国道で土砂崩れ 車下敷きか…捜索難航 激しい寒暖差“凍結融解”原因か【スーパーJチャンネル】(2023年12月25日)
奈良県の国道で発生した土砂崩れは巻き込まれたとみられる車の捜索が難航しています。激しい寒暖差による「凍結融解」が原因と指摘されていますが、専門家は「どこで起きてもおかしくない」と警鐘を鳴らしています。
■奈良の国道で土砂崩れ 車下敷きか
捜索は難航しています。二次災害の恐れもあり、まだ救助に入れない現場。25日午前中、5分間の撮影が許可されました。道路をふさぐ土砂と木々。大きな石も見えます。電線や電柱も巻き込まれています。グーグルマップで見ると、その規模の大きさが分かります。
吉野消防署長
「安全確保までは救助隊が進入できませんので、いつから救助開始するのか現在、調整中です」「（Q.救助開始の見込みは？）現状、非常に厳しいです。今のところは」
24日の映像では、現場から白く上がる煙。25日は収まっています。
吉野消防署長
「煙がかなり薄い。燃えるものがすでになくなっているのか、冷却が土で被さって窒息（消火）しているのかなと思う」
■捜索難航“無人の重機”を投入
午後、無人で斜面の土砂が撤去ができる「ロッククライミングマシーン」が投入されました。
奈良県担当者
「亀裂が非常に想定より大きく、かつ、それの影響する範囲が、かなり大きな岩塊にも危険が及んでいる恐れがあるというふうに判断した」
■「父と連絡取れない」幹線道路で何が
土砂崩れが起きたのは23日のこと。現場は奈良県下北山村にある国道。午後9時ごろ、幅30メートルほどにわたって土砂が崩れました。
近隣住民
「数時間前に通った道やから、ニュースを見てめっちゃ怖かった。もうちょっと遅かったら危なかった」
軽自動車が巻き込まれて約7時間、車内に閉じ込められていた53歳の男性が救助されました。
和歌山県内の女性から「釣りに行った父親と連絡が取れない」との連絡もありました。
吉野消防署長
「（巻き込まれた車が）もう1台あろうということで救助活動をしている。恐らく1人だと思う」
2年前に撮影された画像と照らし合わせてみると、山の斜面が崩れ落ち、道路をふさいでいる様子が見て取れます。周辺には迂回（うかい）路も少なく、地元の人にとっては幹線道路でもあります。
下北山村 南正文村長
「奈良県の住民にとって京阪神と一番近い大変、重要な道路。（救急搬送があれば）和歌山、三重の病院にお世話になる。北の病院には行けない」
通行止め解除の見込みは立たず、奈良名物の“柿の葉寿司”も影響を受けています。
周辺の柿の葉寿司店
「配達もキャンセルが出ているので影響があります。感覚的には半分以上、減ってる」
■何が？過去にも相次ぐ“土砂崩れ”
気掛かりなのは土砂崩れの“原因”です。
周辺住民
「17、8年前、上北山村で同じようなことが起こって。その間も半年くらい車が通れなくて」
2007年には周辺の上北山村の同じ国道169号で土砂崩れが発生。3人が死亡しました。
下北山村 南正文村長
「国道169号は土砂災害や雨量規制で通行止めが頻繁に発生している」
■知事「急カーブ多い」対策矢先に
今年5月には雨の影響で崩れ、仮の防護柵も設置されていました。ただ、今回は5月に崩れた、さらに上の部分から崩れました。奈良県が来月から本格的な工事を始める矢先の出来事でした。
奈良県 山下真知事
「非常に急カーブも多く急勾配の箇所もあり、法面の崩土もあったため、抜本的な対策を検討していた矢先…」
ただ、下北山村では今月、まとまった雨は降っていません。
■激しい寒暖差“凍結融解”原因か
専門家は今年特有の“気象現象”を指摘しています。
芝浦工業大学工学部 土木工学科 稲積真哉教授
「最近は日中と夜間の寒暖差が非常に激しい。珍しいかもしれないが、凍結融解による土砂崩壊だったのかなと」
今月、周辺の上北山村では気温差が23.8℃と、12月としては観測史上2番目に大きい気温差を観測しています。
寒い時には氷点下ともなる寒さが地盤にある水を凍らせ、暑くなればその氷を溶かせることを繰り返す「凍結融解」。水が凍れば体積が大きくなるように、寒暖差が大きければ膨張したり縮んだりを繰り返すことになります。
芝浦工業大学工学部 土木工学科 稲積真哉教授
「土や岩盤は膨らみ・縮みに追随できず、どんどん劣化が起こってしまう。（現場付近の）凍結融解の作用が長年にわたり生じているため、斜面自体が非常に弱っている状態だったと推測できる」
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
