伝えたい…香港は苦しんでいる 周庭氏がカナダに“亡命”表明『国安法』から3年の香港(2023年12月4日)

伝えたい…香港は苦しんでいる 周庭氏がカナダに“亡命”表明『国安法』から3年の香港(2023年12月4日)

伝えたい…香港は苦しんでいる 周庭氏がカナダに“亡命”表明『国安法』から3年の香港(2023年12月4日)

香港の民主化を訴えて活動してきた周庭さん(27)が、留学先のカナダから「もう香港に戻るつもりはない」とメッセージを発信しました。事実上の“亡命”です。
周庭さん:「私は、2021年6月に刑務所から釈放されて、この3年間、ずっと国家安全法の下で取り調べられて、パスポートも没収されて、監視されて、心的にも、体的にも、政治的にも、香港は、もう生活できない場所。普通に生活するのも、すごく難しくなったので、ただ、自由に生きたい。すごく難しい決断ですが、カナダに来て、大学院の勉強をして、帰らないことを決断しました」

4年前の香港。人々の権利を極端に制限しようとする動きに激しい反対運動が起きていました。大学生だった周庭さんは、そのときの主要メンバーの1人です。

中国共産党は、運動を徹底的に弾圧し、民主化を望む人たちは逮捕され、周庭さんも懲役10カ月の判決が下されました。模範囚として、7カ月で出所するも、その後は、公の場から姿を消していました。
周庭さん:「私も普通に生活すること、香港で銀行口座を開くこと、アパートを探すこと、仕事を探すこともすごく難しくなって、生活すらできなかったです」

パスポートは没収されていたため、9月からのカナダ留学は簡単ではなかったそうです。
周庭さんのインスタグラムから:「反省文の提出、政治活動への不参加を約束、担当者と本土に行き、愛国教育を受ける」

本土の深センでは、博物館のような場所で「中国と共産党の発展、歴代指導者の輝かしい成果」などについて学ばされたそうです。ただ、留学が認められても、出所後から続いていた3カ月ごとの香港当局への出頭義務は、そのままの状態でした。
周庭さん:「今年も、日本に行った香港の留学生が、香港に帰ってきて逮捕されたこともあって。12月に出頭するため、香港に帰るつもりだったんですが、“帰らない”と決めました」

昔の仲間たちや、香港の人たちのいま置かれている状況に対しては、こう話します。
周庭さん:「たくさんの香港の人が、人権を求めるために、自由を求めるために苦しんでいる人もいて、収監されていた人もいるし、私の多くの知り合いが、まだ刑務所にいて、いつ出られるかわからない状況なんですけど。『希望をあきらめないでください』本当に難しいことですが、私は、いま海外にいる香港人として、世界中の人々に、いま香港は、たくさんの人が苦しんでいると伝えたい」

香港で反中国的活動を取り締まる香港国家安全維持法の施行から3年。香港の現状はどうなっているのでしょうか。

◆現代中国と香港情勢に詳しい東京大学大学院の阿古智子教授に聞きます。

阿古さんは、今も香港の若者や学生たちと交流があるということですが、国家安全維持法の影響を受けているのは、周庭さんのような民主活動家だけではないといいます。

この法律の制定後、“通報ホットライン”という市民同士が、日常生活で見聞きした内容を密告できるシステムが設置されました。その影響もあり、一般の若者も通報への不安から、SNSの投稿を削除や、日々の会話でも無難な発言しかできない状況が続き、「自由で人間らしい生活」ができないストレスから、うつ病などの精神疾患を患う若者が増えているといいます。

さらに、香港はもともと自由で、人権派の優秀なジャーナリストが世界中から集まるアジアの拠点でした。しかし、この法律は、外国人も対象となっているため、外国人ジャーナリストたちの多くは香港を去るなど、ジャーナリズム文化が崩壊しているといいます。

今回の周庭さんの発信は、香港へどう影響するのでしょうか。
阿古さんは、「周庭さんの発信で、“香港の厳しい現状”にまた注目が集まった。これにより、香港内では“言論控え”の動きが、再び、起こるだろう。それでも、周庭さんには“関心が薄れる香港に目を向けてほしい”という思いがあったと思う。日本など、民主主義の国々は、他人事にせず、中国への対話や働きかけを行ってくべき」といいます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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