ロシア制裁で家計に打撃「年6万円増」も・・・小麦・金属の価格高騰で“値上げの波”(2022年3月9日)

ロシア制裁で家計に打撃「年6万円増」も・・・小麦・金属の価格高騰で“値上げの波”(2022年3月9日)

ロシア制裁で家計に打撃「年6万円増」も・・・小麦・金属の価格高騰で“値上げの波”(2022年3月9日)

 ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、小麦の先物価格が過去最高値を更新しました。金属の価格も高騰していて、値上げの波が押し寄せています。

■パン店「経費20万円増えた」

 都内にあるパン屋は、小麦の価格高騰に頭を抱えています。

 パンを作るのに、欠かせない小麦。過去に類を見ない推移で、値上がりしています。

 「コミネベーカリー」・小嶺忠社長:「結構きついですよね。一個100円、150円で商売しているなかで、20%とかいう上げ幅が急に来られると、結構きつい」

 シカゴ商品取引所では、7日の時点で、小麦の先物価格が過去最高値を更新しました。

 一日での値上がりの上限に達したため、取引が停止される異例の状況になっています。

 小嶺忠社長:「単純に(小麦)粉だけで言いますと、毎月の粉屋さんに支払いをする額が、20万円増えています」

 世界最大の小麦輸出国は、ロシアです。5位はウクライナで、2つの国が占める小麦の輸出量は、世界全体の3分の1に上ります。

 ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、黒海周辺の港からの輸出が止まっていて、価格上昇に拍車が掛かっているのです。

 小麦価格の高騰で、この店の利益は、すでに大幅に減少。来月以降、パンの値上げも、検討せざるを得ないといいます。

 利用客:「困るよね。年金暮らしで、もらう金額は決まっているから。食べる回数を減らすしかない。そうなっちゃうよね」

 店は、値上げを行う場合は、最大でも現在の価格の15%増までにとどめたいとしています。

 一方で、価格の高騰が落ち着くめどは立っておらず・・・。

 小嶺忠社長:「同業のパン屋仲間と話をしているんですけど、このままいくと“パン500円”時代来るよね」

 あんがぎっしり詰まった名物の「あんぱん」は、現在118円で販売されています。

 そんなパンが、1個500円になってしまう。同業者の間では、そんなことも話しているようです。

■“アルミ鍋”大幅値上げも・・・

 影響は、調理器具や食器などの専門店が並ぶ、東京の問屋街・合羽橋にも及んでいました。

 「高橋総本店」調理道具部・国府田麻理菜店長:「大体1700アイテムくらいあって、1000アイテムくらいはアルミの製品」「(Q.実際どのあたりがアルミ製品なんですか?)こちらの棚もそうですし、こちらの棚もずーっと。こちらもすべてアルミ製品です」

 熱伝導が速く、鍋など調理器具の材料として人気のアルミニウム。そのアルミニウムの生産量で世界2位なのが、ロシアです。

 コロナ禍による海外の工場の稼働停止の影響で、アルミニウムの仕入れ値は、すでに上昇。先月24日には、13年半ぶりに最高値を更新しました。

 店は来月、10%から15%の値上げを決めていました。

 主婦に人気だという実用鍋も、来月から1割値上げされ、2700円のものが3000円になります。そこに追い打ちをかけたのが、ウクライナ情勢の悪化です。

 国府田麻理菜店長:「コロナ禍で海外の輸入の原材料が高騰してしまって、大変ななかで、海外の情勢が悪化しておりますので、そのあたりの不安はかなりあります」

 不安の声は、利用客からも聞かれました。

 調理師学校に通う学生は、来月から都内の飲食店で働くことが決まっています。

 調理師学校の学生:「専門的な道具がほしいなっていうのは、調理師学校に通っていて思うので。まだ給料とかも、そんなもらえてない。高くなるのは痛いなって。代用できるものではあるんですけど、良いものを持ちたいなというところもあるので、残念」

■“銀歯”にも・・・材料費が3割増

 ウクライナ情勢悪化の影響は、パンや調理器具だけでなく、医療にも及んでいました。

 歯の治療に使う金属のかぶせもの「銀歯」です。

 この材料に使われているのが、レアメタルのパラジウム。生産量は、ロシアが世界の4割を占めているのです。
 
 ウクナイナ情勢を受け、ロシアからの供給が滞る懸念から、パラジウムの国際市場での価格は高騰しています。

 「ファインデンタルラボラトリー」・坪田充弘代表取締役:「1月から考えると、2割から3割上がっています。1月のはじめは、30グラム8万円だったんですけど。今それが、10万円を超えている状態ですね」

 銀歯の価格高騰が続けば、将来的に、治療費が値上がりし、患者の自己負担が増える可能性も懸念されます。

■家計「年6万円増」可能性も

 ウクライナ侵攻の影響で続く値上がり。家計には、どれほどの負担がのし掛かるのでしょうか?

 第一生命経済研究所・首席エコノミスト・永濱利廣氏:「平均的な世帯の負担が、今年から来年にかけて、年平均で6万円くらい負担が増える可能性が出てきた。6万円のうち5万円がガソリン・軽油等の電気、ガス料金のエネルギー負担増。1万分が、穀物上昇を通じた食料品の値上がり。こういったところも、負担増になってくると予想される」

(「グッド!モーニング」2022年3月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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