被災地に無情の雪 ビニールハウスで“過酷な避難生活” 能登半島地震から1週間【羽鳥慎一モーニングショー】(2024年1月9日)

被災地に無情の雪 ビニールハウスで“過酷な避難生活” 能登半島地震から1週間【羽鳥慎一モーニングショー】(2024年1月9日)

被災地に無情の雪 ビニールハウスで“過酷な避難生活” 能登半島地震から1週間【羽鳥慎一モーニングショー】(2024年1月9日)

 8日、能登半島地震の発生から1週間たったが、被災地では地震が起きてから一番の積雪になった。なかにはビニールハウスでの避難生活を送る人もいて、地面にござなどを敷き、ストーブで寒さをしのいでいた。
 
■親戚一同が集まるも…土砂崩れで10人犠牲に

 8日、地震が起きてから一番の積雪となった能登半島。平年の3倍にあたる積雪9センチとなった輪島市では、道路がアイスバーン状態となり、滑りやすい状態になった。前を走っていたトラックが雪にタイヤを取られ、動けなくなる場面も見られた。
 
 倒壊しかけた家屋には雪が積もり、除雪作業に追われる住民もいた。
 
祖母が被災し手伝いに来た人
「こんな降らないだろうと思ってたら、意外と10センチくらい降っているから」
 
 能登町では、被災した祖母の手伝いに来た女性が除雪していた。
 
祖母が被災し手伝いに来た人
「ここの下に水が出て、道に雪が凍らないようにできているんですけど、そこが断水しているから」
 
 断水のため、雪を溶かす水も止まってしまっていた。雪の重みで、さらなる倒壊の恐れもある。車庫は崩れ、車は押し潰されてしまっている。

車庫が倒壊した住民
「かなりショックでしたよ。あそこも家がかろうじてあるけど、(雪が)重くて、潰れるかもしれない」

 志賀町では積雪が10センチを超えると除雪車を出動させるが、地震の影響で道路にひび割れや陥没があり、危険なため、除雪車の出動を断念した。除雪できない道路では、スリップした車も見られた。

スリップした車の持ち主
「雪がいっぱい降った時もここ通ってるんで、それは別に問題なかったんだけど。今まで、こんなことあったことない。初めて」
「(Q.断水の影響で、いつも流れている水が止まっている?)止まっている。きょうは全然散水していないもんね」

 最大震度6強を観測した穴水町では、地震による土砂崩れで家屋が倒壊した。現場では、親族を土砂崩れで亡くした人がいた。

寺本直之さん(52)
「みんな子どももいなくなって、どうしようかなと思って。つらいですよ。本当にもう。何なんですかこれ。何で私がこんなことにならなきゃいけないのかなって」

 元日に親戚一同が集まり、妻と子ども4人を含む10人が土砂崩れに巻き込まれた寺本さん。無情にも10人全員の死亡が確認された。

 地震発生から1週間が経過した8日時点で、死者は168人、安否不明は323人、2万8160人が避難生活を余儀なくされている。
 
■ビニールハウスで避難生活 近くに避難所も…
 
 震度7を観測した志賀町。降り積もる雪のなか、ポツンとたたずむビニールハウスには、避難所には行かず、自主的に避難生活を送る住民たちがいた。

ビニールハウスに避難する人
「(Q.ビニールハウスでの生活って?)大変でございます。実際にこうなってみると、ひどいもんですね」
「(Q.夜の冷え込みは大丈夫でしたか?)下にシート敷いて。ござ敷いて、この布団敷いて毛布を着ると大丈夫です」
 
 地面の上にござやシート、カーペットなどを敷き、ストーブを持ち込んで寒さをしのいでいた。夏から秋にかけてブドウを栽培するビニールハウスには、家に住めなくなった近隣住民10人ほどが生活している。
 
ビニールハウスに避難する人
「(Q.ビニールハウスに避難する理由は?)理由はね、避難所はたくさん人がいるから、こんな(人数)行けなくて、ここの方がいいって」
 
 近くに避難所は開設されているが、その避難所の一部も被災しスペースが狭いことや、ビニールハウスなら倒壊の恐れがないことが、ここで過ごす理由だという。
 
ビニールハウスに避難する人
「これガス窯一升炊きで、5合(炊いた)。炊いてジャーに移したから、ジャーごと持っていって」
 
 食べ物は家にあったものや、配布されたものを分け合いながら暮らしている。メニューはご飯に漬物、味噌汁だ。
 
 珠洲市でも、25人ほどがビニールハウスで避難生活を送っていた。山からの湧き水を温めるために、倒壊した家屋の木材を使って、火を起こしていた。

ビニールハウスに避難する人
「(Q.今、一番必要な支援は?)安心して休める場所ですね」
 
■災害関連死を減少させるために被災地入り

 災害派遣医療チーム「DMAT」は、医療支援を行うため、被災地入りしている。 
 
福島DMATの隊員
「早く困っている人たちのところに行きたいんですけど、たどり着けないもどかしさがあります」
 
 震災から1週間が過ぎ、被災者にとって深刻な問題となっているのが、避難生活の疲れや衛生面の悪化による感染症の増加だ。7日、内灘町の避難所で7人が新型コロナウイルスに集団感染した。さらに輪島市では、避難先で男性の家族内に感染が広がり、家族6人のうち5人が発熱したという。

輪島市で被災 家族5人がインフルエンザ症状
「家庭内でのインフルエンザが発覚し、避難先で家庭内感染したというところから、私以外の全員がインフルエンザ」「病院がパンクしていて、解熱剤がもらえたが、インフルエンザの薬がもらえず、診断もできない」

男性は家族のために連日、自転車を走らせている。

輪島市で被災 家族5人がインフルエンザ症状
「みんなの水分を確保するために、現金を握りしめてがむしゃらに自転車をこぎ回ったという状態」

 感染症のリスクが高まっている。8日、DMATのチームは避難所に医療物資を運び、衛生面の改善などの支援を行った。

 避難している女性(92)は、元日からの避難生活がたたったのか、7日に病院へ運ばれ、点滴の処置を受けた。他の避難している女性は喉の痛みを訴えている。

DMAT 谷川攻一医師
「熱とかどうですか?」

避難している女性
「熱はないんだけど、イガイガしている。常時」

谷川医師
「これカロナール。一日3回まで飲んでいいですから」

谷川医師
「大きな災害であればあるほど、医療のニーズは1週間前後から増えてくることも。多くの方が複数の病気をお持ちで、(地震)を契機に悪化するということはよくあること。私どもとしてはそういう災害関連死を少しでも減らせるようにお手伝いする」
 
■輪島市のホテル「長い支援お願いします」

 震災は、観光業にも暗い影を落としている。朝市などの観光スポットにも近く、普段は多くの観光客でにぎわうホテルメルカート輪島も被害を受けた。

ホテルメルカート輪島 谷口浩之常務
「正面玄関なんですけど、こんな斜めのこんな作りじゃなくて」

 ドアの枠は大きくゆがみ、厚いガラスもほとんどが割れてしまっている。

谷口常務
「普通にフラットの床だったんですけど、向こうは下がってて、全体的にロビーがもううねりになってます」

 ホテルの中に入ると、ロビーの床は激しく隆起していた。じゅうたんをめくってみると、大きくひび割れた状態になっていた。宿泊客だけでなく、日帰りでも利用可能な大浴場は、天井が剥がれ、壁に大きなヒビが入ってしまっている。

谷口常務
「こんな状況なので、どこまで頑張れるかっていうのが、長い闘いになるなというふうに思いますけど。輪島の地元の人たちが明るく笑顔で生活できるようにまで頑張らんと、皆さんに笑顔で来てくださいと言えないので、それまで長い支援お願いします」

 志賀町の赤崎漁港は、4.2メートルの津波によって大きな被害を受けた。並べられた船もひっくり返り、住宅近くまで流されている。

漁師歴50年以上 木村豊男さん
「あぜんとして、もう再生不可能やなって。再生して、もう一回同じような型でやるっていうのはちょっと無理でしょうね」
 
■料理人が被災者支援…風呂を無料開放も

 厳しい避難生活が続くなか、ほっと一息つける場所もある。避難所でラーメンを提供していたのは、和倉温泉や周辺店舗で働く方々。老舗旅館「加賀屋」の料理人の姿もあり、正月用に確保していた食材などを使い、400食以上をふるまった。
 
加賀屋の料理人
「おいしいものということで、味というものを何でもいいわけじゃなくて、いいものを出していければと」
 
避難住民
「麺がもちもちしてて、とてもおいしいです」
「久しぶりに温かいラーメン食べたら、心もほっとして。なんか雪も降ってきてて、外が寒いので。暖房ついてても、足が冷たいので」
「(Q.何歳ですか?)3歳です。おいしいです」
 
 炊き出しに参加していた楠雅美さんは、自身が経営する「ケーキ&カフェGreen one」も被害を受けたという。
 
楠さん
「(建物の土台が)浮いてしまって。なので、こっちの戸は鍵とかじゃなくて開かなくなってしまって、こんな感じですね」
 
 店舗が傾き、店内は物が散乱し、6日からの営業を考えていたのだが…。

楠さん
「バースデーケーキのご予約もあったんですけど、さすがにできないので。お客様も同じ被災者なので分かっていただけましたけど。お子さんの誕生日はしてあげたいなと思ったけど、できなかったですね」
 
 断水が続く志賀町の温泉施設では、町民に風呂を無料開放した。
 
利用客
「(Q.何時から並びました?)午前7時からです。早く入りたいので」
「助かりますね。家とか寒いので、やっぱり体を温めるのが一番いいですね」
 
 避難生活を送るなか、安らいでもらおうと断水が復旧するまで続けていく予定だという。
 
アクアパークシ・オン 大平克典支配人
「笑顔を取り戻してね、元気になってもらいたいなっていう思いで無料開放しました」
 
■物資を届けに来た男性…給水車両も到着
 
 8日、天候不良のため見送られていたヘリコプターによる支援物資の輸送が行われた。自衛隊員がパンや水などの物資をバケツリレーで運んでいた。

 地震発生後1週間を過ぎ、被災者へ届ける準備が進んでいる。七尾市では、支援物資を取りに行くことができない人のため、個別に物資を届ける男性がいた。
 
物資を届けに来た男性
「カップ麺、お菓子、カイロ、ブルーシートも必要なら取っていって」
 
物資を受け取る女性
「私が足が悪いもんで、カート引っ張っていかないといけないしと思っていたんで。本当、ありがたいです」
 
 いまだほぼ全域で断水が続く七尾市では、地震発生後初めて修復された受水槽に水が供給された。受水槽が半壊していた病院では、三重県伊賀市から給水車両が到着した。この現状に、七尾市の茶谷義隆市長は次のように述べた。
 
茶谷市長
「まず断水をいかに解消するか、断水を解消することによって、自宅で生活できる方もちょっと増えてくると思います」
 
七尾市在住の女性
「(Q.水が早く来てほしい?)そうですね、全部来てくれれば、最高なんですけど。こればっかりは、なかなか時間はかかると思います」
 
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年1月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事