派閥は残るも“機能はなくなる”透明化と責任の所在は…自民党で示された“骨子案”【報道ステーション】(2024年1月22日)
派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、約4300万円の収入を政治資金収支報告書に記載しなかったとして略式起訴された、安倍派の谷川弥一議員が22日、辞職願を提出しました。
■谷川氏「金を集める力は必須と…」
“安倍派”谷川弥一衆院議員
「このような事態に至ったことは、自身の認識の甘さがあったと深く反省しております。この場を借りて、深くおわび申し上げます」
焦点となったのは“派閥からの指示があったかどうか”でした。
“安倍派”谷川弥一衆院議員
「(Q.派閥の指示か自身の判断か)それも答えません。私が悪いと言っているんです。(Q.「自分が悪い」ということは、自身の判断で不記載にしたのか)そんなことはない。そんなことはないよ。(Q.自身の判断ではない)結果としては、そうなっているんです。(Q.派閥の指示があったのは間違いないか)まあね…まぁしょうがないね。あんたが勝手に考えるしかないな。私は結果として不記載であった事実を認めて(議員を)辞めてきた。それ以上は答えないと言っているんだから。(Q.なぜ不記載にしたのかを知りたい)すいません。(Q.それは派閥の指示があったという…)すいません。(Q.派閥の指示が…)すいません!」
指示があったことを匂わせましたが、最後まで説明することはありませんでした。そのうえで…。
“安倍派”谷川弥一衆院議員
「私は力をつけたかった。長崎県が抱えた課題を処理していきたかった。それなら大臣並みの金を集めてやろうと思いました。ここが私の至らなかったとこですが、金を集める力と、しっかり勉強して堂々と論陣を張れることは、政治家にとって偉くなるのに必須なことだと思っていた」
■萩生田氏 2728万円不記載
22日に謝罪の言葉を口にした、もう一人。“安倍派5人衆”である萩生田前政調会長です。
萩生田光一前政調会長
「国民の皆様に多大な政治不信を招いてしまったこと、心からおわびを申し上げたいと思います」
2018年からの5年間で、2728万円を記載していなかったことを明らかに。その使い道は、国会議員などとの会合や、出張費用だったと説明しました。裏金は、事務所のスタッフが「鍵付きの引き出しで保管していた」といいます。
■骨子案「派閥は“金と人事と決別”」
報道ステーションが20日21日に行った世論調査で、支持率最低を更新した、岸田政権。さらに、自民党自体の支持率も、政権奪還以来、最低となりました。
岸田文雄総理大臣
「それぞれの派閥関係者が、自らどのようにけじめをつけるのか。そして、どのように説明責任を果たすのか。これは大変重要なこと。しかし、それと並行して、党としてどういった方向性を目指すのか。これらはともに大事なこと」
事態の打開につなげられるのか。政治刷新本部では“中間とりまとめ”の骨子案が示されました。まず、派閥の在り方については、いわゆる派閥の解消、派閥がお金と人事から完全に訣別することを掲げました。そのうえで、派閥の政治資金パーティーの全面禁止や、収支報告書への外部監査の導入などを盛り込みました。
“無派閥”平将明衆院議員
「派閥に関しては、廃止しないと分かりにくいという話もあった。『政治家が責任取ってないじゃないか』『究明して説明する責任があるのでは』という意見が出た。(Q.解消していない派閥もあるが)資金・公認・人事。これは派閥からの要望は受け付けないとなれば、それはすでに派閥ではないので。既存の組織が残っていても、派閥の機能はない」
“無派閥”桜田義孝衆院議員
「パーティーを禁止するという話がかなり出ている。パーティーできなくて、どうやって政治資金集めるのかと。そういう議論はない。本質的な議論してる人がいない。(Q.何が本当の改革案だと)え?私が総理大臣になること」
麻生派に所属する“ベテラン”から、こんな声も上がりました。
“麻生派”岩屋毅衆院議員
「一体となって改革に向かっている姿が大事。(Q.派閥めぐって2つに割れていると有権者に見えているが)実際に、そう見えてるでしょ。これは足並みをそろえるべき」
■議連発足「全派閥を解消すべき」
“無派閥”青山繁晴参院議員
「派閥全廃を掲げた新しい会を、15人でスタートしましたから」
22日の政治刷新本部に先立ち、青山氏らが新たに発足させたのが、「全ての派閥の解散」を求める会議です。無派閥の議員ら15人が参加しています。青山氏は刷新本部でも…。
“無派閥”青山繁晴参院議員
「総理が決断しなきゃいけないし、派閥の会長を辞めておきながら、派閥を解散したんですよね。その政治責任を完結してくださいと言いました。新人教育は派閥じゃなきゃできないのかを考えるのが、ごく当たり前の正しい手順ですよね。そのへんに立ち戻らないと、政権を握る資格はありません」
しかし、麻生派は「存続の意向」、茂木派・森山派は「解散に慎重」とされています。刷新本部は23日も開催され、25日にも中間取りまとめが行われる予定です。
■自民党で示された“骨子案”
自民党は政治とカネの問題を、どう正していこうとしているのでしょうか。22日の会議で出た、中間取りまとめの骨子案を見ていきます。
大きく分けて論点は2つ。『政治資金の透明性』と『派閥の在り方』です。
政治資金の透明性については『派閥の政治資金パーティーの全面禁止』『派閥の収支報告書への外部監査導入』『議員関係団体の収入は銀行振り込みに』『会計責任者が逮捕・起訴された場合、議員も処分』といったことが示されました。
派閥の在り方については『閣僚人事の推薦を禁止』『法令違反した場合、党が派閥に解散要求できる』などが盛り込まれていました。
■焦点は“透明化と責任の所在”
政治部・千々岩森生記者に聞きます。
(Q.今明らかになっている内容について、どう評価していますか)
千々岩森生記者
「まず政治資金についてですが、ポイントは2つ。『透明化』と『責任者の明確化・厳罰化』です。要は、国会議員にとってキツイことを自分でやれるかという話です。透明化に関しては『収入の銀行振り込み』という話がありました。これは資金の動きが見えるようになるので、第一歩だとは思います。ただ、公開義務を今の20万円から下げる話は書かれていません。それから、党幹部に渡される億単位の政策活動費。多くの野党も同じ問題を抱えていますが、これをオープンにすることも書かれていません」
千々岩森生記者
「責任の部分についてですが、現在の政治資金規正法では、会計責任者の責任のみが問われ、政治家本人にも責任を問う、連座制ではありません。骨子案では『会計責任者が逮捕・起訴された場合、議員も処分』という文言はありますが、連座制の導入を指すのかふわっとしていて、あいまいです。書かれていること、書かれていないこと、両方あるなという印象です」
(Q.自民党内では派閥の存続・解散で意見が分かれていますが、岸田総理の政権運営に影響はありますか)
千々岩森生記者
「非常に興味深いところでした。岸田総理が、自分の派閥だけでなく、全ての派閥の解散だと言えば、国民には分かりやすくなります。ただ、政権の要である麻生派・茂木派が離反するリスクもあります。こうしたなかで、岸田総理は恐らく、続けたい派閥は続けることを認める。その代わり、カネと人事は取り上げる。この辺を落としどころにしそうだとみています。であれば、麻生さん茂木さんも受け入れられるところです。21日夜、岸田総理と麻生さんが会食しています。関係者によれば、これは“手打ち”だったと。互いに亀裂を深めたくないという思惑はありそうなので、政権基盤という意味では、今の状態が続くとみています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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