【ゼロコロナ抗議デモ】習近平政権のジレンマ…問われる統治のあり方◆日曜スクープ◆(2022年12月4日)

【ゼロコロナ抗議デモ】習近平政権のジレンマ…問われる統治のあり方◆日曜スクープ◆(2022年12月4日)

【ゼロコロナ抗議デモ】習近平政権のジレンマ…問われる統治のあり方◆日曜スクープ◆(2022年12月4日)

新型コロナ感染拡大を徹底して封じ込める、習近平政権の「ゼロコロナ政策」に対し、中国主要都市で抗議デモが相次いで発生、国民の不満と憤りが噴出した。先月24日に新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きた、集合住宅の火災で住民10人が死亡。ゼロコロナ政策に伴う防護柵など、過剰なコロナ対策が原因との声もあがり、ウルムチでの抗議活動がSNSで拡散したことが発端とされる。

上海中心部で26日夜から27日未明にかけ、数百人が抗議デモを実施、習近平国家主席の退陣を求める声まであがった。27日は北京中心部や武漢などで抗議デモは拡大する。中国問題グローバル研究所長の遠藤誉氏は、ネット上で抗議デモを指南する「司令塔」の存在も考えられるとして、デモの方法や基本原則を書き込んだサイトを挙げた。

ただ、遠藤さんも、抗議デモに加わった人たちの不満や閉塞感は「着火したら直ちに燃え上がる状態だった」と指摘する。遠藤氏によれば、「言論の制約はあっても『政治を語らないなら自由』という状況があったから、我慢することができた、政治以外でも行動の自由を奪われると、爆発寸前となるのも当然」と言う。習近平国家主席は1日、EUミシェル大統領との会談で、抗議デモの原因について、「3年に及ぶコロナの影響により主に大学生や10代の若者に不満が溜まっていた」と説明せざるを得なかった。

中国の新型コロナの新規感染者は11月23日に3万人超に達し、各地で大規模なデモが相次いだ27日には4万人を上回った。抗議デモ後、封鎖エリアの絞り込みなど、ゼロコロナ政策を緩和する動きが次々と伝えられたが、実は、中国政府は3週間前の11月11日に「新型コロナ対策の“最適化” 20カ条の措置」として、ゼロコロナ政策の一部緩和を発表していた。ゼロコロナ政策を止めると3カ月で死者160万人との試算がある一方で、仮に、ゼロコロナ政策をこのまま強行すれば、米国との経済競争に不利になる懸念は否めない。
習近平政権は、ジレンマに直面している。

こうした「20カ条の措置」による、ゼロコロナ緩和策を発表していたにも関わらず、
中国国内の不満や閉塞感を和らげることができず、大規模デモに至ったのはなぜか。遠藤氏は、「20カ条の措置」の、ある項目に注目する。「『層層加碼(ツェンツェンジャーマー)』の取り締まりを強化し、むやみに封鎖することを禁止する」とある。『層層加碼』とは、「下に行けば行くほど割り増しをする」ことを意味する中国の言葉だ。ゼロコロナ政策の現場では、「一層ずつ、下のレベル、現場に近いレベルに行くたびに、割り増しして、封鎖を厳しくしてしまっている」のだ。中央政府からの指示が現場の行政レベルに達するまで、次々と際限なく、規制を厳しくしてしまう実情。封鎖を緩和して、感染者が増加したとき、自らが処罰の対象となることを恐れてのことだ。

こうした『層層加碼(ツェンツェンジャーマー)』が横行する組織となっていることに、中国共産党指導部の責任は、どのように考えることができるのか。遠藤氏は、「中国共産党指導体制の信頼関係の欠如。その欠如は、『恐怖』による統治からもたらされた」と分析。自らの中国滞在の体験も交えて、読み解いていく。

日本経済新聞 本社コメンテーターの秋田浩之氏は、中国国内の不満、閉塞感の深層を解き明かし。中国が今後、どのようにして、ゼロコロナ政策を緩和していくのかを分析。中国は、共産党の優位性を損なわない範囲で、ゼロコロナ政策を段階的に解除せざるを得ず、難しい舵取りを迫られると指摘する。

★ゲスト:遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
★アンカー…秋田浩之(日本経済新聞・本社コメンテーター)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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