停戦協議“住民避難ルート設置”「無差別攻撃への入り口か」ロシアの思惑を専門家解説(2022年3月4日)

停戦協議“住民避難ルート設置”「無差別攻撃への入り口か」ロシアの思惑を専門家解説(2022年3月4日)

停戦協議“住民避難ルート設置”「無差別攻撃への入り口か」ロシアの思惑を専門家解説(2022年3月4日)

ロシア政治が専門の慶應大学教授の廣瀬陽子さん、軍事ジャーナリストの黒井文太郎さんに聞きます。

ロシアのプーチン大統領は、西側の経済制裁に対して「私たちに悪意はない。状況をエスカレートさせず、制裁も科さないようすすめる。事態を悪化させる必要はない」とけん制しました。

(Q.これをどのように読み取ればいいでしょうか)
廣瀬陽子さん:悪気がないというのは、プーチン大統領の独特の歴史観に基づいているものであって、恐らく、本人に悪気はないというのは本当だと思います。ただ、国際社会は受け入れられません。彼自身は、悪気がないのに制裁を浴びていることに強い懸念を示しています。プーチン大統領から見ると、一連の制裁というのは、ロシアにとってハイブリッド戦争です。プーチン大統領は、ウクライナの後ろに欧米を見ています。制裁が科せられれば科せられるほど、ロシアは報復措置を取る。ウクライナに対して報復措置を取るが、その後ろに欧米を見ています。「だから制裁をやめるべきだ」という、強気のアピールだと思います。

黒井文太郎さん:私は、国内向けの側面があるのではないかと思います。制裁で国民の生活は厳しくなります。それは、アメリカなど敵のせいで、自分たちは和平を言っているが、耳を貸さない向こうが悪いと言いたいのではないかと思います。実際にロシアの生活が悪くなるのはわかっているので、「悪いのは向こう」だと強調したいのだと思います。

ロシアとウクライナによる2回目の停戦協議が行われました。新たに戦闘地域の住民を避難させる退避ルート、“人道回廊”ともいわれるが、この設置することで合意しました。

(Q.2回目の停戦協議の合意内容をどう見ますか)
廣瀬陽子さん:とてもネガティブに受け止めています。当初、ロシア軍は軍事施設のみを攻撃するとしていました。その後、だんだん拡大していっています。今回、「避難ルートを設ける」と言ったことは、これから戦い方を変えていく。つまり市街地などを戦いの対象とすることを宣言したように思われます。裏をかえせば“人道回路”以外は、どこでも攻撃するということになってきて、無差別攻撃になってくる可能性が高いと思います。これまでロシアがチェチェンやシリアで展開したような市街地を更地にするような攻撃を仕掛ける可能性が高いと思います。

(Q.双方、3回目の協議は行うとしていますが、開催されるでしょうか)
廣瀬陽子さん:3回目の交渉は行われると思いますが、双方の言い分が食い違っているので、容易に合意に達することはないと思います。その間、ロシアは時間稼ぎをしつつ、ウクライナに対して、徹底的な抗戦を行って、壊滅的にしてから、戦勝国の立場で、敗戦国のウクライナに要求を突きつける、有無を言わさない方向にもっていこうとしていると思われます。

(Q.今後のロシア軍の動きをどう見ていますか)
黒井文太郎さん:南部はロシア軍が優勢です。オデッサに侵入して海をふさいでしまおうと。東部に関しては、ハリコフを中心に市街戦、無差別攻撃を含んだ進撃をしていくと思います。悲観的になりますが、厳しい戦いになると思います。そして、キエフの攻防戦ですが、ベラルーシから入ったロシア軍が食い止められています。ロシア軍は、キエフを包囲してから、散発的な攻撃を内部にしていき、ゼレンスキ―大統領に降伏を迫るということをやっていくと思います。ウクライナ側は食い止めていますが、ロシア軍の戦力は強力なので、ずっと食い止められるかというと、それは、なかなか難しいので、ロシア軍が少しずつ進撃していくのではないかと思います。

(Q.パラリンピックが開幕しましたが、ロシア軍への影響はどうでしょうか)
黒井文太郎さん:今さら、パラリンピックは、関係ないと思います。中国に対してですが、パラリンピックを破壊するわけではないので、プーチン大統領は、大きなことと考えていないと思います。

(Q.今後のウクライナ軍の動きをどう見ていますか)
黒井文太郎さん:ウクライナは抵抗する姿勢を見せています。NATO側からの兵器の援助や海外からの義勇兵で、何とかロシア兵の進軍を食い止めようとしています。その間にロシア国内で、経済制裁がきいてきて、ロシアの進撃が弱まることを期待していると思います。欧米は、ウクライナに軍を入れることは最初から考えていません。だから兵器を支援する。ウクライナ側は、入ってきたロシア部隊に対し、歩兵が囲んで狙い撃ちするという戦い方が功を奏していますので、歩兵用の武器。そして、今後、ロシア軍の空軍が出てくれば、防空式ミサイルはほしいと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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