日銀・植田総裁、来年勝負の年に マイナス金利解除判断は|TBS NEWS DIG
来年、日本銀行・植田総裁は勝負の年を迎えます。17年ぶりの利上げとなる「マイナス金利政策」の解除を判断するとみられていて、難しい舵取りが求められます。
今月25日、経団連の講演会に出席した日銀の植田総裁。激動の1年をこう振り返りました。
日本銀行 植田和男 総裁
「まさに『転換』に向けた動きがみられた1年になった。今度こそ低インフレ環境を脱し、“賃金と物価の好循環”の実現を期待している」
経営者たちへ示したのは「賃上げ」への期待感。
日本銀行 植田和男 総裁
「来年の春季労使交渉(春闘)で、はっきりした賃上げが続くかが重要なポイント」
マイナス金利の解除に向け、最大の山場となるのが「持続的な賃上げ」です。賃金と物価の“好循環”が回りだしたという企業も出始めています。
全国およそ570店舗を展開する理髪店、QBハウス。
今年8月、全正社員1800人を対象に7.4%の賃上げを実施。パート社員の時給も100円引き上げました。
「賃上げ」に踏み切った最大の理由は「人手不足」です。
キュービーネットホールディングス 平山貴之さん
「理美容業界以外が結構あちこちで賃上げをされていたので、業界を離れていく人が多かった」
「賃上げ」を可能にしたのが、「値上げ」です。
かつて“1000円カット”で知られたこのお店。今年4月に1200円から1350円まで値上げしました。
客
「(値上げは)悲しかったけどしょうがない。店がなくなったり、スタッフがいなくなったりするより、もうよっぽど(値段を)上げていただいて」
客足はほとんど減らず、売上は1割ほど増加。これが「賃上げ」の原資となりました。
あわせて、設備投資として本社を移転し、人材育成のための研修スペースを1.5倍に広げました。
キュービーネットホールディングス 平山貴之さん
「世の中全員が賃上げされて物価が上がっていくんだろうなと」
「マイナス金利の解除」を見据え、植田総裁は賃金と物価の好循環がどこまで定着するのか、来年の春闘を含め、ゆっくりと見極めたい考えです。
しかし、ここにきて別の要因から「時間がない」という見方が出ています。
『金融政策の正常化へ迫るタイムリミット』
その要因というのが、アメリカの金融政策の「転換」です。
FRB パウエル議長
「いつ金融引き締めを戻すのが適切なのかという疑問については視野に入ってくるし、きょうの会合でも議論となった」
歴史的なインフレを押さえ込むため、利上げを続けてきたアメリカ。
それが、インフレが落ち着き始めたとして、早ければ来春にも利下げをするという観測が広がっています。
ただ、中央銀行にあたるFRBが利下げ局面に入ると、日銀はマイナス金利の解除など金融政策の正常化に動きづらいとの指摘があります。
というのも、仮にアメリカが利下げをして日銀がマイナス金利を解除、つまり利上げをした場合、日米の金利差が縮むことで円相場は急激に円高方向に進む可能性があるからです。
為替の大きな変動は、日本企業の業績悪化や株価の大幅下落につながりかねません。
日本銀行 植田和男 総裁
「(例えば)3か月後や6か月後にFRBが動きそうだから、その前に焦って私どもの政策変更しておく、そのような考え方は不適切」
「春闘」に「FRBの動向」。様々な要因が複雑に絡み合うなか、日銀はいつマイナス金利政策の解除に踏み切るのか。重大な判断の瞬間が刻々と迫っています。
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