「140字小説」数十秒の恋愛物語を描く TikTokで話題…著者に聞く“超短編”の魅力【ワイド!スクランブル】(2023年12月23日)
今、数十秒で読み切れる若者の恋愛物語を書いた超短編の「140字小説」が話題となっている。その人気のきっかけとなったのがTikTok。最近の若者の文学事情を取材した。
■1話完結の超短編小説 「140字で満足感」
東京・江東区にある未来屋書店南砂店では、SNSなどを通じて若者などの間で話題となっている書籍を集めた特設コーナーを10月に設けたという。
店長におすすめの書籍を聞いてみた。
伊部忠幸店長
「こちら、一番売れています、TikTokで大人気ですね」
中でも若者の間で人気となっているのが、「140字小説」という1話完結の超短編小説だ。
若者の恋愛模様を描いた「すべての恋が終わるとしても」。去年3月に1作目と、今年4月の2作目を合わせると25万部を突破。10万部売れれば大ヒットとされるなか、異例の売れ行きを見せている。
その「140字小説」がこれだ。
「おそろい」
プレゼントを買った。
喜んでくれるだろうか、期待して彼の家へ。
「「これクリスマスプレゼント!!」」
互いに用意していたみたいで、声は重なった。
包装から出てきたのは同じ時計がふたつ。
「ははっ」期せずしてペアになって笑いが止まらなかった。
それから五年後、同じ日に私達はお揃いの指輪をはめた。
高校1年生
「TikTokで結構話題になってて、読んでみたいなと思って書店で手に取りました」
「(Q.140文字で感動できました?)逆に足りない部分で想像できたりするので、とても140字で満足感がありました」
■「140字小説」の魅力 著者に聞く
著者の冬野夜空さん(26)は元々、小説などを執筆していたが、140文字の文字数制限があるX(旧ツイッター)で、1つの投稿で完結する小説を書き始め、これに出版社が注目し、書籍化に至ったという。
冬野さんに、顔を出さないことを条件に話を聞くことができた。
冬野さん
「140文字に収めるという気持ちで書くと、内容がスカスカになってしまうことが多くて。150、160くらいの気持ちで書いて、超過した後に削っても意味が通じるぎりぎりまで削って140文字にするという形をとっています」
そうして作られた「140字小説」の魅力を聞いた。
冬野さん
「作品の中の情景だったり、その後どうなったのかとか、結構、相互性の余地がたくさん残っている。逆に作品における空白の部分を受け手の想像に委ねることができる」
こうした「140字小説」の書籍は、TikTokの“動画”で人気を集める、これまでにない広がり方をみせていた。
■数十秒で読み切り…「読む」から「観る」へ
今、若者の間で話題となっているのが、冬野さんが書いた「140字小説」だ。
主に、10代から20代前半の女性読者に人気を得ているというのだが、一体なぜなのか?出版社を訪ねた。
スターツ出版 文庫編集 森上舞子編集長
「若い方が普段、身近に使っているような言葉で、親しみのある言葉遣いの文章というところが、若い方に共感を呼んでいまして」
さらに、数十秒で読み切れる“140字”にも理由があるという。
森上編集長
「時代背景として、すごく“タイパ(タイムパフォーマンス)”の需要が若い方の間で高まっているというのを受けて。通学ですとか、寝る前の隙間時間に読める作品を出したいという思いで作った作品」
実際に出版してみると、数十秒で読み切れる短さから、読者たちが冬野さんの小説を朗読したり、音楽を付けた“短い動画”をTikTokに投稿し始めたという。
この“短い動画”で、作品が読むものから観るものになり人気に火が付き、その後、出版社もTikTokの公式アカウントに投稿を続け、爆発的人気となったという。
表紙だけは知っていたという大学生に、その場で読んでもらった。
大学1年生
「短い文章なんですけど、情景がすごく鮮明に思い浮かぶというか。自分が告白されたり、プロポーズされたというのを想像して、ちょっとにやけちゃいました」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年12月22日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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