“戦争か平和か”“親米か親中か”政権交代の可能性も…大接戦の台湾総統選【報道ステーション】(2024年1月12日)

“戦争か平和か”“親米か親中か”政権交代の可能性も…大接戦の台湾総統選【報道ステーション】(2024年1月12日)

“戦争か平和か”“親米か親中か”政権交代の可能性も…大接戦の台湾総統選【報道ステーション】(2024年1月12日)

蔡英文氏の後任を決める、4年に一度の台湾・総統選挙が13日に行われます。選挙戦は「中国との関係」が最大の争点ですが、大接戦となっていて、政権交代の可能性も浮上しています。

◆勝負のカギは“中国との距離”

与党・民進党の頼清徳候補。この日の集会には、主催者発表で20万人が参加しました。親米・対中強硬の現状を維持する構えの頼氏が、依然として選挙戦をリードしています。

民進党 頼清徳候補
「全世界が台湾の選択を見ています。世界に向かっていくのか。中国に閉じ込められるのか。運命は私たちの手に握られています」

8年政権が続いた与党・民進党が優勢とされるなか、追い上げを見せているのが、野党・国民党の侯友宜候補。こちらは親中路線を訴えています。

民進党政権下で進んだ中国との対立。アメリカとの仲が親密になるにつれ、中国との関係は悪化の一途をたどりました。そんな現状を、安定した状態に戻したいと、侯氏は訴えます。

国民党 侯友宜候補
「今、直面する最大のリスクは、台湾海峡での軍事衝突です。私は台湾にとって最も重要な『中間路線』を歩み、対話と交流を通じて、リスクを最小限にします」

◆中国が触手伸ばす“経済支援”

接戦の理由は、経済的な面にも表れています。去年9月、中国政府が台湾との経済的結びつきを強める『モデル地区』に設定した福建省。今月から台湾からの入境手続きが簡素化され、フェリーでわずか30分のアモイには、対岸の台湾・金門島から多くの人が訪れます。

福建省内には、台湾の青年を支援する施設が多くあります。支援を受け、台湾料理店を開いたケースも。

中国支援で創業した人
「生活・仕事・商売いずれも手当が出て、若者にとっては、もう一つのいい選択肢。必ずしも台湾にいる必要はないし、ここに来て交流するのもいいと思う」

中国との融和を目指す国民党は、こうした人々の支持を集めているとみられます。

◆“戦争か平和か”台湾の示す道は

強硬姿勢維持か、融和か。選挙戦の最中にも中国の影が見え隠れします。

中国 習近平国家主席
「祖国の統一は歴史の必然です。両岸の人々は協力し合い、民族復興の偉大な栄光を共有しましょう」

年末、こうメッセージを出した、習近平国家主席。ですが、9日には、衛星を載せた中国のロケットが台湾上空を通過。その後も連日、中国の航空機と軍艦が台湾領域に侵入するなどしています。台湾の人々に、いわば“戦争か平和か”を迫っている状態です。

今回の選挙戦は、史上初の三つ巴の戦い。親米か親中かで中道路線を進むのが、第二野党・民衆党の柯文哲候補です。積極的なSNS戦略などで、若者を中心に支持を集めてきましたが、他の2人には遅れをとっている情勢です。

4年前の投票率は75%。頼氏と侯氏が大接戦の情勢ですが、まだ態度を決めかねている人も一定数いて、こうした票の行方次第で、政権交代の可能性も出てきています。

◆争点“中国との関係”どうなる

与党・民進党候補の会場にいる、高橋大作記者に聞きます

(Q.投開票を翌日に控え、現地はどのような様子ですか)

高橋大作記者
「今まさにクライマックスを迎えています。頼清徳候補が演説を始めたところですが、集まった人たちは声を上げ、手を上げ、涙を流す人もいます。主催者発表によると、会場の中だけで5万人、入れなかった人が15万人いるということです。最新の世論調査では与党・民進党がリードしています。ただ、実際に街へ出てみると、民進党を手放しで支持する人は意外と少ないです。台湾は、8年ごとに政権が交代してきました。長期政権による権力集中への懸念があります。給料が上がらない、就職ができないといった、不安もあって、政権交代を求める声があります。野党との接戦が続いている印象です」

(Q.“中国との関係”が最大の争点ということですが、選挙結果によって、どう変わりますか)

高橋大作記者
「民進党が勝利して、今の政権が続いたとしても、頼清徳氏は、習近平政権に“台湾独立分子”と認定されているので、中国からの圧力が高まる可能性があります。一方で、野党・国民党が勝利した場合、経済を皮切りに、一気に中国との交流が進む可能性はあるものの、その速度があまりにも早かった場合、市民からは相当な反発があると予想されます」

(Q.中道を求める若者の声が、第3の候補を押し上げる動きがありました。動向はどうなっていますか)

高橋大作記者
「SNSを巧みに使い、若者の支持を集めた民衆党・柯文哲候補。今までの政治にうんざりしていると。中国・台湾関係ではなくて、今の生活・経済が大事だという若者は非常に多くいました。誰が総統になろうとも、こういった声と向き合うことが課題となりそうです」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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