#国際女性デー 科学は男子のもの?好きな仕事ができる社会へ(2022年3月8日)
3月8日は国際女性デーです。アメリカ・ニューヨークで、感染症と闘う医師らを守るため、ある薬剤を開発した女性科学者を取材しました。科学や数学は男性の領域だという文化が根づいているなか、若い女性が好きな仕事を選べる世の中になってほしいと訴えています。
時間が立つと青い色が自然と消えていきます。アメリカでは新型コロナの影響で、消毒の重要性が高まっていて、一般の病院などで需要が見込まれています。
キャサリン・ジンさん。8年前、19歳の時に消毒剤に色を付けるというアイディアを生み出しました。西アフリカでエボラ出血熱と闘う医療従事者を守るために研究を始めたのです。
「2014年にエボラ出血熱が流行がしているなかで、医療従事者が非常に高い割合で亡くなっていました。エボラの感染力がとても強いからです」
当時、エボラ出血熱の治療の現場では医師らの感染率が高いことが課題になっていました。
「防護服を着ていましたが、消毒が十分ではなかったのです。今や感染症から身を守る良い方法があると思うでしょう。でも、多くの場合、最も効果的なのは典型的な家庭用の漂白剤です。ご存じのとおり透明なので、どこを消毒したかわかりません/そこで私たちは、この「ハイライト」を開発しました。消毒剤を青く着色してどこに散布しているのか分かるようにしました」
透明の液体が青く可視化されたことで、全体を余すことなく消毒できるようになりました。
ただ、エボラウイルスを死滅させるには、10分間は待たなければいけないことも分かりました。
しかりと消毒が完了していない状態で、防護服を脱ぐことでウイルスに触れてしまっていたのです。
そこで、今度は消毒剤の効果が出るまで青い色が残るよう、色が消える時間をコントロールすることに成功しました。これで、防護服を安全に脱ぐことができるタイミングが分かるようになったのです。
「私たちはこれを2015年に開発しました。エボラ出血熱が流行しているリベリアとギニアに持ち込んだのです。しかし今、病原体が(アフリカなど)資源の少ない地域だけでなく、新型コロナによって全世界に影響を及ぼしているのを目の当たりにしています。そこで、液体の漂白剤だけでなく、アメリカの病院でより一般的に使用されている消毒用ワイプ向けに製品を広げました」
科学者としてのアイディアを次々に形にしてきたジンさん。小さいころから、算数や科学が大好きでしたが、周りには男の子しかいませんでした。
高校では、女性であることを理由に別の科目を受講するよう勧められたといいます。
「子どものころ、私は科学と算数が本当に好きでした。問題を解いている時は、数学者のふりをしていました。6年生で数学クラブに入るまでは、男女が平等ではないなんて気づきもしませんでした。チームには女の子は私だけでした。そして、男の子がみんな私をからかうを止めなかったのを覚えています。「お前がこのチームにいるのは試合に出るためのルールで女子が1人必要なだけだ」と言われていました」
「高校では、コンピュータサイエンスのクラスを受講しようとしましたが、指導カウンセラーから「いいえ、そのクラスは男子の方が優れているから代わりにジャーナリズムのクラスを受講しないか」と言われました。私は何も言わず、カウンセラーの話を聴いてジャーナリズムの授業を受けました」
科学は、女子には向いていないと言われ、好きな勉強に取り組むことが出来ませんでしたが、進学したコロンビア大学で転機が訪れたといいます。
「科学を専攻するとは思ってもみませんでしたが、生物学とコンピュータサイエンスの2つを専攻することになりました。大学に本当に素晴らしい女性科学者のコミュニティがあったのが理由の1つです」
そして、2人の男子学生と共同で会社を立ち上げます。
「当初は軽視されていると感じ、ぶつかることもありましたが、今では良き仲間です。相手をやりこめるのではなく、耳を傾けあうことで、男性も女性も成長できると感じています。2人と一緒に会社を立ち上げたとき、私が何か言うと、無視されて怒ったこともありました。でも、男性が同じ話をすると彼らは聞くんですよ。それは相当腹が立ちました。でも、彼らと働いてお互いに学んだのは、立ち止まって相手の話を聴くことが、とても大事だということです。彼らも多くのことを学んで大きく成長して、誰もが求める最高の共同創業者になりました。男女が不等なのは、女性だけではなく男性も損をしています。男女が対立するような状況ではありません。 多くの人は「フェミニストは女性が男性より優位に立ちたいと考えている」と言いますが、そうではありません。すべての人への平等を求めているだけなのです」
女性科学者として感染症と闘うため、さらに開発を進めるジンさん次の世代の女性が、性別に関係なく好きなことにチャレンジできる世の中になってほしいと考えています。
「女の子が将来何ができるのか模範やアイディアの1つになることが重要だと思っています。もし、若い少女が、女性が会社を経営していることや女性のCEOを見ることができたら、自分自身がそういう人になれるんだと想像ができて全てが変わりますよね。ですから、私は科学者の女性として、目に見える形で自分の経験やストーリを共有することが本当に大事だと確信しています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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