【報ステ解説】国会で議論も…弁護士「法規制は難しい」広がる“悪質ホスト被害”(2023年11月9日)

【報ステ解説】国会で議論も…弁護士「法規制は難しい」広がる“悪質ホスト被害”(2023年11月9日)

【報ステ解説】国会で議論も…弁護士「法規制は難しい」広がる“悪質ホスト被害”(2023年11月9日)

悪質なホストによって、多額の借金を背負わされるという被害が10代にまで広がり、社会問題になっています。

“ホスト沼”にはまった経験がある、希咲未來さん(23):「(Q.最初にホストクラブで払った金額は)1000円。私の場合は“キャッチ”と言われる路上の勧誘行為で『1000円だから来てよ』と言われて。普段会わないじゃないですか。かっこいい人がいっぱいいるなぁって」

すぐに“推しホスト”ができ、売り上げのため、店に通い詰めました。きっかけは、甘い言葉。

希咲さん:「『普段はアフター行かないけど、私のために行くよ』と言われました。(Q.特別な存在と言われた気持ちは)この人に私は必要とされているんだと思いました」

ホストクラブには『売り掛け』というシステムがあります。当日、料金分の持ち合わせがない場合、不足分をホストが肩代わりして、店に払うというもの。希咲さんは19歳の時、売り掛けが数百万円に達しました。

希咲さん:「途中からワケがわからなくなって。彼が『全部、俺が管理してるから大丈夫だよ』と言って。『居なくなったら、俺がこれ払わなきゃいけない』というのは、何回か会話でされてたので『あ、私が払わなきゃ』となった。(Q.返す方法の選択肢は)いわゆる性風俗とかAVしかなかったし、彼に紹介するよと言われたのも管理売春。それ以外、何もなかった」

希咲さんは現在、その経験を生かし、被害者の相談に乗るなどの活動をしています。

ホストクラブなど多額の売り掛けは、以前は未成年だと取り消せましたが、去年4月の民法改正で、18歳からが成人となったため、それができなくなりました。今、被害は20歳前の女性にも広がっています。今年7月、悪質なホスト被害を受けた、保護者を支援する団体が設立されました。

『青少年を守る父母の連絡協議会』玄秀盛代表:「親御さんが娘さん探しにくることも多くなりました。それも地方から。基本的には都外から7割くらい。遠くは札幌から熊本まで。はるばる歌舞伎町に娘がいると」

設立してから90日あまりで、電話相談件数は約150件、面談は50件を超えました。

玄代表:「(コロナで)寂しい、不安、1人で外食というところに、SNSを通じて“いいね”とかリツイートしたり、フォローしたら、待ってましたとレスが来る。『K-POP風ですよね』『かっこいい』リアルに出会える。まずそこが始まり。(来店)3回目が本番みたいなもの。きょうはイベントで誰かのバースデー。今度はボトル30万円もポンと上がりますよね。(女性に)持ち合わせがないと『いいよ、肩代わりする。ツケにするから』」

売り掛けの覚書として渡される伝票、通称『青伝』。業界では「伝票はラブレター」「運命の青い糸」などと呼ばれています。そのうちの1枚には、合計で120万円の金額が記されています。

ホストには、女性を囲い込むためのセミナーがあるといいます。協議会が、元ホストから提供されたノートには、セミナーでの文言が記されていました。

ホスト向けセミナーの発言:「女性は彼氏や旦那程度の男にはお金を出さない。非日常的な演出にお金を出す。クールな感じでいても、女性にすぐに飽きられる」

客のことを“姫”と表現し、ホストクラブに来る理由を「心の空洞を埋めるため」と定めています。

ホストデビュー数カ月の大学生:「売り掛けの規制ですか。それはあってもいいかな。知り合いでも(客が)200万円売り掛けして飛んだという人もいる」

現役ホスト:「昔からよくあるホストのやり方だと思う。規制するといっても、どうするんだろう。うちの店はそれ(売り掛け)をしても、ランキングに反映されないので、意味がない」

ただ、女性が後からでも払えなくなった場合、ホストが被ることになります。

玄代表:「払えなくなった時に、親に請求がいく。取りに行きます。(Q.親御さんは払う)払わざるを得ない。地方だったら、急に黒塗りの車が来たりとか。『娘さん600万円あるんです』『何されてるか分かっていますか』におわせて帰ります」

また、女性に売春行為などを斡旋して、回収しようとすることが、大きな問題となっています。9日に国会でも取り上げられました。

立憲民主党 塩村あやか参院議員:「一日で『90万円』『77万3000円』『32万5000円』。到底、18歳や20代前半の女の子が一日で払える金額ではない売掛伝票があり、“青伝”と呼ばれ、常識になっている恐ろしい状況」

松村国家公安委員長は、違法行為は検挙などしているとしたうえで「対策をさらに進めるよう、警察を指導していく」との考えを示しました。

◆多額の“売り掛け”手口とは

国会で取り上げられた“マニュアル”には、女性をマインドコントロールする方法も紹介されています。例えば、客が他店に行くのを防ぐためには…。

(1)鎖をかける
「Aちゃんって、俺だけをまっすぐ見てくれるからうれしい」
「他店に行かないから、俺も大切にできる」

ストレートに「他店に行くな」というのではなく、このような言葉で、客に自分の側から離れないように鎖をかけるということです。

(2)地雷を置く
「他店行く女の子って最低やよね。それは担当(ホスト)も好きじゃなくなるよね」

日常的にこうした発言を繰り返すことで“他の店にいくこと”は“嫌われる行為”“地雷”だと伝え、マインドコントロールしていくといいます。

ホストクラブの金銭トラブルについて相談を受けている、安井飛鳥弁護士に聞きました。

安井弁護士:「ホストに大金を払う客にとっては、ホストから“頼ってもらっている”という気持ちになり、心の穴が埋まった満足感があり、高額な支払いを繰り返す。さらに“いくら使ってしまった”という感覚は残らず、満足感だけが残る」

(Q.国会で議論が始まりましたが、有効な対策は取れるのでしょうか)

安井弁護士:「法で規制するのは容易ではない。例えば、問題の根本になっている、売り掛け制度自体は違法ではない。飲食店以外の他業種でも行われる金銭の貸し借りの契約。仮に売り掛け自体に法規制をかけても、ホストが個人的にお金を貸す“規制逃れ”が可能」

(Q.ホストクラブ自体は何十年も前からありましたが、ここまでの問題になっていませんでした。店側に何か変化があったのでしょうか)

安井弁護士:「これまでのホストクラブは、一部の人が利用する“遠い世界”だったが、今はネットなどの影響で身近な存在に。悪質なホストは売り上げを伸ばすため、より若年層まで対象を拡大。繰り返し来店するように巧妙に仕向けている」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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