プーチン氏“戦闘員募集”キエフ総攻撃への布石か(2022年3月12日)

プーチン氏“戦闘員募集”キエフ総攻撃への布石か(2022年3月12日)

プーチン氏“戦闘員募集”キエフ総攻撃への布石か(2022年3月12日)

ロシアのウクライナ侵攻について、ロシア情勢に詳しい、防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんにお話を伺っていきます。

■ロシア軍 3方向からのキエフ包囲網について
八木)
アメリカ国防総省の高官によりますと、ロシア軍はウクライナ西部の2か所の飛行場を爆撃して、首都キエフ制圧に向けて主に3方向から部隊を前進させているということです。
板倉)
現在ロシア軍は3方向から向かってきていて、北西に位置する部隊は中心部から15キロの位置だともいわれていまが、この現状どうご覧なりますか。
兵頭さん)
現在、ロシア軍は国境付近に集結していた全ての兵力をウクライナ国内に投入してまして、アメリカ国防総省の見方では、その90%が戦闘可能な状態にあると。他方でウクライナ軍側もですね、同じく90%戦闘可能な状態にあると伝えられています。ロシア軍は当初、作戦が長期化するなか補給体勢などに問題が生じていましたので、部隊の再配置を行うなど戦況の立て直しをしていましたが、3方向からキエフ中心部に迫っているということになります。北西からは、中心地から15キロのところまで前進をしてまして、1日5キロのペースでキエフの中心地に向かっていると。それから北東は、ここ数日間で10キロから20キロ前進をして、中心地から20キロから30キロぐらいの所に位置しているのではないかと見られています。引き続きウクライナ側からの抵抗を受けてますが、着実にキエフ中心地に向かっていて、最終的にはキエフを包囲するような形で軍を配置するのではないか。アメリカの研究機関は、きょうまでにもキエフへの攻撃が行われるのではないかという見方がありましたが、今のところまだ始まってはいません。ただし、着実にキエフを包囲した上で、そのあと激しい砲撃等が予想されていて、激烈な戦闘になる可能性があります。他方で、西部の2つの飛行場、こちらがロシア軍によって攻撃されたということですが、この狙いは、ロシア側がまだ完全に制空権を取れていないと思われるので、この2つの飛行場を爆撃することによって制空権を獲得した上でですね、本格的なキエフ総攻撃に踏み切るのではないかと見られています。

■プーチン大統領「戦闘員募集」の意図は?
板倉)
そうした中、昨日プーチン大統領は、「ウクライナ軍と戦う戦闘員を国内外を問わず募集する」と発言しました。この意図は?
兵頭)
これも、これから予想されるキエフの総攻撃と関係してるんだろうと思いますが、現在、ロシア軍、一部ロシア国内のチェチェン共和国などの民兵なども、ロシア側の立場で戦闘に参加しているとみられてますが、今回は、特に外国の戦闘員、中東のシリアなどから募集をしてまして、ロシア国防省によると、すでに1万6000人の戦闘員が応募していると伝えられています。この狙いですが、ロシア軍というのは必ずしも士気が高くない。
ウクライナ・ロシアっていうのは、兄弟民族の関係にありますから、なかなか相手に銃口を突きつけることができない中、戦闘の最前線に外国の戦闘員も配置することによって、激烈な戦闘を外国の傭兵に任せる、そういう狙いがあり、これはこのあとのキエフ総攻撃に大きく関連する動きだろうと見ています。

■追加経済制裁、民間企業撤退でロシア国内の世論は動くのか
八木)
アメリカは追加措置として原油や天然ガスに加え、ウォッカや海産物などもロシアから輸入禁止にします。一方、民間企業ではマクドナルドやスターバックスがロシア国内の全店舗を一時閉鎖したり、Appleは製品の販売停止を発表しています。

プーチン大統領を止めるような世論は、作られるのでしょうか。
兵頭さん)
現在、情報統制が強化されているので、ウクライナの現状が必ずしもロシア国内で共有されていない部分があります。ただこれから本格的なキエフの総攻撃が行われると、ロシア側の犠牲者がさらに膨らむ可能性があります。そうした犠牲者が多数ロシア国内に運ばれる事態となったときに、情報統制が行われるとはいえ、その状態がロシア国内でも伝わっていきますので、ロシア国内でも世論が大きく変わるひとつの転換点になるのではないかと思っています。

板倉)
『アップル』や『スターバックス』などの民間企業が撤退することによる、ロシア国内への影響という部分ではどうでしょうか?
兵頭さん)
経済的なダメージのみならず、ロシア国民からすると心理的なダメージもあるんだろうと思います。ソ連が崩壊した後、『マクドナルド』や『スターバックス』という欧米企業がロシア国内にも入ってきて、ソ連解体後の欧米諸国の自由な文化をロシア国民も享受することができたわけですけが、こうした欧米企業が撤退する動きは昔のソ連時代の統制された、閉鎖された時代に逆戻りするんじゃないかという心理的な、ロシア国民にとってのダメージがあるのではないかと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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