現役部員「みんな失望した」アメフト部廃部か存続か…日大・林理事長4カ月ぶりに会見(2023年12月4日)
日本大学・林真理子理事長が4日に会見を開きました。8月以来、4カ月ぶりとなる会見は、謝罪の言葉から始まりました。
林理事長:「アメフト部員が違法薬物をめぐって逮捕・起訴されたこと、大学としての一連の対応の混乱で本学学生・生徒・保護者・卒業生をはじめ、関係者に大変なご心配とご迷惑をおかけしたことを、改めて深くおわび申し上げます」
真っ先に問われたのは、責任の所在について。ただ、自らの辞任は否定しました。
林理事長:「(Q.一度も辞任は考えなかった)何度か考えたこともある。まだ改革が途中であるということ。色んな要因があるけれども、それについては詳しくここでお話するつもりはございません」
責任が最も重いと判断されたのは、澤田康広副学長です。大麻とみられる植物片を見つけたものの、12日間にわたって手元に保管し、警察に届けなかったとされています。8月の会見でも焦点になりました。
林理事長(8月):「(Q.対応は適切だったと考えるか)はい、考えております。適切だったと思っております」
その後、第三者委員会の報告書では「信用を著しく失墜させた最大の原因」と指摘されています。
第三者委員会答申検討会議久保利英明議長:「澤田副学長の取った態度、すなわち情報を秘匿して、広くみんなで共有をしなかった。これが結局はすべて対応が間違えたり、メディアに真実と違う形の発言をしたり。この不適切行為のせいでそうなった」
日大側は澤田副学長を年末で。その上司の酒井学長を今年度末で辞任としています。林理事長について、第三者委員会は、理事会に適切に情報共有をしなった点を挙げ、「ガバナンスが機能不全に陥っていた」と指摘しましたが、日大側は50%の減俸、6カ月に留めています。
林理事長:「(Q.林理事長がなぜ減俸という甘い処分なのか)色々なご指摘・ご意見があると思いますけども、これにつきましては、第三者委員会の報告に基づきまして、理事会で審議されたことでございます。この時、私も澤田副学長も酒井学長も退座しておりまして、この時の討議には加わっておりません。それで得た公正な判断だと、私は考えております」
一方で、執行部の対立も表面化しています。林理事長から執拗に辞任を迫るなどのパワハラを受けたとして、澤田副学長が提訴する事態に発展。この点については…。
林理事長:「これは申し訳ございませんが、いま私は係争中でございますので、これについてはお答えすることはできません。(Q.『尻尾を振って世間にごめんなさいしている。だから澤田さん辞めてください』と発言か)私はそのような認識がないということで、ご容赦いただきたい。(Q.事実ではないという認識か)認識がない。(Q.ご自身の記憶では)会話の中でそういうことがあったかもしれませんけど、私は係争中でございますので、ここで言質を取られるのはご容赦いただきたい」
「新しい日大」を掲げて就任した林理事長。8月の会見では、自らの存在意義を問われると、反論する場面もありました。
林理事長(8月):「私がお飾りの理事長であるという報道がなされているようでありますが、私はそのような評価をとても残念に感じております」
ただ、一連の混乱をみると、改革は道半ばと言わざるを得ません。
林理事長:「(Q.悪化しているようにみえるが)ご指摘は重く受け止めていきたい。(去年)7月に就任して以来、一生懸命改革に向けてやってきたつもり。こういう大きな事件が起こると、体質・組織が脆弱(ぜいじゃく)だったと痛感。(Q.改革に至っていない一番の要因は)改革は、私が就任して1年間は着実に進んでいたと考えていますが、この案件があってからは、ちょっと滞っているのは事実です。“ムラ社会”の体質や組織風土の欠点もあげられるのではないか」
アメフト部の存続についても迷走しています。
今月1日に廃部を決めるはずでしたが、理事会で継続審議となっています。廃部なのか撤回なのか。4日の会見で、林理事長は明言を避けました。
林理事長:「(Q.廃部か存続。どんな意見)まだ継続審議中ですので、私の考えはご容赦いただきたい。申し訳ございません」
そもそも、廃部の方針が決まったのは、先月28日に開催された大学の競技スポーツ運営委員会においてです。その日のうちにアメフト部の監督から部員に対して連絡があったといいます。ただ、なぜ廃部なのか、詳しい説明はなかったといいます。
林理事長:「何度も何度もヒアリングを重ねているし、学生の感想文も受領している。廃部は競技スポーツ運営委員会で出した、一つの方針。理事会を経なければ決定にはなりませんが、その辺がうまく学生たちに伝わってないのではないか」
現役部員13人が大学に対して、廃部の方針の撤回を求めて、180人分の署名と要望書を提出する事態になっています。廃部の方針を決めた大学の委員会のメンバーの1人、再発防止策検討委員会の益子俊志委員長は、その理由について、こう強調しました。
益子委員長:「1人や2人の大麻使用とは考えにくい。何回かヒアリングを学生がされているなか『誰も使用していません』と話していたが、集団的に複数、使用した学生が出てきた。皆さんが思うように、潔白な学生もいると思う。その学生たちは犠牲を被るかもしれないが、今回のアメフト部の事案は連帯責任とは考えられない」
大学スポーツのあり方を変えていきたいといいます。
益子委員長:「スポーツだけやって大学に入って、スポーツだけやっていればいいという、そういう風土は改善していかなければいけない。やはり大学というのは、しっかり勉強もしなければいけない。日本大学の中でしっかりと改革を進めていく。アメフト部ではなくて、日本大学の34の競技部すべて変える」
こうした方針を理事会はどう判断するのか。林理事長は、時期を決めてないものの、できるだけ早く結論を出したいとしています。
林理事長:「継続審議なので詳しいことは言えないが、申し上げたいのは、世論に揺れているというわけではなく、競技スポーツ運営委員会は自分たちの考えを出し、理事会もきちんと自分の考えを示してくれるのではないかと、これからの継続審議でそう思っている」
◆日大アメフト現役部員の思い
約3時間に渡った今回の会見、現役の日大アメフト部員はどうみたのでしょうか。
現役部員:「世間の目とかもあると思うんですけど、欲を言えば、日大のスポーツ競技部として、フェニックスで日本一を目指したいというのが本音で」
事件を受け、アメフト部の寮は閉鎖。生活は一変しました。
現役部員:「グラウンドだったり、部室だったり、ウェート場は今、使えなくなっていて、アメフト部は一切、自主練習をしていない。生活のなかに、ひとつ本気でやっていたものがなくなるというのは、ストレスもたまりますし、生きるモチベーションや、やる気を削られたようなものなので、けっこう苦しいですね」
大学側からの説明がないことに不満を募らす現役部員も少なくないようです。別の現役部員は…。
現役部員:「世間に対しての説明(が先で)自分たちへの説明が後なのか。来季に向けて話していて、来年はできると(思って)動いていたなかで、急な一報で、それから連絡がないので、詳細の連絡が自分たちだけでも欲しい」
廃部に関する情報は監督からの一斉連絡のみ。“続報が入ったら連絡する”とありますが、これ以降の連絡はないといいます。
現役部員:「潔白の人がまわりには結構いるんですけど、みんな驚いたというか、失望というか、つらい思いはしました」
アメフト以外の運動部に所属する学生からは厳しい意見も。
他の運動部の日大生:「根本的に変えていくというのは、かなり難しいのでは。そういう理由で廃部が妥当かな。自分たちの部活が(廃部という)状態になったら、もちろん選手を続けたいし、そういう声があって当たり前だが、チームスポーツ、一つの競技部がああいう問題を起こしたというのは、学生たちの声だけでは通らない部分もあるのではと思う」
かつて日大と日本一を争ったライバル、関西学院大学の前監督・鳥内秀晃さん。会見を見ていました。
鳥内前監督:「何を話したいか最初分かりませんよね。文科省に出された改善計画を読んでいるだけで。そんなことを聞きたくない、我々は。アメフトをやりたいと言って入ってきて、はしごを外されて、清廉潔白な子が試合できないのを我慢せえというのは変ですよね。連帯責任ではないと言っているが、連帯責任です。明らかに」
会見では「仮に廃部となった場合、選手たちが外部のクラブチームや同好会でプレーすることを妨げない」との話も出ましたが…。
鳥内前監督:「夢見て日大を選んでくれた生徒を、なんでそんな簡単に裏切るのか。教育者として信じられない。よくそんなことが言えるな。残されたメンバーは考えている。自ら学んで考えて、道を切り開くことをやっている。大人の知恵を入れずに、彼らは考えている。大人が邪魔をしている。最初からこうと決めてる大人が悪い。大麻を発見した時でも、大人がちゃんと警察に報告して対応していれば、今年のこの事件はなかった可能性もある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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