「規制されても新しいの出てくる」“イタチごっこ”に終わりは…“大麻グミ”一斉検査(2023年11月17日)
いわゆる“大麻グミ”をめぐる問題で17日、大阪と東京の少なくとも4店舗に、厚生労働省の麻薬取締部が検査に入りました。うち1店舗では、グミの販売停止命令が出されました。
食べた人が、一時意識不明となったケースもあり、東京都内では、10月以降に14人が救急搬送されたことが分かっています。
大阪市内の販売店舗に行ってみると、そこには『HHCH』の文字。HHCHは、大麻由来の成分に似せた合成化学物質です。こんな注意書きが添えられています。
「酩酊感が強いグミです。初心者の方は半分からお試しください」
製造・販売を行う会社の代表は、現在は規制の対象となっていないと繰り返しました。
“大麻グミ”を製造・販売『WWE』松本大輔社長:「(Q.健康被害が出ている。受け止めは)体調不良者というのは少数あるけども、先ほどから申し上げている通り、少し休めば戻るもので問題ない。(Q.今後“大麻グミ”の扱いは)私たちが販売しているものは合法の成分なので、継続して販売する。違法の成分ではないので、違法性はない」
だからといって安全性が確認されているわけではないのですが、HHCHを含む商品の購入は、それほど難しいことではなくなっています。
都内の店舗:「こちらがHHCHのクッキーです。含有量とかが記載されています」
ワックスや液状のものなど、様々なバリエーションが揃っています。問題のグミを口にしたことがあるという店員は、ある“異変”を感じたといいます。
“大麻グミ”経験のある店員:「お酒と似てて、自分のキャパシティーを超えてしまうと二日酔いみたい。販売している店としては、初めての方は8分の1からとか、容量を必ず守るように伝えている」
他の使用者も…。
液状HHCHを経験した人(20代):「体には良くないなという感じはある。歯止めが利かなくなって、強いのが作られてるのかな。自分で試して、規制されて当然のものだと思った」
厚労省は、健康被害を防ぐために規制を進める方針です。
武見厚労大臣:「今後、薬物が特定されれば、速やかに指定薬物としての指定を行い、所持・使用・流通を禁止することを検討しております」
ただ、大麻類似成分をめぐっては、次から次へと、似た特性を持つ新たな物質が生まれているのが実情です。
HHCHを常用している人(23):「どうせ規制しても、合法のがまた出回るから意味ないかな。規制されても新しいの出てくるだろう。(Q.きょうも購入する?)この後、買おうかな」
◆規制強化も“イタチごっこ”
『HHCH』は、大麻の有害成分に似せて作られた合成化合物のことを言います。大麻の代表的な成分には『THC』と『CBD』があり、この2つは非常に成分の構造が似ています。
THCには、脳に作用する有害な成分が含まれています。幻覚作用や記憶への影響、学力低下などを及ぼすため、すでに規制の対象となっています。
CBDは、こうした精神作用がなく、規制の対象にはなっていません。食品や化粧品の成分として、百貨店などで一般的に流通しています。抗てんかん薬などの薬として利用している国もあります。
今回、問題になっているHHCHは、規制対象であるTHCに似せて作られた合成化合物です。THCに似せて作られた化合物は他にもあり、規制をしても、成分の構造を一部変えた合成化合物の販売や流通が、後を絶たない状況となっています。
薬物の危険性や依存に詳しい、湘南医療大学薬学部・舩田正彦教授に聞きました。
舩田教授:「“規制対象ではない”からといって、安全性を保証するものではないという認識を持つことが大事。“未確認”なので、規制していないものも多数ある。お菓子の場合、小さい子どもも食べる可能性がある。食べ物の中に成分が入っているケースは、非常に危険性が高い」
(Q.この“イタチごっこ”に終わりはありますか?)
舩田教授:「今後も新たな化合物を作ることは可能。一つ一つ検査して禁止するのではなく、例えば、THCと類似構造があり、人体に有害な作用を示す危険性が予見されるもの全てを規制するなど、先手を打った包括的な禁止措置が必要」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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