クマに「米袋」狙われた町…異常事態?日本人の主食までもが被害に“1つの水田”に5頭(2023年11月13日)

クマに「米袋」狙われた町…異常事態?日本人の主食までもが被害に“1つの水田”に5頭(2023年11月13日)

クマに「米袋」狙われた町…異常事態?日本人の主食までもが被害に“1つの水田”に5頭(2023年11月13日)

 秋田市で13日も女性がクマに襲われけがをしました。冬眠前のいま、各地でクマが狙っているのは日本人の主食「米」。およそ1週間で6件もの被害に遭った町を取材しました。

■柿食べるクマ カメラにくっきり

 柿の被害に苦しむ宮城県の農家の敷地に設置されたカメラの映像です。柿の木の後ろ、黒い影が動きます。1頭の大きなクマです。辺りを見回すと、木の幹にしがみ付き、立ち上がりました。そして再びかがんだクマが口にしていたのは、たわわに実った柿の実でした。大きな口を動かしむさぼり続けるクマ。まだ食べ足りないのでしょうか。柿の木に上っていきました。

 被害を受けた農家 川村武治さん:「多分、柿の木の新しいのが夕べの傷痕だと思うんだけど」

 夜が明けると、柿の木には大きな爪痕が残っていました。

 被害を受けた農家 川村武治さん:「きょう朝一で見たら柿がないからああクマが来たなあと思って、すぐ分かりました。きのうの段階で20個近く残っていたんですけどね。一晩で。これで3回目。残っていないからもう来ないと思うが」

■20時間 柿の木“居座り親子”

 負傷者も出ています。秋田県八郎潟町では13日午後1時すぎ、70代の女性がクマに襲われ足などにけがをしました。意識はあるといいます。

 12日、大館市では木の上で柿を頬張るクマが…。親子でしょうか。20時間以上居座ったといいます。爆竹を何度も鳴らして、ようやく…。

 全国のクマ被害は過去最悪のペースで増え続けています。4月以降、被害に遭った人は180人。5人が亡くなっています。もはや自治体だけでは手に負えません。

■“トップ”国にクマ対策「直訴」

 13日、北海道と東北の知事は、国に「クマ対策」を求める緊急の要望書を提出。クマを「指定管理鳥獣」として交付金の対象にする新たな支援制度などを求めました。捕獲の際、特に頭を抱えているのが…。

 岩手県 達増拓也知事:「現状、建物内に侵入したクマ類に対しては(麻酔)銃を使ってはならぬということで」

 今年は住宅の中や作業場など建物内にクマが侵入する事態が相次いでいます。しかし、麻酔銃を撃つことはできませんでした。そのため、吹き矢でクマを眠らせ捕獲につなげているのが現状です。

 岩手県 達増拓也知事:「麻酔銃を撃てるように制度を見直してほしい」

 クマの駆除を狙ったクレーム対応も深刻です。

 岩手県 達増拓也知事:「法に基づいて適正に行われた捕獲に関して非難が殺到するようなことがないように、有害獣捕獲の必要性などをアピールして下さいと」

 伊藤環境大臣:「人身被害を防止するため緊急的な対策が必要」

■むしゃむしゃ稲穂を頬ばるクマ

 クマの出没が相次ぐなか、珍しい映像が撮影されました。あぜ道に腰を下ろし稲穂を頬張るクマ。よく見ると、顔にもみ殻のようなものがくっ付いています。撮影したのは、東北地方でクマを観察し続ける写真家の大谷ともみさんです。

 写真家 大谷ともみさん:「観察していた感じだと1時間くらいはいた。今年は秋田や岩手県でも稲を食べるクマを見掛けている」

 大谷さんはこれまで木の実に集まるクマなどを撮影してきましたが今年は不作。山でクマを見つけるのが難しく、人里近くで活動しています。そんななか見掛けたのが田んぼにたたずむクマでした。

 写真家 大谷ともみさん:「1つのフィールドに何頭もクマがいるのは珍しい光景。今年は1つの水田に5頭前後はいた」

 クマは米を食べるのでしょうか。専門家は。

 石川県立大学 大井徹特任教授:「(稲穂が)さほど垂れていないので多分、米は硬くなっていなくて軟らかい部分があるのでは。そういった時期にクマが食害しているのではないか。米・米ぬかの食害が多いのが今年の被害の特徴」

 しかし、より警戒すべきは稲穂が刈られた後です。およそ1週間で6件もクマ被害に遭った町があります。クマは家の敷地内に次々と侵入。倉庫の中の米を狙いました。

■稲穂のほかに…保管中の米狙う

 田んぼに腰を下すようにして稲穂を頬張るクマ。稲が刈り取られた後、倉庫などに保管された米が相次いで狙われている町があります。

 岩手県一関市。人口およそ7000人の萩荘という地域です。町の至る所にクマ出没の痕跡が…。この場所、およそ1週間で6件も米を荒らされる被害が出ています。

 住民:「米(を狙って)、全部倉庫壊してドア開けて」「トイレのため出てきて(クマを)見た。午前4時半ごろ。そこの開けていた部屋から(クマが)出てきた」

 別の家でも。

 納屋の米が被害:「こういう状態で米袋を裂いて」「(Q.自宅用の米?)自宅で食べる米です。保管しているのをサッシを開けて米を出して引っかいて山の方へ持っていく」

 現場にはクマの手形が残されていました。稲穂を食べるクマはこれまでも全国で目撃されています。しかし、収穫期以降の米は硬いため消化が難しく、クマが好んで食べるものではないといいます。

 石川県立大学 大井徹特任教授:「(精米後は)クマが好む(ぬかの)匂いが付いている。おなかの足しにと精米状態でも食べるが、一生懸命食べることはない。山に餌(えさ)がないのでこれまで食べなかった物も食べている」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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