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群馬の温泉街に“廃虚ホテル” サルの群れが占拠…相次ぐ不法侵入 再生計画で変化も【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年12月6日)
群馬県みなかみ町では、バブル期などに建設された大型の宿泊施設が数十年放置されています。廃虚化が進み、不法侵入が相次いでいるということです。
■駅の目の前に“廃虚ホテル”
利根川の清流が流れる、自然豊かで風光明媚(めいび)な眺め。眼前には、谷川岳の雄大な景色が広がります。群馬県の最北端に位置する、みなかみ町。川のほとりには多くの温泉旅館が立ち並びます。
「にっぽんの温泉100選」にも選ばれた水上温泉。北関東屈指の名湯が人々の疲れを癒やします。
季節は冬、まさに湯けむりシーズン到来。しかし、みなかみ町の温泉街にはある問題が起きています。
町の玄関口、水上駅を出ると目の前に寂れた様子の建物。正面に回ってみると、鉄の柵もさび付いていて、階段の方は崩れ落ちています。
駅の目と鼻の先に廃虚となったホテル。外壁や窓にはツタが張り付き、看板の文字は今にも剥がれ落ちそうになっています。
■サルの群れが占拠「寝床になってる」
人の姿が一切なくなった廃ホテルを占拠するサルの群れ。招かれざる団体客が我が物顔で歩いています。
階段を下りていくサルや、「ようこそ、いらっしゃいませ」と書かれた看板の上を歩くサル。別のサルは排水管を、まるで木を登るようにスルスルと登っていきます。
近隣住民:「サルなんかしょっちゅう来てる」「(Q.サルも来てる?)サルの寝床になってる」
1964年にオープンしたJR水上駅前の廃虚ホテルは、地元の人によると30年ほど前に廃業。それから手付かずのまま、現在まで放置されているといいます。
駅前の飲食店:「怖い怖い。あんだけ廃虚になってるとね」「(Q.観光地としてどうですか?)よくない、駅前だからね。だから、この組(駅前の商店)だって27店の仲間がいたんですよ。今、十何ぼ、半分」
■別の巨大ホテルも…廃業から手つかず
町を走る国道のすぐ横にも、今にも朽ち果ててしまいそうな建物がありました。ところどころ窓が割れ、壁が崩れ落ち、荒れ果てています。
目の前には利根川が流れ、美しい山々の景色が望める絶好の場所に建てられています。全体像を見てみると、窓枠が外れて落ちそうになっていたり、あちこちの窓が割れています。
利根川のほとりにたたずみ、10年前から時が止まったままの巨大な廃虚ホテル。川に面した、外の景色も見えるエレベーターは電気が止まったホテルの中で、動かない箱と化しています。
ロビーのフロアには、倒れて散乱したソファーが見えます。室内も椅子やテーブルなどがそのままの状態になっているのが確認できます。
こちらのホテルも廃業から手つかずのまま。和室の障子はボロボロで窓ガラスは割れていますが、部屋の中には座椅子がそのまま残されています。
■不法侵入者も…取材中に遭遇 2人組に直撃
廃虚となった巨大建造物は、近隣住民の悩みの種になっています。
近隣住民:「夜中寝てて、ガシャーンって騒がしい音とキャーキャー騒いでる声みたいなのが聞こえて。うるさいなって思ってて、それがしばらく20分以上とか30分以上は聞こえてて。朝方とか夜中なので、すごい迷惑」
不法侵入者も相次いでいます。取材中にもホテルから出てきた2人組の不法侵入者に遭遇。神奈川から廃虚の写真を撮りに来たといいます。
侵入していた人:「(Q.ここは何で知った?)インターネットで廃虚地図みたいなのがあって。日本全国のがあって」「(Q.廃虚地図がある?)マッピングされてるんですよ。色んな人が投稿して。ここには、これがありますよみたいな」
インターネットでこの場所を見つけてきたという2人。ホテル内に入る許可は取っていないといいます。
侵入していた人:「不法侵入ですし、悪いなっていう気持ちはあります。魅力を感じて、どうしても行ってしまう」
■商店街は…「シャッター街化している」
町の商店街も寂れた様子となっていました。
みなかみ町役場 石坂貴夫係長:「(Q.結構お店閉まっている感じですけれども?)見た感じちょっとシャッター街化してしまってるので、楽しめるところが少ないね、というようなお話は聞きます」
週末にもかかわらず人通りが少ない商店街。シャッターが閉まり、看板が割れてしまっている店もあります。ある店先には「諸事情により廃業しました」と書かれた張り紙が貼られています。街中の店舗案内の看板も…。
石坂係長:「(Q.これは変わってないですか?)変わってます。表示されているもので、もうすでに廃業しちゃったりとか」
町の担当者も、昔との変化を語ります。
石坂係長:「(Q.かつては、もうここはにぎやかな通りだったんでしょうか?)もう肩と肩がぶつかり合いながら行き来をしたっていうのは、よく聞く話ですよね」
■バブル期は活況 クマと露天風呂も
水上温泉は1970年から80年代、高度経済成長期からバブル期にかけて、主に団体旅行客でにぎわっていました。
温泉街の風物詩として人気だった、遊覧馬車が町中を走り、クマと一緒に入れる露天風呂には多くの人が集まりました。
旅館の大広間では、にぎやかな宴会が開かれていました。
しかし、その後、バブル経済の崩壊で、日本の旅行形態はグループや個人旅行に変化。次々と宿泊施設が廃業に追い込まれ、建物だけが残されたといいます。
■「廃虚再生マルシェ」で大変身した建物も
1948年創業で、水上温泉有数の人気を誇ったこちらのホテルも、4年前に廃業しました。
一段高いステージを擁した、広々とした宴会場。しかし、中は荒れ果て、雨漏りをしているせいで床は水浸しになっています。
石坂係長:「ここがちょうどボックス席のバーみたいな」「やっぱりここが本当に団体客のお客さんが多分、皆さん入って夜を楽しんだりした場所なんだと思いますけど」
昭和を感じるボックス席に、ミラーボールのあるステージ。最盛期には一日に600人ほどが宿泊していたといいます。
町には、このように廃虚化してしまったホテルが複数存在し、行政は現状を打開する策を模索しています。
石坂係長:「この施設をそのまま活用して、事業をしていただけるような事業者さんの募集を12月の中旬から行います」
廃業したホテルを取り壊さず再利用する計画。その取り組みの一環として、敷地内の廃屋などを活用したイベントが、2年連続で開催されています。
その名も「廃虚再生マルシェ」。雑草に飲み込まれそうになっていた建物が、人々が集う憩いの場に大変身しました。
■本屋→カフェ 外観や建物そのまま生かす
街中でも変化がありました。
石坂係長:「今、地元の方たちが、空き店舗を活用して、新たにお店を開かれるような動きもあります」
20年前に廃業した本屋を、外観や建物はそのまま生かし、おしゃれなカフェに変身しました。
walk On water 澁澤健剛代表:「古い物はそのまま残そうと思って」「(Q.本棚とか?)本棚もそうですし、そういう棚とかもそうです」「(Q.棚も?)昔のものですよね」
店内には、今から50年ほど前の創業当時に使われていた、レトロなものが多く残されていました。
■廃虚ホテルも…一部を再利用して新オープン
水上で60年以上の歴史を誇る、老舗温泉旅館「松乃井」も街の再生のために動きました。
温泉街の廃虚化したホテルを買い取り、一部を解体、一部を再利用し新たな旅館をオープンさせました。
シーガル・リゾートイノベーション 戸澤千秋社長:「昔からの桃山建築様式の木造建物って珍しいので、これを何とか残して、再建できないかなっていうことを考えたんですね」
客室からは谷川岳と利根川を同時に眺める、絶景が広がります。
戸澤社長:「皆協力してですね、街を再生させようってやってますから。お客様がね集まっていただけるといいなと思う」
■「官民一体でみなかみ町を盛り上げていきたい」
群馬県みなかみ町の宿泊者数の推移です。
1990年度はおよそ230万人でしたが、2019年度にはおよそ106万人。そして、昨年度にはおよそ85万人と、この30年でおよそ150万人近く減少しています。
そうしたなか、企業や行政、大学、銀行が連携して廃虚となったホテルなどの再生や活用を目指すプロジェクトが進められています。
その一環として、東京大学大学院が定期的に開催している社会実証イベントの様子です。
廃虚となっていたホテルの寮などを利用し、みなかみ町の地元グルメや民芸品などを販売しました。
みなかみ町役場の担当者によりますと、「安全面や経済的な問題もあり廃虚をすべて取り壊すというのは難しい。使えるものは再利用して官民一体になり、みなかみ町を盛り上げていきたい」と話しています。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年12月6日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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