンスキー大統領:「真実を届けているロシア人に感謝したい。偽情報と戦って、事実を語っている人。現状を親戚、友達に伝えている人。個人的には、反戦のポスターを掲げて、チャンネル1のスタジオに入った女性に感謝します」
ただ、この罰金は、SNSに動画を上げたことに対するもので、ニュース番組への乱入騒動については、別に裁かれるとみられています。
■意味のない「二つの言葉」掲げても・・・
女性の行動が大きな反響を呼んでいる背景には、ロシアが行っている徹底的な情報統制があります。
今月4日には、軍に関する虚偽の情報を広めた個人や団体に対し、最大で懲役15年を科す、新たな法律が成立しました。
「戦争」や「侵攻」といった表現を使うと、“虚偽”とみなされる可能性があります。
しかし、直接「反戦」という言葉を使わなくても・・・。
独立系メディアのテレグラムから:「ただ、このように『二つの言葉』と発言したら逮捕されるのかしら?」
カメラマン:「びっくり、びっくりしたよ。見たか?」
女性が掲げた紙に書かれているのは、意味のない「二つの言葉」です。反戦を訴える内容が書かれていると思ったのか、警察官が女性を連行していきました。
■テレビ・新聞も・・・“停止・削除”に
情報統制の矛先は、ロシア国内の独立系メディアにも向けています。
独立系テレビ局ドシチ・シンデイェワCEO:「我々が直面した事情により、放送を一時停止します。そして・・・短いスピーチを用意したのですが、泣きそうで言葉になりません」
プーチン政権を批判する報道姿勢を貫き、去年、ノーベル平和賞に選ばれた独立系新聞のムラトフ編集長も、「戦争」や「侵攻」などの表現が問題視され、記事の削除に追い込まれました。
独立系新聞・ムラトフ編集長:「我々は悲しんでいる。戦争を止める者は誰もいない。だから、悲しみと共に恥ずかしいと感じている」
■徹底した“情報統制”広がる
こうした既存メディアだけでなく、フェイスブックやツイッターといったSNSも制限され、ロシアにとって不都合な情報が排除されています。
警察官の検閲は、市民のスマートフォンにも行われています。
数少ない情報を得ようと、インターネット上の“抜け道”を利用すると、当局に摘発される可能性もあります。
(「グッド!モーニング」2022年3月16日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く