捜査関係者「絶対に逮捕してはいけない事件だった」大川原化工機の”えん罪事件”はなぜ起きたのか?警視庁公安部と経産省のやり取りも明らかに|TBS NEWS DIG

捜査関係者「絶対に逮捕してはいけない事件だった」大川原化工機の”えん罪事件”はなぜ起きたのか?警視庁公安部と経産省のやり取りも明らかに|TBS NEWS DIG

捜査関係者「絶対に逮捕してはいけない事件だった」大川原化工機の”えん罪事件”はなぜ起きたのか?警視庁公安部と経産省のやり取りも明らかに|TBS NEWS DIG

軍事転用可能な機材を輸出したとの疑いをかけられ、機械メーカーの社長らが逮捕された「えん罪事件」。

社長や遺族らが国などに対し損害賠償を求めている裁判は、来週、判決が言い渡されますが、判決を前に、

捜査関係者の一人は、私たちの取材に「絶対に逮捕してはいけない事件だった」と話しました。

■「みんなに会いたい…」と涙声の映像 勾留中に病死

横浜市に本社のある大川原化工機の大川原正明社長(74)。

大川原社長は、生物化学兵器に転用可能な噴霧乾燥機を不正輸出したとして、当時の部下2人と、2020年3月、警視庁公安部に逮捕されました。

大川原化工機 大川原正明 社長(74)
「逮捕されたときには、はっきり言ってびっくりしました」

社長はその後、11か月にわたる勾留を経て釈放されました。そして、裁判が目前に迫った2021年7月、事件は急展開します。

東京地検が、「軍事転用が可能だという点について疑義が生じた」として、起訴を取り消したのです。

大川原化工機 大川原正明 社長(74)
「ほんと拍子抜けですよ、我々。よかったとか、そういうのは全くなかったです」

しかし、一緒に逮捕された部下の相嶋静夫さんは、この知らせを聞くことはありませんでした。

勾留中に見つかった胃がんが原因で既に亡くなっていたのです。

相嶋静夫さん
「みなさん元気ですか?じいじはあまり元気ないけど頑張ってるよ。早く元気になって…(嗚咽)みんなに会いたい…もういい…」

保釈申請を7回出しながら、全て却下されていた相嶋さん。

相嶋さんの長男は「逮捕がなければ、がんを早期に発見できたはずだ」と悔しさをにじませます。

相嶋静夫さんの長男
「逮捕されるべきでない人が、逮捕されちゃったわけなんで。憤り以外の何物でもないというか」

■裁判で衝撃的な証言「まあ、捏造ですね」

大川原社長らは、国と都を相手取り、約5億7000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。

“冤罪事件”はなぜ起きたのか。

2023年6月、事件を担当していた男性警部補が裁判に出廷し、衝撃的な証言をしました。

男性警部補
「(事件は)まあ、捏造ですね」

捜査員が、「事件はゆがめられた証拠による捏造だった」という主張を展開したのです。

捜査関係者の1人は事件について、news23の取材にこう答えました。

捜査関係者
「絶対に逮捕してはいけない事件だった」

さらに、JNNの捜査関係者への取材で、強制捜査に至るきっかけの1つになった、公安部と経済産業省の会議のやりとりが判明。

大川原化工機への家宅捜索を行いたい警視庁公安部に対し、経産省は軍事転用の可能性について疑念を呈していたのです。

経産省担当者(逮捕2年前のやりとり)
「省内には『大川原の製品で本当に生物化学兵器を製造できるのか?』という疑問の声や、『過剰規制なのではないか』という意見もある」

しかし、最終的に家宅捜索にゴーサインを出した経産省。理由について、会議に参加していた警察官は法廷でこう証言しました。

男性警部補
「公安部長が経産省に働きかけ、経産省の解釈が変わった」

来週の判決を前に、遺族の男性は真実が知りたいと訴えます。

相嶋静夫さんの長男
「(裁判所が)今回の事件に対してどう判断をして、どこが問題があったのか。どこに問題がなかったのか。事実に基づいて、正しく判断してもらう。それしか望むことはない」

■経産省「見解が変化した事実はない」

小川彩佳キャスター:
この件に関して、経産省は「警視庁公安部長から経産省に働きかけがあったことにより、見解が変化した事実はない」としています。

浜田さん、原因究明が必要ですね。

ジャーナリスト 浜田敬子さん:
これは本当にひどいケースなんですね。誤って逮捕された3人の方のうち2人は、1年近く勾留されて、その間に1人の方は、がんが進行されて亡くなっているんです。

個人の名誉の回復や真相究明はもちろんなんですけども、大川原さんたちは今回の裁判で、日本の捜査のあり方、司法のあり方そのものを問うてらっしゃるんですね。

日本の司法というのは、よく人質司法と言われています。例えば、捜査機関の主張と違う無罪を主張すると、自白をするまでずっと勾留する。非常に悪名高いやり方をやるんですけども、そのこと自体を問うている。

公共訴訟と言われるんですけども、自分たちの個人の権利の回復だけではなく、社会のあり方を問う。そして社会を変えていこう、より良い方に変えていこうという願いを込めて、今回訴訟を提起されたというふうに思います。

▼TBS NEWS DIG 公式サイト https://ift.tt/z3EPjwQ

▼チャンネル登録をお願いします!
http://www.youtube.com/channel/UC6AG81pAkf6Lbi_1VC5NmPA?sub_confirmation=1

▼情報提供はこちらから「TBSインサイダーズ」
https://ift.tt/TFQiRd0

▼映像提供はこちらから「TBSスクープ投稿」
https://ift.tt/t3mpWwv

#ニュース #news #TBS #newsdig

TBS NEWSカテゴリの最新記事