“賃上げベンチャー”が仕掛ける新たな仕組み 販売員のコーディネート紹介が報酬に?(2023年2月19日)

“賃上げベンチャー”が仕掛ける新たな仕組み 販売員のコーディネート紹介が報酬に?(2023年2月19日)

“賃上げベンチャー”が仕掛ける新たな仕組み 販売員のコーディネート紹介が報酬に?(2023年2月19日)

「賃上げ」に向けて企業の様々な取り組みが始まっています。
商品でコーディネートしたスタイルを撮影しているのはアパレル店員の女性。
実はこれが、仕事の評価や給料アップにつながっているといいます。その仕組みとは?

▽Wパンチでも“3年連続“賃上げ
4年前にオープンした肉料理が自慢のフランス料理店。
(ヒカリノアトリエ 渡辺篤オーナー)「基本給を社員は1万円ずつ、アルバイトは50円ずつ1年に1回昇給しています」
コロナ禍でも3年連続で賃上げできているそうですが、影では地道な努力が…オーナーが食い入るように見ていたのは、食材の納品書。
(渡辺篤オーナー)「卵が前回300円だったのが、今回350円になっていたんですね。」
相次ぐ食材の値上げに悩まされていますが、少しでも安く調達するため、仕入れ先の見直しを毎日続けているといいます。
「10円単位でしっかり切り詰めて、そのちりも積もったものが年間である程度大きい金額になるんですね。なるべく原価の安いものだったり、少し利益率の高いものをおすすめに入れて販売しています。」
今、多くの飲食店にとって、最も頭の痛い問題が“人手不足”です。最新の調査結果でも、およそ半分の飲食店が人手不足と回答。高騰し続ける人件費が、店舗運営の大きな負担となっています。
(飲食店の求人サイトを運営 シンクロ・フード 久保谷勇大さん)「時給を上げていかないと中々(応募者が)集まらない。さらに人件費が膨れてしまう。決算状況等によって、人件費を今以上に拡大するのが難しい。」
こうした中、こちらの店では、アルバイトの定着率の高さが賃上げに大きく貢献しているといいます。
「美味しかった?何食べたの?」
「ハンバーグ!」
大学生の中川英鈴さん。ホールスタッフとして店の立ち上げから働き続けています。
(中川英鈴さん)「4年働いているので(時給が)1350円なんですけど、それがやっぱりお仕事を続けていく上でのモチベーションになったなと思っています」
時給以外にも、4年間、同じ店でアルバイトを続けてきたからこそ得られるやりがいもあるといいます。
「お客さんも私の名前を覚えてくれたりとか、『前もいたよね!』みたいな感じでしゃべりかけてくれたりするのも結構うれしいので、それがモチベーションの一つですね。お店にも貢献できていると思いますし」
渡辺オーナーは、アルバイトが長く働くことで質の高いサービスが提供でき、それが最終的に賃上げにつながるのを目指しています。
(渡辺篤オーナー)「給料が上がって心にゆとりができるとお客様に優しくできると思うんです。質の高いサービスをすることによってリピーターが増えて売り上げが上がると、従業員に給料として還元できるところですかね。飲食店は労働時間が長くて、休みが少なくて、賃金が安いっていうところを変えて、飲食店が良いなと思うような労働環境にしてきたいです」

▽アパレル店員のコーディネート紹介 実は…
賃上げは中小企業でも進んでいますが、二極化しているというデータもあります。
日本商工会議所によると、業績改善による「前向きな賃上げ」はおよそ3割に留まり、残りの7割は、離職を防ぐ目的などで賃金を上げる「防衛的な賃上げ」だといいます。一方で、新たな仕組みを導入することで、“実質的な賃上げ”を実現した会社もあります。
「肩掛けとかもしてみる?」
20代から30代の女性を中心に人気のアパレルブランド「mystic(ミスティック)」。ひと足早く春の新作を着こなすこちらの女性は、ファッションモデル、ではありません。
(パルグループ「ミスティック」 ECプロモーション 森川小百合さん)「ミスティックのスタッフです。『STAFF START』というアプリを使って、コーディネートを投稿しています。」
実はこのアプリが、最終的に賃上げにつながるといいます。
(森川小百合さん)「オンラインサイトを開いて商品を検索していただくと、私の画像や、他のスタッフの画像も出てくるんですが、実際に商品をそこから購入していただくことが可能。ご購入いただいた売り上げにつながった部分が、お給料に戻ってくるというような流れ」
つまり、森川さんがアプリに投稿した洋服が売れれば売れるほど、それが自身の報酬につながり、“実質的な賃上げ”となるのです。森川さんもこのシステムを積極的に活用するなど販売員としての実績が認められ、先日、ネット通販のPR担当にステップアップしたそうです。
(森川小百合さん)「本当に、私の画像を見てそこを参考にしてくださっているんだなというのが、すごく見えてくる。さらに頑張ろうというやる気にもつながっていくので、より多くのお客様に発信をし続けていきたいと思います」
導入の背景には、別の側面も…
アパレル業界全体でみると、20代後半の販売スタッフの平均年収は300万円に満たず、他の職種より低いのが現状です。このアプリは、人材流出を防ぐなど、未来につながる仕組みとして、様々な企業で既に導入されています。“賃上げ”の仕組みを開発した会社の代表は…
(バニッシュ・スタンダード 小野里寧晃代表)「当然給料を上げていかなきゃいけないというのは分かるんですけど、企業の視点からすると、売り上げも利益も増えてないのに、どうやって賃金を上げればいいんだっていうのが、一番の悩みだと思うんですよね。(販売スタッフが)たくさん活躍ができて、売り上げも利益も作っているから、スタッフの給料が増える。きちんと頑張った分、お金が増える循環、仕組み作りがものすごくこれからの日本で重要」

2月19日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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